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2017.09.24
【政策実践研究プロジェクト】「特定イタリアプロジェクト」が現地調査を実施しました
政策科学部2年生の小集団演習科目である「政策実践研究プロジェクト」の現地調査(科目名-グローバル/ローカル・オンサイト演習)が、9月14日から23日の10日間、イタリアで実施されました。現地調査には担当教員2名(田林葉教授、上子秋生教授)と本科目受講生9名、上級生3名(教育サポーター2名および個人研究のための参加者1名)が参加しました。
「特定イタリアプロジェクト」は昨年度から開講されているプロジェクトです。今年度は「イタリアの観光業における外国人サービスのあり方」というテーマで研究を進めています。観光産業が盛んなイタリアでは、どのような外国人サービスを実施しているか、また国際的な人材育成に関わる外国語教育制度と実態を調査し、日伊の比較を行っています。
今年度は、ミラノに5日間、ベルガモに5日間滞在しました。ミラノでは、JETROミラノ事務所の所長や、JTBミラノ支店の副支店長からイタリアの観光産業についてのお話を伺いました。また、メンバーが手分けして、ミラノの人気観光スポット(スフォルツェスコ城、ブレラ美術館、サン・マウリツィオ教会)にて、観光資源の外国語表記を調査するとともに、英語で観光客にインタビューしました。
イタリアの観光資源の一つである芸術に触れる機会も多くありました。ミラノ音楽院にて指揮者育成クラスの見学をし、イタリアの代表的なオペラ劇場であるスカラ座ではバックヤードツアーに参加した後、実際にオペラも鑑賞しました。
ベルガモでは、ベルガモ大学にてイタリア人学生の日本語クラスと、留学生のイタリア語クラスの見学に加えて、教授、学生に向けてのインタビュー調査を実施しました。参加学生は全員イタリア語の学習者であることから、日本で行われる授業との違いを感じ取ることができました。また、ベルガモ大学近くに位置する劇場、テアトロ・ソチャーレの内部も見学し、マネジメントのディレクターからお話を伺いました。
最終日には2回生のプロジェクトメンバーが、「日本における観光産業の実態」というテーマで、ベルガモ大学の学生に向けて英語でプレゼンテーションを行いました。
イタリアではミラノ大学およびベルガモ大学のイタリア人学生と、多くの交流の機会がありました。先方のイタリア人学生は日本語の学習者であるため、直接イタリア語を教えてもらったり、一緒にランチやディナーを楽しんだりしました。英語、日本語のみならず、政策科学部で2回生前期より履修し始めたばかりのイタリア語(「グローバル言語科目」)も交えて交流することができました。
実際にイタリアへ行って、普段日本では得られない多くの体験をすることができ、収穫の多い現地調査になりました。現在は、2回生後期に研究成果物として取りまとめる「研究報告書」の執筆に向けて、継続して調査・分析を進めています。同時に、研究およびコミュニケーションにおいて、英語とイタリア語の重要性を再確認し、語学学習にも力を入れています。
最後に、訪問受け入れに惜しみないご協力いただいた、JETROミラノ事務所、ミラノ音楽院、スカラ座アカデミー、JTBミラノ支店、ミラノ大学の皆さま、ドニゼッティ財団(テアトロ・ソチャーレ)、ベルガモ大学の皆さま、また、準備にあたってご支援いただいた、政策科学部執行部・事務職員の方々には、この場所を借りて厚く御礼申し上げます。本プロジェクト構想の段階において現地とのコーディネート支援をいただき、現在も学生のイタリア語指導をしていただいているCarolina Capasso先生にも深くお礼申し上げます。
(立命館大学政策科学部政策科学専攻4年生 イタリアプロジェクト・教育サポーター 堀井祐希菜)
JETROミラノ事務所にて、所長およびミラノ大学学生とともに

