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実践的に学ぶ
2019.2.26
政策実践研究プロジェクト(タイ・プロジェクト)でバンコク・チュラロンコン大学において国際共同ワークショップを開催しました。
政策実践研究プロジェクトの特定プロジェクトであるタイ・プロジェクトでは、2018年8月23日から31日にかけて“Policy Formation for Social Mobility through Housing & Education in Thailand”という国際ワークショップを開催し、春セメスターでグループとして考えてきた研究計画に基づいた調査・分析を行いました。
本ワークショップでは、政策科学部生21名(政策科学専攻:8名、CRPS専攻13名)、そして教員2名とともに、チュラロンコン大学より大学院生と教員が参加しました。前半は現地大学教員などによる講義に加えて、タイの伝統的な住宅や地域を視察し、タイの文化について親しみました。また、国家経済社会開発委員会事務所やバンコク都、スラム改善策を実施している政府機関やNGOなどを訪問し、それぞれのプロジェクトの説明を受けました。さらに、本学部と交換留学協定を締結しているタイ国立マヒドン大学教養学部とも、地元公立小学校における調査や折り紙教室、大学生間交流イベントを実施しました。
そして、ワークショップ後半では、春セメスターで決めた研究目的の達成を目指して、スラムの保健衛生施策の課題、公立学校の教育設備と教育効果の関係、ストリート・チルドレンの課題の3つのグループに別れ、タイ国立チュラロンコン大学建築学部の大学院生らと共同で調査を実施し、成果を発表しました。限られた時間ではありましたが、それぞれの学生が現地でしか得ることができない経験をし、タイの課題把握とともに政策提案を行いました。
本ワークショップはチュラロンコン大学建築学部との共催により開催したものです。また、マヒドン大学教養学部にも多大な支援をいただきました。ウェルカム・パーティでの歓迎や調査へのご協力をいただいた先生方や学生をはじめ、関係者各位にこの場をお借りして深く感謝の意を表します。

