Twitterにみる「もののあはれ」
2016年02月03日
コラム
Twitter(ツイッター)を始めてもう6年ほどになります。Twitterとは、ご存知の方も多いと思いますが、「ツイート」という140文字以内の「ひとりごと」の投稿を共有するウェブ上の情報サービス、コミュニケーションツールです。ユーザーは自分で「ひとりごと」をつぶやくとともに、他のユーザーを「フォロー」することによって彼らの「ひとりごと」を集め、それらが時間軸に沿って表示される様子(タイムライン)を眺めることができます。2015年の時点で、世界的なユーザーは3億人超、そのうち日本のユーザーは2000万人ほどで、諸外国よりも利用率が高い傾向にあるのだそうです。
古くから短歌や俳句などに親しんできた日本人にとって、短い文のなかにさまざまな思いを詰め込むという営みは馴染みのあるものなのかもしれません。実際に私も、面白い映画や音楽なんかと出会ったときに、反射的に『やばいまじで神』などと投稿していることがあります。昔の人が美しい風景に心動かされて思わず和歌を詠んでしまった、という「もののあはれ」の精神と、通じる部分があるような気がしないでもないです。
一方で、Twitterはコミュニケーションツールでもあり、そこには人との関係が存在します。現実の友人とフォローしあうのはもちろん、時には憧れの作家や芸能人から「リプライ(返信)」をもらえてしまうなど、このTwitter上での交流というのも楽しいものではあるのですが、そこには人間関係から生まれるさまざまな問題も浮上してきます。
たとえば「エアリプ」と呼ばれる現象があります。通常、誰かに「リプライ」を送る場合というのは、送る相手のユーザー名をあて先にしてツイートを投稿します。しかしこの「エアリプ」というものは、あて先をあえて不明にしたまま誰かに対しメッセージを発信する、という行為なのです。たとえば私が映画に関する感想を延々とつぶやいているときに、他のユーザーの誰かが『自分のことばっかり話す人って、どうなんだろう』などと投稿したとします。それを見た私は思わず肝を冷やし、「もしかして私の連続投稿、うっとうしかった…? でも、何か他にプライベートで嫌なことがあっての投稿なのかもしれないし…」などと疑心暗鬼に陥ります。「いとむつかし」な状況です。
学生さんのお話でも、「同じ部活の人がTwitterで、みんなからフォローされ見られていると知っていて、『どうせ私、嫌われてるし』などとつぶやいている。何かこちらから声をかけた方がいいのか」といった相談があります。こうした場合の対応はケースバイケースとしか言えませんが、Twitterを使ううえでは、他人の言葉の裏の意味を必要以上に想像しすぎないこと、曖昧なことを適宜曖昧なままにしておく能力というものが必要な気がしています。実際に「エアリプ」を含め、Twitter上で起こる微妙に気まずい対人トラブルというものは、結局は相手の真意を確かめることが出来ないまま、時間の経過とともに流れていってしまうことも多いようです。こうした儚さもまた、「もののあはれ」なのかもしれません。
ところでこのTwitter、近々投稿できる文字数が10000字まで増えるのだそうです。そんな、Facebookの真似をしなくても…あなたにはあなたの良さがあるのだから、もっと自信を持って…とTwitterに言ってあげたくなる今日この頃です。
古くから短歌や俳句などに親しんできた日本人にとって、短い文のなかにさまざまな思いを詰め込むという営みは馴染みのあるものなのかもしれません。実際に私も、面白い映画や音楽なんかと出会ったときに、反射的に『やばいまじで神』などと投稿していることがあります。昔の人が美しい風景に心動かされて思わず和歌を詠んでしまった、という「もののあはれ」の精神と、通じる部分があるような気がしないでもないです。
一方で、Twitterはコミュニケーションツールでもあり、そこには人との関係が存在します。現実の友人とフォローしあうのはもちろん、時には憧れの作家や芸能人から「リプライ(返信)」をもらえてしまうなど、このTwitter上での交流というのも楽しいものではあるのですが、そこには人間関係から生まれるさまざまな問題も浮上してきます。
たとえば「エアリプ」と呼ばれる現象があります。通常、誰かに「リプライ」を送る場合というのは、送る相手のユーザー名をあて先にしてツイートを投稿します。しかしこの「エアリプ」というものは、あて先をあえて不明にしたまま誰かに対しメッセージを発信する、という行為なのです。たとえば私が映画に関する感想を延々とつぶやいているときに、他のユーザーの誰かが『自分のことばっかり話す人って、どうなんだろう』などと投稿したとします。それを見た私は思わず肝を冷やし、「もしかして私の連続投稿、うっとうしかった…? でも、何か他にプライベートで嫌なことがあっての投稿なのかもしれないし…」などと疑心暗鬼に陥ります。「いとむつかし」な状況です。
学生さんのお話でも、「同じ部活の人がTwitterで、みんなからフォローされ見られていると知っていて、『どうせ私、嫌われてるし』などとつぶやいている。何かこちらから声をかけた方がいいのか」といった相談があります。こうした場合の対応はケースバイケースとしか言えませんが、Twitterを使ううえでは、他人の言葉の裏の意味を必要以上に想像しすぎないこと、曖昧なことを適宜曖昧なままにしておく能力というものが必要な気がしています。実際に「エアリプ」を含め、Twitter上で起こる微妙に気まずい対人トラブルというものは、結局は相手の真意を確かめることが出来ないまま、時間の経過とともに流れていってしまうことも多いようです。こうした儚さもまた、「もののあはれ」なのかもしれません。
ところでこのTwitter、近々投稿できる文字数が10000字まで増えるのだそうです。そんな、Facebookの真似をしなくても…あなたにはあなたの良さがあるのだから、もっと自信を持って…とTwitterに言ってあげたくなる今日この頃です。
学生サポートルームカウンセラー