ミラノ音楽院の指揮クラスにて、教授、音楽院学生およびミラノ大学学生とともに

ミラノ市庁舎(マリーノ宮殿)にて、ミラノ大学学生とともに

スカラ座でオペラ鑑賞

外国人観光客へのインタビュー

JTB Italyの副支店長のお話しを聞く学生

テアトロ・ソチャーレにて、ドニゼッティ財団のマネージャーとともに

宿泊先の修道院にてベルガモ大学学生と交流

ベルガモ大学日本語準備クラスにて英語でプレゼンテーション
2017.09.04
2回生GLO演習富良野プロジェクトが富良野市及び周辺自治体における実地調査を実施
2017年8月30日から9月4日にかけて、富良野市及び周辺自治体における実地調査を実施しました(グローバル/ローカル・オンサイト演習II〔富良野プロジェクト〕)。本調査には教員2名(石川伊吹教授、重森臣広教授)、Teaching Assistant 1名の引率のもと、本科目受講生の17名が参加しました。
参加した学生は、移住政策をテーマとした班と観光政策をテーマとした班に分かれ、前期から文献研究や資料収集を進めてきました。これらの議論の結果として、それぞれ“若年移住者増加のための移住政策”、“外国人観光客の現状と課題”というより詳細なテーマを定め、実地調査に臨みました。
調査初日は、長距離移動の疲れが残る中、富良野市役所の担当課に伺い、各政策の現状及び成果、課題に関するヒアリング調査を実施しました。市役所では各政策担当者から丁寧な説明を頂いた後、学生との活発な意見交換が行われました。
初日に市の政策に関する情報を把握・整理することができたため、2日目以降は地域内の自治体以外の各主体に対するヒアリング調査が中心となりました。2日目及び3日目には、バスで富良野市及び周辺自治体の観光名所や文化施設、6次産業化に取り組む農業者などに訪問し、様々な角度から富良野という地域に対する理解を深めていきました。これらの訪問先では、地域内の資源を新たな視点で活用しようとする移住者の活躍が光っており、観光班はもちろんのこと、移住班も自身のテーマに関する学びを深めることができました。
調査期間の後半には班ごとでの調査を実施しました。この調査では、準備段階において学生がテーマに沿った調査先を選定し、アポ取りまでも自身で行うことで、実地調査における事前準備の大切さを学ぶこともできました。移住班は移住者目線から富良野市の移住政策の成果と課題に接近するため、実際の移住者へのヒアリングを中心に調査をデザインしました。他方、観光班は、外国人観光客の受け入れ態勢が現場においてどのような形になっているかを把握するため、観光協会や観光名所、宿泊施設などを中心にヒアリングを実施しました。
最終日前日には札幌に移動し、最終日に北海道庁の政策担当者へのヒアリングも行いました。道庁では、北海道全体を見渡すマクロな視点での政策と、それまで富良野市で確認してきたミクロな課題の接点を見出すことに苦労しながら、多様な視点で地域の現状や課題を考えることの重要性を実感することができました。
参加した学生は、これらの調査を通じて文献調査では分からないことの多さに驚き、現場に存在する情報を整理・抽象化する困難さに戸惑いながら、実地調査の重要性を実感することができました。また、研究以外にも地域のお祭りに参加したり、観光地としての富良野を楽しんだりと、富良野を大いに満喫できた調査となりました。
今回の調査では、富良野市役所や各観光施設・商業施設のスタッフの方々、移住者の方々など、多くの方にご協力いただきました。皆様のお力添えによって参加した学生も多くのことを学ぶことができ、充実した調査となりました。ご協力いただきました皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

富良野市役所におけるヒアリング調査

富良野の自然に囲まれた中でのヒアリング調査

ドラマ「北の国から」ロケ地の見学

富良野市麓郷展望台での集合写真
2017.09.02
GLO演習(タイ・プロジェクト)でタマサート大学(タイ)との国際共同ワークショップ
8月21日〜9月1日にかけて、タイ・タマサート大学建築計画学部でワークショップを開催しました(グローバル/ローカル・オンサイト演習II〔タイ・プロジェクト〕)。ワークショップには教員2名(豊田祐輔准教授、真渕勝教授)の引率のもと、本科目受講生の12名(政策科学部専攻4名、Community and Regional Policy Studies専攻8名)が参加しました。
本ワークショップでは、受講生がグループで設定した2つの課題である、バンコクで最も大きなスラムであるクロントイスラムにおける教育政策による経済状況の改善、ならびに運河沿い低所得者コミュニティにおける住環境の改善について、現地教員や実務家による講義、研究対象地域での現地調査を通じて研究を進めました。
ワークショップの前半は、大学教員による講義や、国家経済社会開発委員会、国家住宅公社、CODI(Community Organization Development Institute)を訪問し、タイにおける低所得者層の現状について学ぶとともに、研究対象地域への視察やスラムをサポートするNGOへの訪問を通じて、行政と現場、そして研究者という3つの視点から問題をとらえました。
ワークショップの後半では、各グループが設定した研究目的の達成に向けて、現地調査を行いました。馴染みのない国での調査となり困難もありましたが、無事に調査を完了させ、最終成果発表会において研究成果を発表するとともに、タイ人教員などから今後の改善へ向けたコメントをもらいました。後期セメスターにおいても、本研究を継続し、ブラッシュアップを図っていきます。
研究以外にも、週末はタマサート大学の学生と一緒にバンコクや世界文化遺産アユタヤを観光するなど、タイの課題と文化を学ぶとともに、タイ人学生との友情を育んだワークショップとなりました。
本ワークショップはタマサート大学建築計画学部との共催により開催したものです。ウェルカム・パーティでの歓迎や調査へのご協力をいただいた先生方や学生をはじめ、関係者各位にこの場をお借りして深く感謝の意を表します。