小学校での調査の様子

調査で訪問した水上マーケットの様子

バンコク都での講義の様子

スラム視察の様子

最終発表の様子

交流イベントの様子
2018.12.14
「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」イタリアプロジェクトが現地調査を実施しました。
ベルガモ・オレオセンターDupty Manegerへのインタビュー
政策科学部2年生の小集団演習科目である「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」の現地調査(科目名-グローバル/ローカル・オンサイト演習)が、9月11日から20日の10日間、イタリアで実施されました。現地調査には担当教員2名(上子秋生教授、田林葉教授)と本科目受講生14名、上級生1名が参加しました。「特定イタリアプロジェクト」は2016年度から開講されているプロジェクトです。今年度は「日本とイタリアのインバウンド政策-複言語政策と共に-」というテーマで研究を進めています。観光産業が盛んなイタリアでは、どのようなサービスを実施しているか、また国際的な人材育成に関わる外国語教育制度と実態を調査し、日伊の比較を行っています。今年度は観光チームと言語教育チームの2班に分かれています。観光班はイタリアの観光産業にはどのような政策やサービスが存在するのか、言語班は複言語教育に関心を持ち、イタリアにおける言語教育の発展について研究しています。
今年度は立命館大学政策科学部とベルガモ大学との協力協定および学生交換協定が締結された年でもあり、例年のイタリア訪問に加えて8月にはベルガモ大学の学生10名(うち1名はチューター)を日本へ受け入れるプロジェクトが行われました。本科目履修生および本科目履修経験のある上級生がベルガモ大学の学生を京都、大阪、奈良などに案内しました。また、本プロジェクトメンバーとベルガモ大学の学生は共に大阪いばらきキャンパスのセミナーハウスの同室に宿泊し、交流を深め、9月実施のイタリア訪問への準備をすることができました。
9月のイタリア訪問では昨年度と同様に、ミラノに5日間、ベルガモに5日間滞在しました。ミラノでは、JETROミラノ事務所の所長や、JTBミラノ支店の副支店長からイタリアの観光産業についてのお話を伺いました。また、メンバーが手分けして、ミラノの観光名所にてイタリア観光での利点、問題点などをミラノ大学の学生と共にインタビュー形式で調査しました。さらに、現地調査に加えてスカラ座にてオペラ鑑賞も体験し、イタリアの芸術文化にも触れることもできました。
ベルガモでは、オリオセンター(ショッピングモール)を含む現地でのインタビューに加えて、ベルガモ観光局にてお話を伺い、ミラノとは異なる特性を持つベルガモの観光産業について理解を深めることができました(本訪問はベルガモの地方紙にも取り上げられました)。また、ベルガモ大学では8月に立命館大学を訪れた学生とも再会し、イタリア人学生の日本語クラスの見学に加えて、同クラスと留学生のためのイタリア語クラスで教員、学生に向けてのインタビュー調査を実施しました。日本語クラスでは、本科目の履修生14名が実際に授業に参加し、日本語学習者のイタリア人学生と交流しました。最終日には2年生のプロジェクトメンバーが、「日本における外国人へのおもてなし」というテーマで、ベルガモ大学の学生に向けて英語でプレゼンテーションを行い、観光産業における日本の課題等について聴衆へ向けて発信しました。質疑応答は例年以上に活発で、ベルガモ大学の日本語学習者の日本への関心の強さを再確認する機会となりました。
今年度は例年と異なり、イタリア訪問だけではなく、ベルガモ大学の学生を日本へ受け入れるプロジェクトと2つ開講したことからベルガモでは例年以上に現地の学生と深く交流し、イタリア語、イタリアの文化などに触れることができました。実際にイタリアを訪れ、普段日本では得られない多くの体験をすることができ、収穫の多い現地調査になりました。現在は、2年生秋学期に研究成果物として取りまとめる「研究報告書」の執筆に向けて、継続して調査・分析を進めています。同時に、研究およびコミュニケーションにおいて、英語とイタリア語の重要性を再確認し、語学学習にも力を入れています。さらに、現在本学部に留学中のベルガモ大学学生4名と本学部からベルガモ大学への留学予定者2名を含めた本プロジェクトメンバーの交流も深まっています。
最後に、訪問受け入れに惜しみないご協力いただいた、JETROミラノ事務所、JTBミラノ支店、ミラノ大学、ベルガモ観光局、オリオセンター、ベルガモ大学の諸機関の皆さまには、この場所を借りて厚く御礼申し上げます。本プロジェクト構想の段階において現地とのコーディネート支援をいただき、現在も学生のイタリア語指導をしていただいているCarolina Capasso先生にも深くお礼申し上げます。
日本語文:立命館大学政策科学部政策科学専攻4年生
イタリアプロジェクト・教育サポーター 木村 友紀






