コラム

カウンセラーは何をしているのか?

 皆さんもよくご存知のムーミン。最近はキャラクターグッズがたくさん店頭に並んでいますし、今年の夏には作者のトーベ・ヤンソン展が大阪で開かれていました。私も子どもの頃テレビでアニメを見ていましたが、主題歌だけが記憶に残っており、毎回のストーリーはあまり覚えていませんでした。最近になって、カウンセリングに来られた方からムーミンの話を聞き、興味が湧いて、『ムーミンパパの思い出』を読んでみました。このお話にはなかなか意味深いことがたくさん含まれていますが、読み手によってどう感じるかは異なると思いますので、ここで解説することは控えます。ムーミンパパがまだ「パパ」になる前の話ですので、青年期のみなさんが共感することがきっとあるだろうと思います。興味のあるかたは是非読んでみてください。
 
 このお話の中で、「おお、これぞカウンセリング」と私が思った部分がありましたので、それをここではご紹介したいと思います。私たちがおこなっているカウンセリングは、守秘義務があるために、どんなことが起きているのかなかなか外からは見えません。みなさまの中には、カウンセラーっていったい何をしているのか?と疑問に思われる方もいることと思います。カウンセラーはそれぞれアプローチが異なりますので、これはあくまでも個人的な見解ですが、カウンセラーとして私が心がけていることは、相手の話に関心をもって聴くということです。苦しいこと、つらいこと、うれしいこと、来談者が話してくれるその場にいて、その語りを聴くことです。『ムーミンパパの思い出』で、ムーミンパパが友だちのフレドリクソンのことをこう書いています。「わたしがいつも感心したのは、かれが、人の気持ちをしずめてなっとくさせるのに、なにもとくべつ意味のあることをいったり、むずかしいことばをつかったりしないことでした。」フレドリクソンは、ムーミンパパの話に興味を持って熱心に聴きました。フレドリクソンのような熟練の域にはまだまだ達しませんが、そこに近づけるように日々聴いています。

学生サポートルームカウンセラー