国家住宅公社での講義の様子

NGOでの講義の様子

バンコク・スラムでの調査の様子

最終発表の様子
2017.08.23
桜井良助教が日本環境学会賞:若手奨励賞を受賞しました
政策科学部の桜井良助教が2017年7月1,2日に開催された日本環境学会で、日本環境学会賞:若手奨励賞を受賞しました。本賞は環境問題の解決と持続可能な社会にむけた研究活動において顕著な功績のあった個人、諸団体を表彰するものです。
桜井良助教は野生動物の管理や生物多様性の保全のために必要な社会的側面に関する情報の獲得を目指し、野生動物と住民との共存を実現するための地域づくりを行う実践科学であるヒューマンディメンション(Human Dimensions of Wildlife Management)を新しい学問として日本に定着させることを目標に研究を実施してきました。具体的には、人との軋轢が特に多いクマ類に焦点を当て、住民とクマとの共存を目指す地域づくりのために必要な社会的側面からの研究をしてきました。それらは、聞き取り調査やアンケート調査から明らかにした住民のクマに対する認識とその要因分析、これらの結果を踏まえた住民参加型の野生動物管理及び農村計画の提案などです。また、住民の意識の深化や獣害対策の促進を効果的に行うために、実施されている普及啓発プログラムの効果検証を実施し、プログラムの改善点などを明らかにしました。いずれの研究においても、県の野生鳥獣管理の担当者との共同研究として実施し、調査結果がその後の県における環境政策に反映されていることが大きな特徴です。

表彰状授与式の様子(日本環境学会瀬戸昌之会長[左]と)

2017.07.11
【EPS Type-C】My Sweet Hometown発表会を開催しました。
EPS Type-Cでは、“Learn to Contribute"(社会貢献)の目標のもと、学生がそれぞれの関心に基づいて調査を行い、英語で作成された調査の成果を発信するという、PBL(Project-Based Learning)型授業に取り組んでいます。
2017年度前期の前半プロジェクトとして、1回生全クラス(EPS Project I)が共通で “My Sweet Hometown“を実施しました。本プロジェクトでは、学生が、日本各地の自分たちが生まれた地域の魅力を、英語を用いて海外の人々に発信することを目的に、各地の歴史や文化的な特徴、観光資源などについて調査し、英文のパンフレットとエッセイを成果物として作成しました。
作成された成果物を基に、5月16日、23日に、A、Bクラス (担当:田林葉教授、前田萌授業担当講師)、5月26日に、E、F、Gクラス(担当:池上久美子非常勤講師、松永歩非常勤講師、小阪真也助教)が、それぞれ合同で、英語による発表会を開催しました。
A、Bクラス合同発表会においては、長崎県が受け入れてきた異文化、鹿児島県の恵まれた自然や特産物、隠れた観光名所として注目される京都市左京区一乗寺、高知県の自然・歴史・観光地・食べ物、名古屋市の代表的な観光スポット・食文化、関西国際空港に至るまでの南海電車沿線の観光スポット、宇治の一日観光プラン、「歴史的建築物」と「体験」をテーマとした滋賀県の観光コース、といった多彩なテーマが揃いました。
E、F、Gクラス合同発表会においては、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場や、白鹿記念酒造博物館をはじめとする代表的な観光スポット、岩手県の世界遺産としても登録されている関山中尊寺や、300年以上の歴史を持つ一関市・大東大原水かけ祭りなどの伝統的な行事、そして、京都市で多くの国内外の観光客を集める三大祭りや、絶滅危惧種の保護に取り組む京都市動物園など、調査を通じて明らかにされた各都道府県の様々な魅力について、発表が行われました。
フロアからは、発表における英語表現の明瞭さ、成果物における英文表現の正確さや、ジェスチャーや動画を駆使した発表の工夫、ターゲットである海外の人々の視点からの改善点、冊子の作りこみ方についてなど、様々なコメントが出されました。
学生は、前半プロジェクトで学んだ知識を活かして、 “Learn to Contribute"の目標のもと、後半プロジェクトに臨みます。



