二十歳の君へ
2017年05月01日
コラム
学生さんたちの相談をうかがう中で、時折「お勧めの本を教えてください」と尋ねられることがあります。そうした問いの背景には、いろいろな文脈があり、その時会っている人によって、お勧めの本は変わってきますが、推薦本の中に、私自身、若いころ読んで衝撃を受けた「青春漂流」(立花隆著、講談社文庫)があります。手作りナイフ職人、動物カメラマン、フレーム・ビルダー(自転車)などなど、挫折を経ながら、自分の道を切り拓いていった若者たちとのインタビュー集。とりわけ孤独な鷹匠の話が鮮烈に印象に残っています。
さてこの本もお勧めではありますが、新たに興味深い本をみつけました。同じ著者の立花隆さんが、東大で教鞭をとるようになり、全学自由研究ゼミナールを開講。「見たい、聞きたい、伝えたい」を信条として、学生さんが自身の興味関心にしたがって研究を進め、調べて書くという内容。その様子が「二十歳のころ」、そして「二十歳の君へ」(文藝春秋)という本にまとまっています。2011年に出版された後者を最近読んだのですが、とてもおもしろく、夢中になって読みました。
内容は、東大生が16人の著名人、職業人にインタビューした第1章、立花隆氏による6時間の講義内容による第2章、そして14人の学生による、二十歳の手記の第3章で構成されています。
第1章は、ぼんやりした学生時代を過ごしながらも、「こういう環境でこういうふうに表現や仕事をしていきたい」という気持ちはあったというリリーフランキーさん(注:東大生に贈った手土産がぶっとんでいました。そのプレゼント内容は、読んでのお楽しみ。)はじめ、研究者、音楽家、デザイナー、漫画家、小説家などなど、現在活躍する素敵な大人たちの、ユニークな青年時代のエピソードを知ることができます。また、その多様な仕事内容やバックグランドは知的関心を刺激します。第2章は、立花氏による講義ですが、これまた、科学から文化・芸術まで幅広く、豊かな内容を、わかりやすく、おもしろく語っており、もっと知りたいという好奇心が、自然とわいてきます。
そして第3章の最後の手記は、私自身とても心揺さぶられたのですが、ゼミナールの学生たちが、それぞれの率直な考えや気持ちをつづっています。自分自身の経済的な苦労が研究テーマになっている人、大きな失恋に影響を受けた人、人嫌いとクソ真面目を直すためにバイトをはじめた人。それは確かに東大生らしいスマートな文章でつづられていますが、悩み、模索し、もがいてもいる姿は、ほかと変わらない、等身大の二十歳の青年たちだなあと感じました。また、学んで、卒業して、就職に向かうだけでなく、今この時間に思い悩むこと、それは時にしんどいことではあるけど、それがいかに大事なことか、自分自身の礎にもなる重要なことだと考えさせられます。
以下は、立花氏が講義の中で引用した、マラルメの詩です。
私たちは航海している
私の色々の友達よ
私はすでに船尾にいるが
君たちは豪奢な船首となり
雷と冬との荒波を切り開く
みなさんの二十歳、学生時代はどんなふうでしょうか。迷ったり、悩んだり、先が見えてこなかったり。そうした中から、荒波を切り開いて、自分の道がみえてきますように。
さてこの本もお勧めではありますが、新たに興味深い本をみつけました。同じ著者の立花隆さんが、東大で教鞭をとるようになり、全学自由研究ゼミナールを開講。「見たい、聞きたい、伝えたい」を信条として、学生さんが自身の興味関心にしたがって研究を進め、調べて書くという内容。その様子が「二十歳のころ」、そして「二十歳の君へ」(文藝春秋)という本にまとまっています。2011年に出版された後者を最近読んだのですが、とてもおもしろく、夢中になって読みました。
内容は、東大生が16人の著名人、職業人にインタビューした第1章、立花隆氏による6時間の講義内容による第2章、そして14人の学生による、二十歳の手記の第3章で構成されています。
第1章は、ぼんやりした学生時代を過ごしながらも、「こういう環境でこういうふうに表現や仕事をしていきたい」という気持ちはあったというリリーフランキーさん(注:東大生に贈った手土産がぶっとんでいました。そのプレゼント内容は、読んでのお楽しみ。)はじめ、研究者、音楽家、デザイナー、漫画家、小説家などなど、現在活躍する素敵な大人たちの、ユニークな青年時代のエピソードを知ることができます。また、その多様な仕事内容やバックグランドは知的関心を刺激します。第2章は、立花氏による講義ですが、これまた、科学から文化・芸術まで幅広く、豊かな内容を、わかりやすく、おもしろく語っており、もっと知りたいという好奇心が、自然とわいてきます。
そして第3章の最後の手記は、私自身とても心揺さぶられたのですが、ゼミナールの学生たちが、それぞれの率直な考えや気持ちをつづっています。自分自身の経済的な苦労が研究テーマになっている人、大きな失恋に影響を受けた人、人嫌いとクソ真面目を直すためにバイトをはじめた人。それは確かに東大生らしいスマートな文章でつづられていますが、悩み、模索し、もがいてもいる姿は、ほかと変わらない、等身大の二十歳の青年たちだなあと感じました。また、学んで、卒業して、就職に向かうだけでなく、今この時間に思い悩むこと、それは時にしんどいことではあるけど、それがいかに大事なことか、自分自身の礎にもなる重要なことだと考えさせられます。
以下は、立花氏が講義の中で引用した、マラルメの詩です。
私たちは航海している
私の色々の友達よ
私はすでに船尾にいるが
君たちは豪奢な船首となり
雷と冬との荒波を切り開く
みなさんの二十歳、学生時代はどんなふうでしょうか。迷ったり、悩んだり、先が見えてこなかったり。そうした中から、荒波を切り開いて、自分の道がみえてきますように。
学生サポートルームカウンセラー