[Introduction to On-site Research Summer Session] Field work done in Italy by sophomore students of Italy Project 2018
In a course “Introduction to On-site Research Summer Session” in College of Policy Science, a group of sophomore students of “Italy Project 2018” made a field research in Italy for 10 days from September 11st to 20th. Fourteen students from this class (13 from Policy Science major and 1 from Community and Regional Policy Studies major) accompanied by two professors (Professor Tabayashi and Professor Kamiko) and a senior student as an educational supporter joined the research field work.
“Italy Project” started in 2016. This year our research theme is “Inbound tourism and plurilingual communication in Japan and Italy”. We divided into two teams, tourism team and communication team. Both two teams are conducting comparative research between Japan and Italy. The tourism team focuses on Italy’s prosperous tourism industry, aims to investigate what kind of policies Italy has. On the other hand, the communication team has interests in plurilingualism, its current development and education system in Italy, enhance the ability of cultivating international talents.
This year College of Policy Science, Ritsumeikan University and Bergamo University concluded an agreement for an exchange program. In August 10 students (nine undergraduate students and one tutor) from Bergamo University visited Japan. We, members of “Italy project 2018” showed these students around Kyoto, Osaka and Nara. During this program students from two universities stayed together in OIC (Osaka Ibaraki Campus) Seminar House, while preparing for the fieldwork in Italy and communicating in Italian, Japanese, and English.
We stayed in Milan for five days and in Bergamo for another five days. In Milan sophomore students have listened to lectures given by the director of JETRO Milan Office and deputy director of JTB Milan Office about tourism issues. Students divided into small groups visited various tourist spots in the city for interviews in order to research advantages and disadvantages of tourism in Italy. In addition, we enjoyed an opera performance at Teatro alla Scala, which gives us access to Italian art and culture.
In Bergamo, students continued fieldwork interview, had meeting with Tourism Office in Bergamo to acquire specific knowledge of tourism in Bergamo. Unlike famous tourist city like Milan, Bergamo keeps seeking new paths for tourists and themselves. Then, we got reunited with 10 students who visited Japan in August. With their sincere help we interviewed 3 groups of people: international students studying Italian, Italian students studying Japanese, and professors who were in charge of the classes. Italy project members joined a Japanese class and had face-to-face interview with Japanese learners at Bergamo University. On last day, sophomore students delivered presentation on their research to the students and professors at Bergamo University. The theme of the presentation is “Omotenashi for foreigners”, which introduces Japanese tourism focusing on hospitality.
This year’s project is different from the past few years. Not only Japanese students visited Italy, Italian students also had chance to come to Japan. The visits provided with more space for Ritsumeikan students to learn about Italy and for Bergamo students to learn about Japan. Besides investigating the research topics, students got to know deeply about history and cultures of Italy during the fieldwork as well. After returning to Japan, students are keenly working on the research report as the final product of the course.
All of us students truly appreciate generous cooperation from JETRO Milan, JTB Milan, students of Milan University, Orio Center, Tourism Office in Bergamo and Bergamo University. We also would like to thank Policy Science Office for their supports and Professor Carolina Capasso in College of Policy Science for teaching us Italian language.
English Version by WANG Siheng, sophomore, Community and Regional Policy Studies,
College of Policy Science, Ritsumeikan University
2018.12.03
Ibaraki Northern Area Project(茨木北部プロジェクト)が現地調査を実施しました
政策実践研究プロジェクト・フォロワー Ibaraki Northern Area Projectでは、茨木市北部地域の課題を洗い出し、課題解決に向けた提案を行うことを目指し、4月から定期的に茨木北部を訪問し、農作業に携わり、また地元の農家や行政の担当者と意見交換をしてきました。9月には茨木北部竜王山荘で合宿をして、現地調査をしました。初日に農家や市民とともに稲刈りや野菜の収穫をして、二日目には地元農家に聞き取り調査を実施し、また実際に野生鳥獣被害にあっている地域や対策を視察しました。最終日には竜王山を登山し、山頂まで登ってきました。本現地調査の様子は大阪府のホームページにも紹介されました。

現地調査の様子
学生(英語基準と日本語基準の1,2回生)が地元農家や市民との交流を通して、茨木北部の地域振興に向けてどのような貢献や政策提言ができるか、引き続き取り組んでまいります。なお、本プロジェクトの成果を2018年12月9日に茨木市里山センターで、お世話になりました地元農家、一般市民、市役所の職員などに研究発表をする予定です。

2018.11.21
日韓合同ワークショップを開催
2018年10月18日、韓国のソウルから国民大学校社会科学大学国際地域学科の大学院生が立命館大学大阪いばらきキャンパスを訪問し、本学政策科学研究科と日韓合同ワークショップを開催しました。本学政策科学部と国民大学校社会科学大学は学部交換留学協定を結んでおり、両者による日韓合同ワークショップは2年ぶり3回目の開催となりました。
今回のワークショップでは日韓両国から7人の大学院生がそれぞれの研究テーマについて報告を行い、両大学の教員や聴衆との間で活発な議論が交わされました。報告者の研究テーマは両大学の学際性の高さを示すように国際政治、文化外交、ODA政策、環境政策など多岐にわたり、幅広い分野の参加者による質疑応答も伴って、研究に対する新たな見地を提供し、他分野への理解も深める意義深いワークショップとなりました。


