コラム

新たな環境への期待と、どきどきと

 この春から、大阪いばらきキャンパスが開学しました。まっさらでぴかぴかの校舎を歩いていると、新しい生活への期待に胸が膨らみます。一方で、“うまくやっていけるかなあ…”と、気後れのような、どきどきする気持ちもあります。新たな年度を迎え、同じように感じている学生さんもいらっしゃるのではないでしょうか。

 このコラムにも、何を書くのがいいのか…と迷ったのですが、ひとまず自分の得意分野である現代サブカルチャーからひとつ、とりあげてみようと思います。

 新しい環境に入っていく楽しみや不安について考えたとき、以前にやりこんでいたとあるゲームを連想しました(カウンセラーがゲームなんかするの!?と思われるかもしれませんが、する人はします)。「ペルソナ4」という作品で、アニメや舞台にもなっている人気シリーズなので、ご存知の方もおられるかもしれませんね。

 高校生の主人公は、両親の仕事の都合で一年間、田舎町に住む親戚のもとで生活することになります。主人公は転校先の学校の友達や町の人々、はたまた動物とも交流し、さまざまな関係を築いていきます。さらには町で起こった事件の謎を解明するべく動きだすのですが、あるときから主人公は、“テレビのなかに入る”という力を手に入れます。
テレビのなかの世界には、“シャドウ”と呼ばれる化け物がいます。暴走し、襲いかかってくる“シャドウ”に対し、主人公は“ペルソナ”という力を使って応戦します。主人公は学校や家庭、部活やバイト先で交流を持った人々(と動物)の数と同じだけの“ペルソナ”を持っており、日々の生活で人々との関係が深まると、テレビのなかで用いる“ペルソナ”の力も強くなる、という仕組みになっています。さらには倒した“シャドウ”を受け入れることで、“ペルソナ”が生まれ変わったりもします。

 “シャドウ”は心理学では「影」、すなわち「自分にとって受け入れたくない心の部分」とされます。一方の“ペルソナ”は「仮面」、すなわち「他者とのあいだで形作られる役割や態度」と言えるでしょう。人々や生き物と接し、そこで生まれた絆がさまざまなこころの問題に立ち向かう力をくれる、ととらえると、なかなか深いゲームだなと思いました。

 まだよく知らない場所や人と関わるには、勇気がいります。どぎまぎしてしまって、つい萎縮してしまうこともあるかもしれません。しかしながら、新たな出会いが自分の可能性を広げてくれることもあるのだと思います。学生サポートルームも、学生のみなさんのこころの幅を広げる場のひとつとして機能していければ、と考えています。

ペルソナ4(persona4) 2008年 アトラス



学生サポートルームカウンセラー