2017.6.12
【EPS Type-C】 Birthday Project発表会を開催しました
EPS Type-Cでは、“Learn to Contribute”(社会貢献)の目標のもと、学生がそれぞれの関心に基づいて調査を行い、英語で作成された調査の成果を発信するという、PBL(Project-Based Learning)型授業に取り組んでいます。
2016年度後期の前半では、1回生全クラス(EPS Project II)が共通で“Birthday Project”を実施しました。本プロジェクトでは、学生が自分たちの生まれた日に発生した出来事を当時の新聞から紐解き、その出来事が社会に与えた影響や、発生した問題、現在までの変遷について調査し、英文の社会時評を作成しました。
2016年11月8日には、学生が作成した成果物について、各クラスで予選を勝ち抜いた2クラス(担当:小阪真也助教、松永歩非常勤講師)の代表4チームによる合同発表会が開催されました。当発表会においては、今年度初の試みとして、CRPS専攻クラス(General Education Course I、担当:田林葉教授)の留学生も、当発表会のファシリテーター及びフロアとして参加し、日本及び諸外国からの学生双方が、英語を用いた質疑応答や議論を行いました。
当発表会においては、①日本と諸外国の数学のテスト結果から見える日本の教育における問題、②ババシャツの社会的変遷、③映画「もののけ姫」が社会に与えた影響、④ハロウィーンの歴史的展開について、各クラスで選抜された代表4チームが、それぞれ発表を行いました。
各担当教員及び発表したチームを除く、EPS Project II及びGeneral Education Iの受講学生の投票により、優勝は、「日本と諸外国の数学のテスト結果から見える日本の教育における問題」について報告を行ったチーム(小倉萌加さん、柏木真希さん、齊藤優里花さん、武智峻洋さん、黒田拓臣さん)に決定しました。
学生は、前半プロジェクトで学んだ知識を活かして、 “Learn to Contribute”の目標のもと、後半プロジェクトに臨みます。

優勝したチームのプレゼンテーション風景
Presentation of the winning team on the math education

全体図(場面はチームジブリの発表風景)
Overall view (presentation by Team Ghibli

「ババシャツの社会的変遷」についてのプレゼンテーション風景
Presentation by Team Baba on the social trajectory of “Baba” undershirts

