こころの健康

2023.12.05

ネガティブ思考との付き合い方

 来談される方々の困りごとの一つとして、ネガティブ思考はよく聞かれるテーマです。私たちは、なぜネガティブ思考に陥ってしまうのでしょうか。

 心理学と一口に言っても、認知、行動、情動、思考・・・様々な角度から研究や探求がなされていますが、脳の働きに少し目を向けてみたいと思います。

 人間の脳は、脳幹などのかなり原始的な爬虫類の脳(内臓機能や呼吸といった生命維持の役割)の部分と、大脳の感情や情動などを扱う哺乳類の脳(繋がりやコミュニケーションを担う)と、大脳新皮質の霊長類の脳(思考を扱う)との3つの部分から成り立っているという見方があります。(諸説あります)この3つの部分が、ヒトへの進化の過程でそれぞれ成り立ってきて、そして、個別に働いたり、繋がって連動したりすることで、私たちの人間の行動や感情が決定されるというものです。

 この説からすると、先々の身に起きる危険を予測する、不安要素にアンテナを張り巡らす、といったことは、人間が自らの生命を守るために古くから必要な機能だったと捉えることもできます。つまり、爬虫類の脳が強く関わっているとも言えます。例えば、何か不審な物音がすれば、反射的にそちらの方をすぐさま目で追い、注意を向ける必要があります。一度森の中でクマに遭遇した場所は、回避する必要があります。人間にとって、不安や恐怖といったシグナルは、生き延びるために最重要のものでした。

 ところが、私たちの今の生活は、そこまで身体の危機を察知する必要がない場合がほとんどです。ですが、人間の脳はそうした古来からの生存のための機能を有しているがゆえに、住まいや食べ物、そして安全がある程度確保されている生活においても、些細な環境の変化で不安や恐怖のシグナルが作動してしまうということが起こりうるとも考えられます。
些細な出来事に、不安や恐怖が出てくる、一度経験した傷ついた体験を繰り返し思い起こしてしまう、傷つけてくる誰かに対する防衛反応で怒りに圧倒される・・・など。

 環境や個性によって差こそあれ、人間とは本来、身を守るためのシグナルによって、ネガティブ思考に陥りやすい生き物だとも言えるのかもしれません。ネガティブ思考そのものは、「私」のせいじゃない、そう考えると少し楽になりませんか。では、このネガティブ思考とどう付き合っていけばよいでしょうか。

この対処方法は、心理学や様々な心理療法で研究されていますが、ここでは、2つの方法をご紹介したいと思います。

一つめは、日ごろのポジティブな経験をよく味わい、身体のレベルで感じていく、そして、ポジティブな言葉がけを常日頃から自分にしていくという方法があります。イメージとしては、たんぱく質、カルシウム・・・食べ物の様々な栄養素を日常的に取り入れているのと同じように、心に栄養を与える、心のメンテナンスとして意識的に行います。

 ポジティブな経験は、美味しい、嬉しい、楽しい、面白い、心地いい、気持ちがいい、清々しい、ほっとする、落ち着く、癒される、なんでもよいです。大事なポイントは、その経験の際に、視覚や聴覚、嗅覚などの五感を含めた身体感覚をよくよく感じとることです。それによって、言葉や理屈を超えたところで、安心感のシグナルを自らに送ることができます。

 また、私たちは、自分に対しても批判的な目を向けがちです。達成欲求が強い方や、普段から頑張り屋さんであればなおさらのこと。予防として、心地良さの感覚とともに、心地よい優しい言葉を自分に届けてみることも良いでしょう。「頑張ったね」「大丈夫だよ」「そのままでいいよ」「きっとうまくいくよ」「ありのままの自分でいいよ」など、どんな言葉でもよいです。

 二つめは、気づきです。私たちは、ネガティブな思考に覆われているとき、世界や自分自身は実際に現実にネガティブであるかのように見え、先々のイメージもネガティブに覆われます。そのイメージがまたネガティブな思考を呼び、雪だるま式に増幅します。ですので、それが起きてしまった時には、まず、そこに気づいてみましょう。「私今、ネガティブになっているな」これだけでも、増幅しない、止まる、あるいは、和らぐことがあります。地図のストリートビューから、通常の地図の視点に切り替わるようなイメージ、つまり、俯瞰してみるということです。

普段から自然とこれらの方法をとっている方もおられるかもしれませんし、難しい、よくわからない、抵抗感がある、と感じる方もおられると思います。

 サポートルームでは、あなたの困っていることや悩んでいることのお話を丁寧に聞いていくことで、その対処法を一緒に考えたり、その方にとってどんなことが役に立ちそうかについて話し合ったりすることもできます。一人で行き詰った際には、ぜひ気軽に訪れてみてくださいね。