2018.11.21
東近江市議会主催の意見交換会に藤井ゼミが参加
2018年10月20日、滋賀県東近江市五箇荘コミュニティセンターにて、市民と議会の意見交換会が開催され、政策科学部藤井ゼミの学生(4回生3名、3回生4名)が報告とディスカッションに参加しました。
東近江市議会と政策科学部および政策科学研究科は、2017年9月8日に議会改革や議員資質の向上のための連携協力に関する協定を締結しており、今回の意見交換会への学生の参加は、締結後はじめての実施となります。
先の10月4日には東近江市議会の方々に大阪いばらきキャンパスへお越しいただき、当日の進行の確認や学生と議員との意見交換をおこなうなど、秋学期の開始と同時に約1か月間の準備を経て当日に臨みました。
聴覚障害の方約10名を含めた市民約50名が参加した今回の意見交換会は2部構成となっており、第1部では東近江市議会の議会報告と藤井ゼミ学生による報告がおこなわれました。
議会報告では、議会の編成や機能、議員の1年間、市会計予算の概要、常任委員会及び特別委員会の各委員会の紹介など、非常に丁寧な報告となっていました。
藤井ゼミ学生の報告では、「学生からみた東近江市の魅力」について報告がおこなわれました。東近江市の活性化や認知の拡大という視点から、東近江市の魅力をあらためて確認していただきたいと考え、東近江市とその近辺にあるアニメ聖地巡礼などの新たな地域資源や、短期間で爆発的に話題が広がることを意味する「バズる」をキーワードに他市の「バズった!」広報、あるいは地域密着型のスポーツクラブなど、さまざまな魅力を紹介しました。
つづく第2部では、コーヒーやお菓子を囲んだワールドカフェがおこなわれました。ワールドカフェとは機能的で閉鎖的な会議ではなく、オープンで自由な会話を通じ、いきいきとした意見の交換や新たな発想の誕生を期待するブレインストーミングのような手法です。「あなたにとって住みやすいまちってどんなまち!?」をテーマに、1テーブル7~8名に分かれ、10分間を1ラウンドとしておこなわれました。また、第1部と同様にご参加いただいた視覚障害の方々とも手話通訳者を通して積極的に言葉を交わすなど、非常に活発なブレインストーミングがおこなわれました。
学生にとっては、このような場での報告や市民との意見交換会への参加、あるテーマのもとでの聴覚障害の方々との意見交換など、はじめての経験ばかりで少し緊張もありましたが、多くのことを学ぶことができ、大変貴重な経験となりました。東近江市市議会をはじめ、ご協力いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。


2018.10.23
「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」台湾プロジェクトが現地調査を実施しました
政策科学部2回生の「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」台湾プロジェクトは8月26日から9月1日の一週間、台湾にて現地フィールドワークを行ってきました。
今年の台湾プロジェクトの研究テーマは、近年世界中から注目を集めている「台湾の脱原発政策について」と「台湾のLGBTについて」です。この2つのテーマをそれぞれグループごとに分かれて研究を進めてきました。
今年度は高雄に3日間、台北に4日間滞在しました。高雄ではまず中山大学を訪問し、お互いの国の原子力発電・LGBTに関する現状や課題についてワークショップを行いました。最後にアンケート調査を行い、現地の学生の考えについても触れることができました。夜は夜市へ行き、台湾の空気を感じながら夕食をとりました。 8月28日には「地球公民基金会」を訪問し、台湾の脱原発についての現状や課題についてお話を伺いました。その後高速鉄路に乗って台北に向かいました。