ファシリテーターとして活躍してくれた
インドとフィリピンからの留学生
Indian and Pilipino students contributed as facilitators
[EPS Type-C] Joint Presentation on the Birthday Project
Under the idea of “Learn to Contribute”, the Course of the EPS Type-C has been conducting PBL (Project-Based Learning) styled seminars which aim to develop English skills of the students through conducting research projects based on their interests and publish the research results in English.
In the second semester of the academic year of 2016, the classes for the first-year students (EPS Project II) conducted the “Birthday Project”. In this project, the students conducted their research projects based on the articles of the Japanese newspapers published in their birthdays around 18 years ago. As research results, they wrote essays in English on social influences, problems, and current situations of a topic/event which appeared in the paper on their birthdays.
The 4 teams of representatives of the 2 classes supervised by Shinya Kosaka, Assistant Professor, and Ayumi Matsunaga, part-time lecturer made presentations in the Joint Presentation on the Birthday Project. In this Joint Presentation, as the first attempt, the international students of the class of CRPS (Community and Regional Policy Studies) supervised by Yo Tabayashi, Professor contributed to the event as facilitators or participants. Both domestic and international students had discussions and exchanged their opinions about the presentations in English.
The 4 teams of representatives from the 2 classes made presentations about 4 different themes: (i) the problems of education in Japan found through the comparison of the results of international examinations of mathematics between Japan and other countries, (ii) the social trajectory of “Baba-shirts”, (iii) the impact of the animation movie “Princess Mononoke (Mononoke Hime)” on the society of Japan, and (iv) the historical developments of the Halloween.
By the votes of the participants except for each teacher and teams of representatives, the team which made the presentation about the problems of education in Japan (Ms. Moeka Ogura, Ms. Maki Kashiwagi, Ms. Yurika Saito, Mr. Shunyo Takechi, and Mr. Takumi Kuroda) was selected as the winner of the Joint Presentation.
The students of the EPS Type-C courses are now conducting their next projects for pursuing the goal of “Learn to Contribute”.
2016.12.05
1回生「リサーチ・プロポーザル・コンペティション」を開催
2016年12月5日(月)に、政策科学部1回生対象のリサーチ・プロポーザル・コンペティションが開催されました。
本学部1回生後期セメスターの小集団演習科目「プロジェクト入門」では、前期セメスターの小集団演習科目「基礎演習」で学んだことをさらに発展させて、学生各自の問題意識と興味に沿ってリサーチ・プロポーザル(研究計画書)の作成を行いました。このリサーチ・プロポーザルは、2回生での「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」における研究につながるものでもあります。
リサーチ・プロポーザル・コンペティションには、リサーチ・プロポーザルの発表と議論を通じて、政策科学部での1年間の学びの達成度を1回生各自が再確認し、2回生以降の小集団演習科目における学習意欲を高めるきっかけにしてもらうという目的があります。
本コンペティションでは、「プロジェクト入門」のA~Mの13クラスから1名ずつ選ばれた代表者が発表しました。発表者によっては英語での発表に挑戦したり、審査に当たる「プロジェクト入門」担当教員からの厳しい質問に対して的確な応答を行ったりと、本学部1回生全体が参加する最初の学術的なイベントとして意義深いものとなりました。本コンペティションは「プロジェクト入門」の授業の一環として行われ、発表者以外の1回生は熱心に聴講し、発表内容等をメモしていました。
行われた13件の発表は教員によって審査され、その結果、1位である最優秀賞にGクラスの市瀬比呂君が選ばれました。市瀬君は、「ひまわり学生運動後の台湾の学生勢力が与える台湾・中国関係変化への影響~台湾・中国間1992コンセンサスに対する学生の認識を基に~」という研究タイトルで、2014年に台湾で発生した「ひまわり学生運動」に着目し、その経緯をレビューした上で、今後この学生運動が台湾と中国との関係変化に与えうる影響について現地でのフィールドワーク等を通じて考察していく計画を示しました。
なお、本コンペティションの運営には、政策科学会学生委員会および「プロジェクト入門」各クラスから選ばれた運営委員が当たりました。


2016.11.18
立命館大学政策科学部・東北財経大学公共管理学院共催の国際シンポジウム「社会ガバナンスのイノベーションと発展」が開催されました
2016年11月18日(金)から19日(土)にかけて、立命館大学政策科学部・東北財経大学公共管理学院共催の国際シンポジウム「社会ガバナンスのイノベーションと発展」が東北財経大学にて開催されました。
本シンポジウムは18日午後の学生セッション、19日終日の教員セッションによって構成され、日本と中国から約30名の教員、約40名の大学院生が報告、討論に参加しました。教員セッションにおいて、政策科学部石原一彦教授は「日本における持続可能な都市への取り組み」、大塚陽子教授は「介護者としての女性の役割に関する国際比較」をそれぞれ報告し、学生セッションにおいて、政策科学研究科の梁平慧氏は「高齢者の近隣ネットワーク-遼寧省開原市における現地調査から-」、魯霄凌氏は「中国都市部における高齢者家庭介護者の負担についての研究」、諶齢彦氏は「中国における介護労働者の現状」を研究発表しました。
本シンポジウムは政策科学部と公共管理学院共催の国際シンポジウムとして、2014年度年度東北財経大学で開催した第1回目、2015年度OICで開催した第2回目につづき、第3回目の開催となります。前の2回と同じように、多くの共通研究課題が発見できました。重要な比較研究・発表の場として、同様な国際シンポジウムを来年度も引き続き開催する予定です。