2023.01.13

ボディスキャン瞑想

パソコンやスマホの画面を見る時間の長い生活をしていると、眼や脳が慢性的に酷使されて疲れがたまりやすくなります。疲れの溜まった脳に、ほっと一息、心と身体のつながりを回復させる時間をとることができるのが、マインドフル瞑想法のなかでもボディスキャン瞑想と呼ばれるものです。

ボディスキャン瞑想では、身体の各部位に順番に注意を向け、その部位の状態や感覚、筋肉のこわばり具合や重み、痛みやつまった感じがあるかどうかなど、じっくりと感じていきます。忙しい毎日のなかで気にも留めずにおろそかになっている身体からのメッセージを受け取ると、余分な力が抜けてリラックスしたり、心身の不調に早めに気づけるようになります。

頭のてっぺんから、足のつまさきまで、身体の各部位をじっくりとチェックしていきましょう。

<ボディスキャン瞑想の手順>

1.肩幅程度に脚を広げてゆったりと立つ、もしくは背筋を伸ばして椅子に座ります。

2.自然な呼吸を続けましょう。軽く目を閉じるか、床のあたりに視線を落とします。

     明るいところでは、太陽の光が自分の頭の上から身体の中に入ってくるイメージをするのがお勧めです。暗いところであれば、身体の各部位を懐中電灯で照らしてチェックしていくようなイメージでやってみましょう。

3.頭部から始めます。頭の表面、頭皮、頭の内部を光でくまなく照らしてチェックしてみます。

     こわばりや重さ、痛みなど、不快感に気づいたら、自然な呼吸に合わせて、その部位に新鮮な空気を送り、不快な感覚を息と一緒に吐き出すイメージで何回か呼吸します。多少でも不快感が和らいだら、次のパーツにスキャンを移動させます。

6.光で照らしていくイメージを続けて、両目、鼻、口周り、ほほ、顎など、それぞれ入念に感覚を意識してみましょう。

7.引き続き、首、両肩、胸、背中、お腹、お尻、太もも、ふくらはぎ、両足、足の裏と続けていきます。

これで終わりです。

時間がない時は、パソコンの作業で固まりやすい、頭から肩までだけ、首と背中だけ、と特定の部位のみ行うのも気軽にできていいですね。

勉強の合間に1分間行うだけでも、緊張状態がほぐれて、コリや疲れが予防できます。

また、マインドフル瞑想として「現在の経験」に注意を向け続ける心の筋トレにもなりますので、過去や未来のことを思い悩んでしまう癖の修正にも役立つでしょう。

ぜひ試してみてください。

2023.01.01

いろいろなリラクセーション法

学生サポートルームでこれまでご紹介したリラクセーション法をリストにしました。
20221207-0のマークは音声ガイドがついていますので、インストラクションを聞きながら実施できます。

20221207-1
1.10秒呼吸法
 10秒でできる呼吸法です。

20221207-2
2.マインドフルネス呼吸法
 心や頭をすっきりさせたり、集中力アップに効果があります。

20221207-3
3.顔のコリをほぐしましょう
 PCやスマホの見過ぎによる顔のコリをほぐす方法です。



20221207-4
4.筋弛緩法
 体を緩めて心もリラックス!夜眠りにくいときなどに。

20221207-5
5.スワイショウ
 誰でも簡単にできる中国の健康体操

20221207-6
6.自律訓練法
 自律神経を整えます。緊張や不安があるとき、夜眠りにくいときなどに。

20221207-7
7.タッピングタッチ
 緊張や不安による身体症状などにやさしくタッピングするセルフケアの方法

2022.12.07

ストレスとうまく付き合うには?

 コロナ禍で制約の多い大学生活を送っている皆さんは、これまで以上に日々ストレスにさらされています。そのため、自分のストレスに気づき、上手にストレスとつき合う方法を身につけることがとても大切です。
1~3の手順に従って、自分のストレスの状態(1)、自分のストレス対処法(2)、ストレスの状態に適した対処法(3)について学んでみましょう。

1.ストレスに気づく
 ストレス反応は、身体、心理、行動などに現れます。まずは、下記のチェックシートを使って、自分のストレスレベルをチェックしてみましょう。

9項目版 簡易ストレスチェック*
最近1ヵ月のあなたの状態について伺います。もっとも当てはまるものをチェックしてください。
  ほとんど
なかった
ときどき
あった
しばしば
あった
ほとんど
いつもあった
合計
1 ひどく疲れた  
2 へとへとだ
3 だるい  
4 気がはりつめている  
5 不安だ
6 落ち着かない  
7 ゆううつだ  
8 何をするのも面倒だ
9 気分が晴れない  
*ストレスチェックに際して厚生労働省が推奨している「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」から心身のストレス反応に関する9項目を抜粋したもの。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/dl/stress-check_j.pdf

