この問題、あなたならどうする?
ChatGPTが実用化されても、外国語を習得する必要があるのだろうか。
ChatGPTなどの生成AIは私たちの生活を豊かにする可能性がある一方で、課題についても考える必要があります。その一つが外国語学習への影響です。翻訳に優れたChatGPTの登場により、「もはや外国語を学ぶ必要はないのでは?」と感じる人もいるかもしれません。AIが進化する今こそ、外国語を学ぶ意味を改めて考えてみましょう。
- 問題背景
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ChatGPTをはじめとする生成AIは、驚くべきスピードで進化し、広がりを見せています。ある調査によると、大学生の二人に一人がレポート作成時にChatGPTを使用した経験があると答えています。ChatGPTを用いると数秒で構成と文法が正しい文章を作ってくれますが、使用したことを隠したり、罪悪感を抱いたりする学生も少なくありません。生成AIの利用は本当に悪いことなのでしょうか。利用をただ制限するのではなく、外国語教育とChatGPTをうまく融合させる方法はないのでしょうか。また一方で、ChatGPTの普及によって、教室での学びや留学など、人との交流を通じて外国語を学ぶ「経験」は、もはや必要とされなくなるのでしょうか。
- 思考のヒント
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AIが進化し、私たちの身の回りにどんどん広がっている今、「生成AI」と「外国語学習」をどのように組み合わせれば効果的なのか、そして外国語を学ぶ「経験」から私たちは何を得ることができるのかを考えることが大切です。外国語学習に生成AIを取り入れることには、たくさんの利点があります。たとえば、環境などに制限されず、誰でもコミュニケーションの機会を得ることができます。実際に、私の知り合いはChatGPTを英語の面接練習の相手として活用しています。このような生成AIの活用方法を広げていくには、デジタルネイティブである学生の皆さんの考えや経験がとても重要になってきます。もちろん、AIには多くのメリットがある一方で、カンニングのような不正使用を防ぐための対策や、どこまでの使用が許容されるのかという線引きなど、慎重に考えるべき課題も少なくありません。では、外国語を学ぶ「経験」から、私たちは言語力以外にどのようなことを得られるのでしょうか。たとえば、自分がこれまで学んできた英語が外国の人に伝わったときの達成感や、好きな動画を字幕なしで聞き取れたときの感動など、小さくても大切な成功体験を通じて、自信を持つことができます。学生の皆さんも、これまでの英語学習の経験を振り返ってみることが、新しい視点や考え方のヒントにつながると思います。私の研究では、英語だけでなく、いくつかの言語を学ぶ学生の留学経験を調べています。彼らの多くは、いろいろな人と交流しながら言語を学ぶことで、その言語が話されている国や文化への興味が深まったと話してくれました。それだけでなく、まだ学んだことのない他の言語や文化にも関心が広がったという声もありました。つまり、言語を学ぶことによって、単に知識が増えるだけでなく、「もっと学びたい」「もっと広い世界を知りたい」「さまざまな人と関わりたい」といった国際的な視野や意欲を育てることにつながるのです。今、世界ではさまざまな紛争が起き、不安定な状況が続いています。だからこそ、自分の身の回りのことだけでなく、世界に目を向ける気持ちを育てることが、これからの時代を生きる私たちにとってとても大切なのです。
- 政策科学部での学び
- 政策科学部では、単に「英語の知識」を身につけるだけでなく、これまでに学んできた英語力を活かして、創造的なプレゼンテーションやプロダクト制作に取り組む授業も行われています。また、政策科学部があるOICキャンパスには、世界中から多くの留学生が集まっており、国際色豊かな環境が広がっています。そのため、教室の中だけでなく、キャンパス全体で世界とふれ合う機会がたくさんあります。外国語を学ぶ、使う経験を重ねながら、世界とのつながりを感じることができる環境です。