コラム

中年留学体験記

 私は現在40代半ばですが、ちょうど30代半ばと後半の2回にわたって、スイスで心理学を学びました。30代半ばで渡航したとき、海外に行くこと自体が2度目という状況で、語学の不安、よく知らない国で暮らすことの不安は大きく、できるだけの知り合い=海外留学や滞在経験者にお話を聴いて準備したものでした。

 行ってみて苦戦したのは、英語のリスニングでした。学校(チューリッヒ)での講義や演習は、スイス人(スイスドイツ語が母国語)が担当することが多かったので、向こうも英語は外国語。イギリス英語でゆっくりした話し方の先生が多かったので、比較的、聴き取りやすかったように思います。しかし、イギリス人やアメリカ人の先生が担当するとき、またアメリカやカナダからの留学生が発言しているときには、なかなか聴き取りにくく、しょんぼり落ち込んでは帰宅していました。それで、同じ学校に通うアメリカ人とイギリス人に個人レッスンをお願いすることにしました。

  2人のレッスンを毎週受けて、どんどんリスニング能力はあがりました。個別に向き合って、わからないその瞬間に質問したり、確認できるということがよかったように思います。また2人から欧米の習慣などについて教えてもらったのも、興味深く、楽しい思い出でした。さらにアメリカ人の友人は、日本での滞在経験があり、かつては文化人類学者だった人なので、彼女を通して日本の古い信仰・稲荷信仰について教えてもらったことは、貴重なことでした。

 みなさんは語学が得意でしょうか?私はあまり試験勉強では好きではありませんでしたが、コミュニケーションのために英語を学ぶことはとても好きです。大学受験のときに、もっと単語や定型文を覚えておいたらよかったなあと思うこともしばしばですが、留学してみて、いつから学んでも遅くはないなあと感じました。
スイスでは、そこで暮らす日本人の方ともたくさん知り合いになり、みなさんが英語、スイスドイツ語、ドイツ語、フランス語と、たくさんの言葉を話すことにも驚きました。また現地で暮らす日本人は、ほかの国からの移住者に比べて、助け合って暮らしていることにも感激しました。これは、他の国からの留学生にも、うらやましいと言われるほどでした。私自身、たくさんの方に支えてもらったと感じています。

 スイスでお世話になった方の中に、みなさんの先輩にあたる方がありますので、最後にご紹介したいと思います。Grüeziという、スイスに暮らす日本人向けの情報誌を年4回発行している、野嶋篤さん、立命館大学文学部で学んだ方です。私はこの情報誌で、日本人向けレクチャーの宣伝をしたり、カウンセリング希望者を募ったりしていました。関心あったら、こちらのサイトをみてください。スイスで暮らす人の様子がわかり、おもしろいですよ。

http://www.intercultura-gruezi.ch/

学生サポートルームカウンセラー