下記のとおり集計してください。
イ: 1~3で選んだ数字の合計・・・   
  「疲労」の程度(12点以上の場合は要注意)
ロ: 4~6で選んだ数字の合計・・・   
  「不安」の程度(11点以上の場合は要注意)
ハ: 7~9で選んだ数字の合計・・・   
  「抑うつ」
の程度(10点以上の場合は要注意)

2.ストレスへの対処法
 ストレスがあるとき、皆さんはどのように対処していますか? ストレスに対処する行動をストレスコーピングと言います。自分の使えるコーピングのレパートリーの種類と数が多いほど、ストレスへの耐性が高いと言えるでしょう。
 次のチェックシートを使って、普段よく実践しているストレスコーピングを確認してみましょう。

ストレスコーピング チェックリスト
ストレスを感じる時(うまくいかない時、つらい時、プレッシャーを感じる時など)に、あなたはどうしますか?
もっともよく当てはまるものをチェックしてください。

  ほとんど
しない
たまにすることがあるときどき
する
ほぼいつもする合計
1 友だちや身近な人に話を聞いてもらう A
2 誰かに相談する
3 これから何ができるか考える B
4 別の解決方法を試す
5 できていることに目を向ける C
6 失敗することで勉強になったと考える
7 リラックスする(風呂に入る、ゴロゴロする) D
8 散歩、歌うなど好きな活動をする
9 つらい気持ちを表に出さず明るくふるまう E
10 忘れるようにする
11 やけ食い(飲み)をする F
12 ものを壊す、暴れる
下記のとおり集計してください。
A:  1~ 2で選んだ数字の合計   ・・・    

B:  3~ 4で選んだ数字の合計   ・・・    

C:  5~ 6で選んだ数字の合計   ・・・    

D:  7~ 8で選んだ数字の合計   ・・・    

E:  9~10で選んだ数字の合計   ・・・    

F: 11~12で選んだ数字の合計    ・・・    


A~Fのどれが一番大きい数字になりましたか? それがあなたのもっともよく使うコーピングの種類です。
Aソーシャルサポート・相談A~Dの対処法をたくさん使えるようになるほどストレスに強くなります。レパートリーを増やすために、下記のリストを参考にしてみてください。
B 問題解決
C 認知的再評価
D リラクセーション・気晴らし
E 気持ち押し込め・否認 Eに頼りすぎると心身の不調に表れかねません
F 傷つけ発散 後悔しない、誰も傷かない発散方法を考えよう
以下のような方法の中で、状況やご自分に合った方法を探してみましょう。
● ストレッサーを取り除く(いつもこれができるとは限りませんね)
● アクティベーション:活動したり、行動したりして発散する方法です。
 例)友だちと電話でしゃべる、散歩する、運動するなど
● リラクセーション:神経を休める方法です。20210526-1
 例)寝る、ゆっくりお風呂に入る、呼吸を整える、ハーブティーを飲むなど

3.あなたの場合は・・・
「1.ストレスに気づく」のストレスチェックの結果をもう一度見ましょう。今の状態には、上述したこんなストレス対処法がお勧めです。

「疲労」の程度が高い場合は、「D」のリラクセーションや休息がお勧めです。
 どんなリラクセーション法があるのか知りたい方には、学生サポートルームのホームページ「こころの健康(https://www.ritsumei.ac.jp/ssr/kokoro/)」に、様々なリラクセーションの方法が載っています。
 また、学生サポートルーム主催のオンライン・リラクセーション講座「ほっこりリラクセーションタイム」でもリラクセーションの方法を紹介しています。https://www.ritsumei.ac.jp/ssr/event/

「不安」「抑うつ」の程度が高い場合は、「A」(ソーシャルサポート・相談)「B」(問題解決)「C」(認知再評価)などがお勧めです。
 「B」(問題解決)や「C」(認知再評価)は、一人で取り組むのは少し難しいと感じるかもしれません。
 学内には、これらを支援する部署があります。「学生相談の総合案内」(https://www.ritsumei.ac.jp/drc/sougou/)のページに、相談内容に応じた相談窓口がありますので、利用してみてください。

4.あなたのストレス対処法大募集!
皆さんのいろいろなストレス対処法を他の人とシェアしませんか?ストレス対処法はたくさん手持ちがあるとよいと言われています。たくさんの方に対処法を教えていただいて、その結果を学生サポートルームのホームページに掲載します。
以下のリンクから回答をお願いします。回答は、セキュリティ上、大学のシステムにサインインしなければ送信できないようになっていますのでご注意ください。


* ストレスとその反応については、当ウェブサイトの『こころの健康』も参考にしてください

* もっと自分のストレスについて気づきを得たい人は、以下のリンクのワークをしてみてください。

学生サポートルーム カウンセラー