政策科学部石原一彦教授による報告

シンポジウム会場の様子

シンポジウムの参加教員と
政策科学研究科の大学院生との記念撮影
2016.11.03
比較福祉国家研究者スタイン・クーンレ教授による講演会を開催~経済のグローバル化と高齢化によって共通の課題を抱える北欧と東アジアの福祉国家の現状~
政策科学研究科においては、東アジア・東南アジアからの留学生が英語基準・日本語基準で数多く学んでいますが、政策のアジア的な特徴とは存在するのでしょうか。アジア的な特徴とは、国際比較を通してその立ち位置がみえてくることがあります。
政策科学研究科では2016年11月3日(木)にOIC総合研究機構地域情報研究所との共催で比較福祉国家研究の第一人者であるスタイン・クーンレ教授をお招きして、“Globalization and Development of Social Policy in a Perspective of European and East Asian Experiences”というタイトルのもとでの講演会を開催しました。
ク―ンレ教授は、ノルウェー国立ベルゲン大学比較政治学部教授であり、同時にこれまで、中山大学(広州)名誉教授、南デンマーク大学福祉国家研究センター名誉教授等を歴任し、現在は復旦大学(上海)名誉教授も務めてこられました。近年は東アジア諸国との比較研究をおこなっており、2016年10月22日から11月11日まで、日本学術振興会 外国人招へい研究者として、立命館大学OIC総合研究機構地域情報研究所に滞在されました。
講演ではまず、西(欧米)と東(東アジア・東南アジア)における社会福祉や国家の役割に関する理念の相違が歴史的アプローチから説明されました。たとえば、西では個人が全てであるのに対し、東では個人はシステムの一部にすぎず、また、西では福祉は権利と結びついた「契約」であるのに対し、東では福祉は施しと結びついた「憐み」と考えられているということです。ゆえに、クーンレ教授は、東において社会保障プログラムは西よりも低いレベルから導入が進んだが、1985年~1995年の経済成長期においては福祉が拡大し、1997年の経済危機によって国家の福祉的責任は下降もしくは水準変更されたことを指摘しました。そして、現在の西と東に共通な福祉的課題とは、グローバル化(もしくは脱グローバル化?)による経済危機、人口の高齢化、国際人口移動、労働市場構造や家族構造の変化、社会的不平等であるが、福祉国家として十分に発達し、合意によるガバナンス形態をとる国家(北欧)には多少の利点があるものの、アジアもまた、受容力の高さを活かしてこの課題を乗り越えられるであろうと締めくくられました。
フロアからは、インドネシアや中国からの英語基準プログラムの院生による自国の将来に関する活発な質問が相次ぎました。クーンレ教授はそれらの質問に丁寧に回答され、従来の福祉国家論の枠組みを超えたグローバル化時代における西と東の知識共有の必要性を参加者全員が認識したところで閉会しました。
政策科学研究科では、欧米中心の理論枠組みから一旦距離をおいたうえで、アジアにおける諸政策を眺めることによって、新たなアジアの政策像を打ち出していくことに、近年力を入れています。今回のクーンレ教授の講演会はその過程としての国際比較の重要性を改めて認識させるものとなりました。


2016.10.05
桜井良助教が第19回エスペック環境研究奨励賞を受賞しました
政策科学部の桜井良助教が公益信託エスペック地球環境研究・技術基金より「第19回エスペック環境研究奨励賞」を受賞しました。本賞は地球環境問題の解決に向けて将来の貢献が大いに期待できると認められる研究に授与されるものです。
桜井良助教の研究テーマは中学生を対象とした体験型海洋プログラムの教育評価で、岡山県備前市立日生中学校で実施されているプログラムの教育効果(生徒の意識や行動の変化)を明らかにしました。日生中学校は漁業組合との連携のもと、総合学習として海洋教育に取り組んでおり、桜井良助教は2015年度より継続して同中学校で調査を行い、実際に生徒とともに海洋プログラムに参加し、生徒の様子を参与観察し、また聞き取り調査を行ってきました。研究を通して海洋プログラムの教育効果を示すとともに、中学生が地域の漁師と共に地元の海の保全管理に携わる地域密着型の取り組みを『里海教育』と名付け、その意義や可能性を提唱しています。
なお本研究は環境省「環境研究総合推進費」S-13プロジェクトにおける共同研究:「沿岸海域の生態系サービスの経済評価・統合沿岸管理モデルの提示」(代表研究者:政策科学部仲上健一特別任用教授)の一環として実施しており、成果が環境政策に反映されることが期待されています。

中学生が漁師と共に行う流れ藻(アマモ)の回収作業の様子


中学生への聞き取り調査の様子