中山大学での学生報告

地球公民基金会
8月29日午前中は、「緑色公民行動連盟」を訪問しました。緑色公民行動連盟は反原発運動に取り組んでいるNGO団体で、実際の活動内容や台湾での脱原発に関する現状など様々なことを知ることができました。直接お話を伺うことで現地の人たちの考えなど日本での調査だけでは見えてこなかった部分まで知ることができ、とても有意義な時間を過ごせました。その後昼食をとり、午後には「台湾性別平等教育協会」を訪問しました。ここでは台湾のLGBT教育についての話を伺いました。現地で実際に活動している方の話を伺うことで、より深い知識を身につけることができ、今後の研究に向けて参考になる点を多く得ることができました。夕方には台湾大学に行き、キャンパス内の見学をしました。

緑色公民行動聯盟

台湾性別平等教育協会
8月30日は午後から台北大学とのワークショップを行いました。中山大学と同様、LGBT・原発のそれぞれの国の現状・課題について報告し合いました。参加者の中には院生の方もおられ、今後の台湾への政策提言にまで至るなど私たちとしてはさらなる知識を得ることができ、とても内容の濃いワークショップを行うことができました。夕食は台北大学の方にピザやフライドチキンを振舞っていただき、台北大学の学生の方たちと一緒に食事をとりました。台北大学の学生の人の中には日本語を話すことのできる人もおり、日本語や英語を使いながらお互いの趣味や大学生活について話したり、連絡先を交換したりなど各々実りのある時間を過ごしました。

台北大学での集合写真
8月31日は午前中に総統府、228記念館、龍山寺。午後からは十分、九份と台湾の歴史ある名所や観光地を訪れました。
今回台湾に実際行ってみて2つの研究テーマにそって活動してきましたが、LGBTに関しても、脱原発に関しても、現在世界中で挙げられる課題であり、今後の行方は世界中が注目しています。台湾でのフィールドワークで得られたものをもとに今後日本がどうあるべきなのかを考え、後期のポスターセッション・報告書の作成に取り組んでいきたいと考えています。
(台湾プロジェクト 橋本泰希)
2018.10.23
角本ゼミ集中セミナーが「AI・ロボットの発展と民法政策の変動」ヒアリング調査を実施
3回生の角本ゼミ(政策構想演習)では、「AI・ロボットの発展と民法政策の変動」をテーマと定め、その研究の一環として2018年9月10日から12日にかけて、東京都及び千葉県柏市での民間企業・公共団体のヒアリング調査、慶應義塾大学法学部山本龍彦ゼミとの合同ゼミを行いました。
9月10日
東京都千代田区永田町所在のNTTドコモ本社を訪問し、ヒアリング調査を行いました。まず、ソリューションルーム「フューチャーステーション」では、近未来人数予測システムを活用したAIタクシーについて説明を受け、仮想現実(VR)、複合現実(MR)等の新技術を体験しました。
その後、サービスイノベーション部の開発担当者から、未来の新たな住宅のあり方を模索する、現在実証実験中の「未来の家プロジェクト」について説明を受けました。このプロジェクトは、横浜市といった地方公共団体や富士通・資生堂等の多くの民間企業との共同事業であり、AI・IoT技術を用いて、“住むだけで健康になる”住宅を開発しようという革新的な取組みです。具体的には、体温・ストレスを測るセンシング機能や、その日の気候・心理状態に合わせてコントロールされる照明やカーテン等、様々な最新設備が搭載されているとのことでした。


9月11日
午前中は宿泊した『変なホテル浜松町』にてヒアリング調査を行いました。このホテルは、フロント業務にアンドロイドを活用する等、実験的な取組みを積極的に展開する点が特徴です。ここでは、人による業務を中心としたホテルと機械による業務を中心としたホテルの「効率性」や「サービスの質」の相違について説明を受け、人と機械の共生を目指す経営ビジョンについて聞くことができました。
午後は、慶応義塾大学(三田キャンパス)を訪れ、山本龍彦ゼミ(憲法)との合同ゼミを行いました。まず、山本教授から、ビッグデータを活用してAIが人間をプロファイリングする社会における「個人の自由及び尊厳」(特にプライバシー・自己決定)に関する課題について講義を受け、それをもとに両ゼミ生間で議論を繰り広げ、その後の懇親会で親睦を深めました。


