所長挨拶
Greeting

  1. TOP
  2. 研究所について
  3. 所長挨拶
200601yoshimura

 このたび、立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所の所長を拝命しました湯浅邦弘です。
 白川静記念東洋文字文化研究所(以下、白川研)は、文化勲章受賞者で漢字学研究の権威である立命館大学名誉教授白川静博士(1910~2006)の顕彰、および東洋文字文化の普及と発展に寄与することを目的に、平成17年(2005)に設立されました。本年は、ちょうど白川博士の没後20年にあたります。そのような大きな節目の年に所長に就任することとなり、大変光栄に存じますとともに大きな責任を感じております。
 白川博士は、今から100年余り前に中国古代の殷王朝の遺跡「殷墟」で発見された甲骨文字を基に、3000年以上前の漢字の原義を探求し、その体系的な理解に努められました。その業績は、文字学にとどまることなく、古代中国の思想、文学、神話学、さらには日本の文化にも及んでいます。漢字の持つ豊かな文化を解明され、その広範な学問は「白川学」として世界的な評価も受けています。
 現代社会は、急速な電子化によって生活の利便性が高まる一方、文字離れも進み、これまで共有されてきた言語観、教養、道徳などが失われていくという負の一面もかかえています。文字文化に対する真摯な態度がなければ、考えや価値観の共有はますます難しくなっていくことでしょう。
 白川研は、こうした世界情勢にも鑑み、白川学の継承を通じて文字文化の発展に努めてまいります。特に本年度からは、新規事業として、白川博士のノート、甲骨文字のトレースなど、白川研所蔵の博士自筆資料について、デジタルアーカイブ化を進め、広くその成果を公開する計画を立てています。白川博士が、甲骨文字と向き合い、一点一点ノートに書き写したり、トレースしたりした臨場感を皆様にもお伝えできるようにしたいと考えています。
 皆様の変わらぬご支援とご指導を賜りますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。

令和8年(2026)4月1日
立命館大学 白川靜記念東洋文字文化研究所
所長 湯浅 邦弘