コラム

心に残る言葉


いつの間にか秋も深まり、気付けばもう12月です。
元来読書好きな私ですが、秋冬は特に本が読みたくなります。
今回は、私が大好きなある詩についてコラムを書かせていただくことにしました。

それは、吉野弘さんの“生命は”という詩です。

「生命は自分自身だけでは完結できないようにつくられているらしい
花も、めしべとおしべが揃っているだけでは不充分で
虫や風が訪れて、めしべとおしべを仲立ちする

生命はその中に欠如を抱き、それを他者から満たしてもらうのだ
世界は多分、他者との総和
しかし互いに欠如を満たすなどとは知りもせず、知らされもせず、
ばらまかれている者同士、無関心でいられる間柄
ときにうとましく思うことさえも許されている間柄
そのように世界がゆるやかに構成されているのはなぜ?

花が咲いているすぐ近くまで、虻の姿をした他者が光をまとって飛んできている
私もあるとき誰かのための虻だったろう、
あなたもあるとき私のための風だったかもしれない」

これを読んだとき、感動とともに心の中に浮かんだのは「あぁ、そうか」という思いです。まさにすとんと、腑に落ちたという表現がぴったりでした。
人と関わるということは、時に煩わしく、時にストレスの種でもあるでしょう。
自分がここにいる意味は?何のために勉強しているの?、と存在理由を見失うこともあるかもしれません。でも、「あなたは私のための風」であり、「私も誰かのための虻」になりうるのです。そう考えると、少し心が楽になりませんか?

自分を癒す言葉、助ける言葉をたくさん持っているということは、心の栄養になります。
どうか、皆さんも素敵な言葉と出会うことができますように。

学生サポートルーム カウンセラー