9月12日
この日は千葉県柏市に移動し、柏の葉スマートシティを訪問しました。この街は「世界の未来像を作る街」をコンセプトに公・民・学が連携しつくっているものです。
午前中は、三井不動産主催のスマートシティツアーに参加し、多くの施設を見学しました。具体的には、地域一帯のエネルギーの管理を行う「柏の葉エリアエネルギー管理システム」や、予防医療を基本として地域の健康を見守る「街のすこやかステーション」、多様な人材の交流からイノベーションを生み出すための施設である「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」等の様子を知ることができました。
午後はアーバンデザインセンター柏の葉(UDCK)の方から、地域のまちづくりのあり方について話を聞き、そこでは、公・民・学が連携するまちづくりの、柏の葉スマートシティにおける実例や、柏市の別地域におけるまちづくりの今後の方向性について学ぶことができました。


この3日間で角本ゼミの学生たちが得たものは、AI・ロボット技術の発展・普及に取り組む現場の実情とそれに伴い発生しうる課題に関する知見、そして、その課題解決に取り組む人々とのつながりです。新技術の発展・普及に伴い、様々な課題に直面するだろうこれからの社会における、よりよい法政策のあり方を模索するために、我々は今回の経験を活かしていこうと思います。



2017.11.09
インドネシアプロジェクト グローバルオンサイト演習報告
インドネシアは人口2億4千万人超の世界第4位の人口大国です。イスラム教が中心的な宗教ですが、ジャワ島やバリ島においてはヒンズー教や仏教の寺院遺跡が数多く残っており、多様な宗教的背景があります。近世ジャワ島においてはマタラム王国が覇権をなした時代の本拠地がジョグジャカルタ市やスラカルタ市です。それゆえ、中央ジャワ州各都市においては、寺院(Masjid)、王宮(Kraton)、広場(Alun Alun)、市場など近世以降の特徴的な都市施設の配置が残っています。さらに、オランダ支配以前の近世都市の基本的構造が残存していて、歴史の流れを学ぶこともできます。
政策実践研究プロジェクトGLO演習「インドネシアプロジェクト」は2016年と2017年に実施されました。ジャワ島内ではジャカルタ、バンドン、スラバヤに次ぐ第4の都市、人口155万人の大都市スマラン市にある国立の有力校、ディポネゴロ大学工学部建築学科が交流の窓口になってくれています。研究のテーマは「歴史都市の現代的な再生~ジャワ島を中心として~」としました。スマランにおける、260余年に及ぶオランダ統治時代において建築された総督府、キリスト教会、華人による都市型住宅、鉄道、倉庫等とそれを結ぶ街路群はオランダ植民都市の顕著な特徴を有する歴史都市と言えます。「コタ・ラマ」と呼ばれる歴史的都心地区では、空き家の集積や落書きの多発などバンダリズム(荒廃状況)も見られ、どのように再生させていくべきか、開発途上国における歴史都市の現代化過程のための諸施策が求められており、こうした各地区のことを学ぶサマースクールに参加しました。
このサマースクールにはタイや韓国からも海外交流大学が参加したり、本学のCRPS専攻(インドネシア、中国、アメリカ)の留学生も参加しています。また、日本国内からも鹿児島大学、琉球大学らの学生・教員が一堂に会しました。2017年度は特にディポネゴロ大学から多大なる財政支援を受けつつ、大きなサマースクールとなりました。
サマースクール後は独自の調査訪問により、ジョグジャカルタのガジャマダ大学で同年代の学生から案内を受けたり、世界文化遺産を来訪する観光客の交通行動や観光地の商店整備の方向性について調査を行いました。

