IBコース:教科書だけでは学べない、本物の学びを小笠原父島で体験
2025年7月13日から21日にかけて、IBコース2年生10名が、特別プログラム「CASx」の一環として、小笠原諸島・父島での8泊9日の自然環境実習に参加しました。本プログラムは、国際バカロレアの「CAS(Creativity, Activity, Service)」活動を実践的に支援する目的で企画され、今年で5年目の実施となります。
CASとは、学業の枠を超えた「創造性・活動・奉仕」の3つの領域を通して、自己理解や他者との関係性、社会への貢献意識を育むIB独自のプログラムです。生徒たちは教室では得られない経験を通じて、主体性や責任感、共感力などを身につけることが求められています。
世界自然遺産の島で「生きた学び」
父島は東京からおよそ24時間の船旅を経てたどり着く離島で、日本にありながら“外国よりも遠い島”とも言われます。この隔絶された環境が生み出す独特の生態系と自然の中で、生徒たちは「教室の外の学び」に没頭しました。
実習は、小笠原海洋センターの協力のもと行われ、ウミガメの孵化・放流や夜間の産卵観察パトロール、卵の保護作業、水槽・甲羅の清掃など、生徒自身が環境保護活動に直接関わる貴重な機会となりました。また、小笠原世界遺産センターやビジターセンターでの学習、森のフィールドワーク、スターウォッチング、さらにはシュノーケリングやドルフィンスイムといった多彩なアクティビティを通じて、島の自然や文化、そして生態系への理解を深めました。 心を動かす出会いと学び
現地では、全国・海外から集まった研究者やボランティアの方々との交流もあり、生徒たちは海洋生物学や環境保全の現場で活躍する人々のリアルな声に強く心を動かされました。「自分も将来こういう仕事に就きたい」「次はボランティアとして戻ってきたい」という声も多く、学びは将来の夢へと自然に結びついていきました。
現地に足を運ばないと得られない「本物の学び」
この研修で得たのは、単なる知識ではなく、自然と向き合い、人とのつながりを感じながら育まれる“本物の学び”です。ウミガメの命の重みを間近で感じ、絶滅危惧種の保護という世界的な課題に触れたことで、生徒たちは地球環境の大切さを自分ごととして捉えるようになりました。
胸に刻まれた「第二のふるさと」
帰路の船では、見送りに集まったスタッフや島の方々と涙ながらに別れを交わし、生徒たちは「ありがとうございました!」と声をそろえて父島を後にしました。その姿には、この体験が一人ひとりの心に深く刻まれ、かけがえのない“第二のふるさと”となったことが表れていました。
今回のプログラムを通じて、生徒たちは学びの本質と、自分の未来へのヒントをしっかりと掴みました。これからの彼らの歩みに、この体験が大きな意味を持つことは間違いありません。