この問題、あなたならどうする?

母校が老朽化したら、あなたの税金で建て直す?取り壊す?

私たちの暮らしは、学校、公園、福祉施設、図書館、公民館、道路、水道などの様々な公共施設を使っています。公共施設の大部分は老朽化しており、学校の壁崩落や水道管の破裂といった事故が頻繁に起こっています。こうした施設を、あなたの税金で建て直しますか?取り壊しますか? 

問題背景
公共施設の多くは1960年代から70年代にかけて建設されてきました。それから半世紀以上たって、これらの公共施設は一斉に老朽化しています。老朽化を原因とする事故も多発しています。これらの建替えには膨大な税金が必要となります。また、当時に比べて人口が大きく減っている中で、これらをそのまま建て替えれば税金の無駄使いが起こります。そこに税金が使われれば、建物以外の教育や福祉などの公共サービスに使える税金が減ってしまい、別のところで私たちに暮らしに支障が生じてしまいます。

他方で、私たちの地域での暮らしは、多くの公共施設の存在を前提として成り立っています。これらの公共施設がなくなれば、日常生活に困る人々が出てくることになります。
私たちはこの問題をいかに解決していくべきなのでしょうか。

[この問題]⑦母校写真01

思考のヒント
まずは、公共施設の老朽化人口の減少税金のひっ迫という3つの要素を総合して考えた場合に、どのような政策が合理的なものになるのかを考えてみましょう。この場合には、公共施設を全て建て替えるのではなく、人口の縮小に合わせてその一部だけを建て替える方がよいということになるはずです。

他方では、私たちの毎日の暮らしは多くの公共施設を使って成り立っています。小学生の少なくなっても、地域にある小学校によって教育が行われています。地域のお祭りや運動会などの活動にも小学校が使われています。公共施設を建て替えずに廃止してしまえば、その地域の人々は引っ越しをよぎなくされるかもしれません。

ここには相対立する政策の視点が存在しています。政策に必要な合理性と思いやりをどのように融合すべきなのかについて、現実を見つめながら考えていくことが必要なのです。

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政策科学部での学び
政策科学部では、都市計画、コミュニティ、財政などについて学ぶ各科目が提供されています。それらの科目において、「都市の歴史と現在」「コミュニティの役割」「財政の理論と制度」などの大切な知識を学ぶことができます。それらの知識を総合して、私たちが現在直面している公共施設の老朽化問題に対する政策のあり方を自分で考えることが求められます。
科目名:行政学、社会学、ミクロ経済学、地方財政論、都市計画

執筆者紹介

森 裕之 教授
MORI Hiroyuki

専⾨分野:財政学、都市経済学
学系:社会マネジメント系

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