ディポネゴロ大学でのサマースクールでのワークショップ風景

ディポネゴロ大学でのサマースクールでの研究成果報告会

講義の後で現地調査

世界文化遺産での観光客インタビュー
サマースクールと調査を終えてジャンプ!
2017.09.24
【政策実践研究プロジェクト】「特定イタリアプロジェクト」が現地調査を実施しました
政策科学部2年生の小集団演習科目である「政策実践研究プロジェクト」の現地調査(科目名-グローバル/ローカル・オンサイト演習)が、9月14日から23日の10日間、イタリアで実施されました。現地調査には担当教員2名(田林葉教授、上子秋生教授)と本科目受講生9名、上級生3名(教育サポーター2名および個人研究のための参加者1名)が参加しました。
「特定イタリアプロジェクト」は昨年度から開講されているプロジェクトです。今年度は「イタリアの観光業における外国人サービスのあり方」というテーマで研究を進めています。観光産業が盛んなイタリアでは、どのような外国人サービスを実施しているか、また国際的な人材育成に関わる外国語教育制度と実態を調査し、日伊の比較を行っています。
今年度は、ミラノに5日間、ベルガモに5日間滞在しました。ミラノでは、JETROミラノ事務所の所長や、JTBミラノ支店の副支店長からイタリアの観光産業についてのお話を伺いました。また、メンバーが手分けして、ミラノの人気観光スポット(スフォルツェスコ城、ブレラ美術館、サン・マウリツィオ教会)にて、観光資源の外国語表記を調査するとともに、英語で観光客にインタビューしました。
イタリアの観光資源の一つである芸術に触れる機会も多くありました。ミラノ音楽院にて指揮者育成クラスの見学をし、イタリアの代表的なオペラ劇場であるスカラ座ではバックヤードツアーに参加した後、実際にオペラも鑑賞しました。
ベルガモでは、ベルガモ大学にてイタリア人学生の日本語クラスと、留学生のイタリア語クラスの見学に加えて、教授、学生に向けてのインタビュー調査を実施しました。参加学生は全員イタリア語の学習者であることから、日本で行われる授業との違いを感じ取ることができました。また、ベルガモ大学近くに位置する劇場、テアトロ・ソチャーレの内部も見学し、マネジメントのディレクターからお話を伺いました。
最終日には2回生のプロジェクトメンバーが、「日本における観光産業の実態」というテーマで、ベルガモ大学の学生に向けて英語でプレゼンテーションを行いました。
イタリアではミラノ大学およびベルガモ大学のイタリア人学生と、多くの交流の機会がありました。先方のイタリア人学生は日本語の学習者であるため、直接イタリア語を教えてもらったり、一緒にランチやディナーを楽しんだりしました。英語、日本語のみならず、政策科学部で2回生前期より履修し始めたばかりのイタリア語(「グローバル言語科目」)も交えて交流することができました。
実際にイタリアへ行って、普段日本では得られない多くの体験をすることができ、収穫の多い現地調査になりました。現在は、2回生後期に研究成果物として取りまとめる「研究報告書」の執筆に向けて、継続して調査・分析を進めています。同時に、研究およびコミュニケーションにおいて、英語とイタリア語の重要性を再確認し、語学学習にも力を入れています。
最後に、訪問受け入れに惜しみないご協力いただいた、JETROミラノ事務所、ミラノ音楽院、スカラ座アカデミー、JTBミラノ支店、ミラノ大学の皆さま、ドニゼッティ財団(テアトロ・ソチャーレ)、ベルガモ大学の皆さま、また、準備にあたってご支援いただいた、政策科学部執行部・事務職員の方々には、この場所を借りて厚く御礼申し上げます。本プロジェクト構想の段階において現地とのコーディネート支援をいただき、現在も学生のイタリア語指導をしていただいているCarolina Capasso先生にも深くお礼申し上げます。
(立命館大学政策科学部政策科学専攻4年生 イタリアプロジェクト・教育サポーター 堀井祐希菜)
JETROミラノ事務所にて、所長およびミラノ大学学生とともに

