コラム

気ままにめぐる、世界あちこち旅

 感染状況が長引き、予定していた旅行や留学に行けなかったという人も多いことでしょう。私もそうです。こうして行けなくなると、旅というのは、日常を抜け出してひと息つき、日常のことをみつめなおして戻るという、貴重な意味合いがあるなと感じます。
 あ~、つまらないと思いながら、代わりに旅行エッセイを読んでみました。ちびまるこちゃんの作者による「ももこの世界あっちこっちめぐり」(さくらももこ、集英社文庫)。中でも、父ヒロシとともに行った、アメリカ旅行の様子は、まるこちゃんが父ヒロシに冷静なつっこみ入れつつ、愛情もって行動していることが印象的でした。ほかにも、村上春樹さんの「遠い太鼓」(村上春樹、講談社文庫)を読みました。季節外れのギリシアの小さな島、そこでの滞在記。島で暮らしたらどんなかなと想像がふくらみます。
 もともと、私自身、田舎の小さな大学で学生生活を送っていたので、下宿にこもって、よく本を読んでいました。特にフランス文学にはまったことがあり、「フランス文学案内」(渡辺一夫、鈴木力衛、岩波文庫)をみて、古典文学から現代文学までたくさんの本を読み漁りました。ほかに、ピアノの先生が、ドイツ留学経験者でしたので、チャイコフスキーやシューマンの小品集のレッスンを通して聴く、シシリア島の農民の暮らしやドイツのクリスマスの様子などおもしろく、楽しんでいました。三国志が好きだったので、三都の様子や、シルクロード行きの旅行パンフレットを集めては、よくチェックしていたことも思い起こされます。こうしてふりかえると、田舎にいながらも、世界の様子をこころにとどめ、ある意味「旅していた」なあと感じます。
 社会人となって、ヨーロッパだけでなく、アジアやアフリカの国に行くこともできました。しかし、ロシアをはじめとするスラブ語圏の国々、南北アメリカ大陸、中東や南アジアなどはまだまだ行ったことがありません。いろいろ調べて、感染状況が落ち着いたら行ってみたいと思っています。現在、旅ができずにつらいですが、動画や過去のテレビ番組をチェックしつつ、行ってみたい国の様子をみて、本でその歴史や文化、そして語学の番組を楽しんでいます。せめて、簡単な挨拶ぐらいは覚えて、現地の人と関わるうえでのアイスブレイクになったらいいなと思いつつ。
 オンライン留学、動画をみながらの各国の様子のチェック、音楽や本など自分自身の興味関心に従っての調べもの、あるいは、いつか一緒に行こうと友だちと話し合いながら、おうちで楽しむ、気ままな世界あちこちめぐりは、いかがでしょうか。

学生サポートルーム カウンセラー