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教員紹介

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沈 尚講師 SHEN Shang

所属学科
環境都市工学科
研究室
環境分子微生物学研究室
学位
博士(工学)

経歴概要

職歴 2023年4月 立命館大学 理工学部 講師 2022年4月 日本学術振興会 特別研究員(PD) 2021年10月 国立環境研究所 琵琶湖分室 特別研究員 2021年4月 京都大学大学院工学研究科附属 流域圏総合環境質研究センター 機関研究員 2019年4月 日本学術振興会 特別研究員(DC2) 学歴 2020年3月 京都大学大学院 工学研究科 都市環境工学専攻 博士課程(後期) 修了 2017年3月 京都大学大学院 工学研究科 都市環境工学専攻 博士課程(前期) 修了 2015年3月 京都大学 工学部 地球工学科 卒業

研究について

研究分野・テーマ

微生物で解決するこれからの環境問題

研究キーワード

細菌、ウイルス、湖沼、炭素循環、薬剤耐性

研究概要

琵琶湖でも海でもいいので、水を手ですくってみてください。その手の中の水には、細菌が1億匹、ウイルスが10億匹ほど存在しています。実に日本の人口と世界の人口に匹敵する量です。 細菌やウイルスと聞くと病気を連想するかもしれませんが、実は彼らのほとんどはヒトにとって無害です。では膨大な量の彼らは水中で何をしているのでしょうか? 細菌は有機物を二酸化炭素に分解することで生活しています。その活動は水中の有機物濃度、ひいては大気中の二酸化炭素濃度と密接に関わっています。ウイルスはそんな細菌の一部に感染し殺すことで、細菌全体の活動量をコントロールしています。そうやって、微小ながらも大量の細菌やウイルスは水中の炭素循環を通して、湖沼や海洋の水質に影響を与えています。 ただ一部にはヒトに有害な細菌やウイルスも水中に存在しています。例えば薬剤耐性菌や薬剤耐性遺伝子をもつウイルスです。薬剤耐性菌とは、みなさんが病院で処方してもらうような抗生物質が効かない細菌のことで、これに感染すると有効な治療法がないまま死に至ることもあるとされています。さらに、海洋や湖が薬剤耐性菌や薬剤耐性遺伝子をもつウイルスの貯蔵庫となっているかもしれないことが、近年明らかになりつつあります。これらは、これから世界的に解決すべき問題の一つです。 沈研究室では、細菌やウイルスを通して、環境問題の理解と解決に挑戦しています。

  • 毎月行っている琵琶湖調査の様子(琵琶湖環境科学研究センターが保有する水質実験調査船「びわかぜ」)

  • 琵琶湖水中に棲息する細菌・ウイルスの顕微鏡写真。米粒サイズのものが細菌、周りの星のような輝点がウイルス。

インタビュー

研究者になったきっかけ

実は、学生の頃は、研究や研究者としての明確な目標があったわけではありませんでした。子どもの頃から漠然と「環境問題」を意識していた程度で、自然が好きだからというなんとなくの理由で当時琵琶湖の炭素循環について研究している研究室を選びました。 いざ研究を始めてみると、漠然としていた「環境問題」が細分化され、そこから興味のある分野が明確になりました。高校時代に嫌いだった(微)生物が重要なんだと知り、少しだけ好きになりました。修士課程の時にふと、もうちょっと研究してみたいと思い、博士課程に進学しました。今では細菌やウイルスの虜です。きっかけは案外些細なものですが、自分の興味に素直に従ってきて良かったと思います。

受験生へのメッセージ

はっきりとした夢や目標を持っている人は少ないと思います。ですが、なんとなく興味のあることならいくつかあると思います。大学ではたくさん時間があります。片っ端から興味のあることに足を踏み入れてみてください。そして寝食を忘れ没頭できるくらい好きなことを見つけてください。何かのきっかけでそれが夢や人生の目標に変わるかもしれません。大学はそれができる場所です。

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