ミラノ音楽院の指揮クラスにて、教授、音楽院学生およびミラノ大学学生とともに

ミラノ市庁舎(マリーノ宮殿)にて、ミラノ大学学生とともに

スカラ座でオペラ鑑賞

外国人観光客へのインタビュー

JTB Italyの副支店長のお話しを聞く学生

テアトロ・ソチャーレにて、ドニゼッティ財団のマネージャーとともに

宿泊先の修道院にてベルガモ大学学生と交流

ベルガモ大学日本語準備クラスにて英語でプレゼンテーション
2017.09.04
2回生GLO演習富良野プロジェクトが富良野市及び周辺自治体における実地調査を実施
2017年8月30日から9月4日にかけて、富良野市及び周辺自治体における実地調査を実施しました(グローバル/ローカル・オンサイト演習II〔富良野プロジェクト〕)。本調査には教員2名(石川伊吹教授、重森臣広教授)、Teaching Assistant 1名の引率のもと、本科目受講生の17名が参加しました。
参加した学生は、移住政策をテーマとした班と観光政策をテーマとした班に分かれ、前期から文献研究や資料収集を進めてきました。これらの議論の結果として、それぞれ“若年移住者増加のための移住政策”、“外国人観光客の現状と課題”というより詳細なテーマを定め、実地調査に臨みました。
調査初日は、長距離移動の疲れが残る中、富良野市役所の担当課に伺い、各政策の現状及び成果、課題に関するヒアリング調査を実施しました。市役所では各政策担当者から丁寧な説明を頂いた後、学生との活発な意見交換が行われました。
初日に市の政策に関する情報を把握・整理することができたため、2日目以降は地域内の自治体以外の各主体に対するヒアリング調査が中心となりました。2日目及び3日目には、バスで富良野市及び周辺自治体の観光名所や文化施設、6次産業化に取り組む農業者などに訪問し、様々な角度から富良野という地域に対する理解を深めていきました。これらの訪問先では、地域内の資源を新たな視点で活用しようとする移住者の活躍が光っており、観光班はもちろんのこと、移住班も自身のテーマに関する学びを深めることができました。
調査期間の後半には班ごとでの調査を実施しました。この調査では、準備段階において学生がテーマに沿った調査先を選定し、アポ取りまでも自身で行うことで、実地調査における事前準備の大切さを学ぶこともできました。移住班は移住者目線から富良野市の移住政策の成果と課題に接近するため、実際の移住者へのヒアリングを中心に調査をデザインしました。他方、観光班は、外国人観光客の受け入れ態勢が現場においてどのような形になっているかを把握するため、観光協会や観光名所、宿泊施設などを中心にヒアリングを実施しました。
最終日前日には札幌に移動し、最終日に北海道庁の政策担当者へのヒアリングも行いました。道庁では、北海道全体を見渡すマクロな視点での政策と、それまで富良野市で確認してきたミクロな課題の接点を見出すことに苦労しながら、多様な視点で地域の現状や課題を考えることの重要性を実感することができました。
参加した学生は、これらの調査を通じて文献調査では分からないことの多さに驚き、現場に存在する情報を整理・抽象化する困難さに戸惑いながら、実地調査の重要性を実感することができました。また、研究以外にも地域のお祭りに参加したり、観光地としての富良野を楽しんだりと、富良野を大いに満喫できた調査となりました。
今回の調査では、富良野市役所や各観光施設・商業施設のスタッフの方々、移住者の方々など、多くの方にご協力いただきました。皆様のお力添えによって参加した学生も多くのことを学ぶことができ、充実した調査となりました。ご協力いただきました皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

富良野市役所におけるヒアリング調査

富良野の自然に囲まれた中でのヒアリング調査

ドラマ「北の国から」ロケ地の見学

富良野市麓郷展望台での集合写真