大学生の時の不思議な話
2014年06月01日
コラム
どうしてカウンセラーになろうと思ったのか、と聞かれることがよくあります。いろいろなきっかけがあるのですが、そのうちのひとつについて(個人的な話ですが)書きます。
僕ははじめに入った大学を途中でやめて、別の大学の心理学科に入り直したのですが、はじめの大学で今後の進路について悩んでいたとき、ある心理学の教授のところに相談に行ったことがあります。何回か通っているうちに、なかなかよく人の話を聴いてくれる先生だ、と思ったので、当面の問題には関係がないようにも思ったのですが、子どもの頃から(ほとんど物心ついた頃から)考えていた、というか心に引っかかっていたあることについて、初めて話をする気になったのです。それまでは家族も含めて、誰にもそのことについて話したことはありませんでした。それで、思い切ってその話をしてみたのですが、先生はいつもの通り、ただフンフンといいながら聴いているだけでした。
いつものように、先生の部屋を出て、自宅への帰り道、僕は「何か変だぞ?」と気づきました。最初はよく分からなかったのですが、あたりを見回してみて気づいたことは、ふだん通り慣れている道から見える風景が、今までと全く違って見えているのです。どうもうまくいえないのですが、なぜか全てが立体的に見え、電柱や木々、遠くの山まで、輪郭がくっきりとして、そこに確かに生き生きと存在している、ということが強く実感されました。まさに、世界の見え方が一変したのです。
何かの出来事をきっかけに世界の見え方が一変するということは、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。恋人ができた・恋人と別れた・大会で優勝した・仕事で大失敗をした・感動的な本に出会った・大きな病気をした・病気から治った、等々。ただ、上に書いた僕の体験の不思議な点は、何も出来事らしい出来事は起きていないということです。そこにあったのはただ、僕が話して、先生が聴いてくれた、それだけでした。いつものことでもあり、その時は特別の感慨などもなかったのです。
カウンセラーになるための訓練の中で、その後も同様の経験を何度かしていますが、これほど劇的だったのは他にありません。人の話を「聴く」というだけのことが、大きな力を持つことがある。そうめったに起きることではないですし、何よりも先生が経験豊かなカウンセラーだったことが大きいのですが、しかし、この「聴く」ということの「力」を身をもって体験したことが、その後、自身がカウンセラーを目指す、大きなきっかけになったことは確かです。
これは何もカウンセリングに限ったことではなく、日常生活の中でも、友人の話、彼氏・彼女の話、サークルの先輩・後輩の話など、「よし、今日は覚悟を決めて、相手の話を30分間ひたすら聴いてみよう」と思うことが、人間関係の変化のきっかけになるかもしれません。
僕ははじめに入った大学を途中でやめて、別の大学の心理学科に入り直したのですが、はじめの大学で今後の進路について悩んでいたとき、ある心理学の教授のところに相談に行ったことがあります。何回か通っているうちに、なかなかよく人の話を聴いてくれる先生だ、と思ったので、当面の問題には関係がないようにも思ったのですが、子どもの頃から(ほとんど物心ついた頃から)考えていた、というか心に引っかかっていたあることについて、初めて話をする気になったのです。それまでは家族も含めて、誰にもそのことについて話したことはありませんでした。それで、思い切ってその話をしてみたのですが、先生はいつもの通り、ただフンフンといいながら聴いているだけでした。
いつものように、先生の部屋を出て、自宅への帰り道、僕は「何か変だぞ?」と気づきました。最初はよく分からなかったのですが、あたりを見回してみて気づいたことは、ふだん通り慣れている道から見える風景が、今までと全く違って見えているのです。どうもうまくいえないのですが、なぜか全てが立体的に見え、電柱や木々、遠くの山まで、輪郭がくっきりとして、そこに確かに生き生きと存在している、ということが強く実感されました。まさに、世界の見え方が一変したのです。
何かの出来事をきっかけに世界の見え方が一変するということは、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。恋人ができた・恋人と別れた・大会で優勝した・仕事で大失敗をした・感動的な本に出会った・大きな病気をした・病気から治った、等々。ただ、上に書いた僕の体験の不思議な点は、何も出来事らしい出来事は起きていないということです。そこにあったのはただ、僕が話して、先生が聴いてくれた、それだけでした。いつものことでもあり、その時は特別の感慨などもなかったのです。
カウンセラーになるための訓練の中で、その後も同様の経験を何度かしていますが、これほど劇的だったのは他にありません。人の話を「聴く」というだけのことが、大きな力を持つことがある。そうめったに起きることではないですし、何よりも先生が経験豊かなカウンセラーだったことが大きいのですが、しかし、この「聴く」ということの「力」を身をもって体験したことが、その後、自身がカウンセラーを目指す、大きなきっかけになったことは確かです。
これは何もカウンセリングに限ったことではなく、日常生活の中でも、友人の話、彼氏・彼女の話、サークルの先輩・後輩の話など、「よし、今日は覚悟を決めて、相手の話を30分間ひたすら聴いてみよう」と思うことが、人間関係の変化のきっかけになるかもしれません。
学生サポートルームカウンセラー