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SGH フィリピン 貧困・防災研修を実施(前半報告)

2016.02.06

Super Global High School (SGH)
SGHフィリピン研修報告


SGH フィリピン 貧困・防災研修2015 実施報告(前半)


 昨年度に引き続き、2016年1月31日(日)~2月8日(月)にかけて、高校3年・2年のGLコースと高校1年生GJクラスの生徒20名と教員2名で、フィリピン研修を実施しています。
 生徒は希望者のなかから選抜された20名で、訪問先は、フィリピンの首都 マニラ近郊と、一昨年11月の台風で大きな被害の出たレイテ島にある、Philippine Science High School Eastern Visayas Campus (PSHS EVC) です。マニラ近郊では、主に「貧困」についての研修を行い、レイテ島では「災害」に関する研修を行う、まさに本校のSGHのテーマに沿った内容の研修です。

1月31日(日) 第1日目

  飛行機の出発が機材の準備の都合で定刻より40分遅れたものの、順調なフライトでニノイアキノ国際空港に着陸しました。ところが、空港のイミグレーションが長蛇の列で、その通過に時間を費やし、結局、現地NPOアクセスの皆さんとのミーティングタイムが大幅にずれ、とても迷惑をかけてしまいました。アキノ国際空港は、出待ちの人々は空港の中には入れず、従って、私たちがいつ到着したのかもわからないままに、アクセスの出迎えの人たちは、ただひたすら私たちが現れるのを待っていたとのことでした。(申し訳なかったです)。しかしながら、ここまでは時間がかかったのですが、宿舎に向かう途中は、日曜日のことで、渋滞もほとんどなく、(もちろん、フィリピンの人たちの足であるジムニーとバイクの波にもまれながらも)、結果的には宿舎のNCCPには予定時刻より少し遅れた程度で到着することができました。

今回もここフィリピンで、草の根の活動を通して地域に貢献をしておられるNPO団体アクセスの皆さんのご協力を得て研修を行っておりますが、そのアクセスのスタッフの皆さんから宿舎NCCPの利用の仕方やフィリピンでせ生活するときの留意点などのレクチャーを受け、5時30分には近くのモールへと散歩がてらの小旅行に出かけました。自分の足で、初めてのフィリピンを体感することになりました。渋滞は激しくないのですが、それでも、どことなくくすんだガスっぽい空気を吸いながらのモールへの道すがら、路上生活の小さな子供たちの物乞いに出会い、現実社会の厳しさを目の当たりにし、私たち自身改めて大いに考えさせられる初日となりました。

タイ米のご飯と豚と鶏と野菜の入ったスープに焼き魚の夕食を取り一息入れた後で、アクセスの皆さんから、フィリピンの歴史と現状についてのミニレクチャーを受け、その後、翌日のスモーキーマウンテンで生活をしている人たちの村の訪問調査と、その土地のデイケア―センターや地域の小学校訪問に備えてのグールプでのワークショップを行い、最後はその日の反省と明日への意識を皆で共有し合いながら一日を終えました。

 

  


2月1日(月) 第2日目

  今日は、6時起床、7時朝食、8時出発で、パヤタスに向かいました。パヤタスはスモーキー・マウンテンで有名な土地で、そこでscavenger「ごみをあさる人」として暮らす人々の生活ぶりを直接見て・聞いて・考えることが主な目的です。アクセスの人々が活動の拠点としているSANGKAP DAY CARE CENTERに集合し、彼らから、パヤタスの歴史、そしてなぜこの地がスモーキー・マウンテンの一大拠点となったのか、そしてそこに集う人はどのようないきさつでここにたどり着き、生活を送っているのかという基本的な事柄のレクチャーを受け、そして、そこで暮らす小さな子どもたちに教育を受ける機会を提供しているこのセンターの役割や現状などをしっかりと学ぶことができました。ここに学びに来る生徒は、「読み書きそろばん」という基本的なリテラシー教育を受けられる他に、家庭での食事の保証がなされていない場合が多く、食事の提供を受けることもできます。生徒たちはその配膳のお手伝いをした後で、いよいよスモーキー・マウンテンの町へと出かけました。そこの現状を確かめ、理解するために、自分の足で歩きながらアクセスのスタッフの話に真剣に耳を傾けていました。1時間程町を歩き、スモーキー・マウンテンを間近で観察し、次は、scavengerたちの各家庭に聞き取り調査に向かうことになりました。そこでの暮らしぶりや、収入の話など、多岐に及んだ聞き取りは1時間余りにも及び、今回のマニラでの研修のハイライトとして、生徒たちの記憶に強く残る活動となりました。

 Jollibeeのハンバーガー又はチキンの昼食(選択)を終え、午後からはLupang Pangako Elementary Schoolで現地の小学生との交流活動を行いました。折り紙、紙風船、独楽、おはじき、けん玉などそれぞれ各班の生徒たちが用意した遊びや日本語の数字の読み方を教えたりして、あっという間の1時間でした。その間、立命館の生徒たちは本当に熱心に指導し、何とか小学生の興味関心を引こうと苦心した甲斐があって、本当に有意義な、笑顔の絶えない瞬間の連続となりました。小学校3年生と5年生の各2クラスの子どもたちと活動をしたのですが、本校生が口をそろえて言ったことは、彼らの笑顔が本当に輝いていたということでした。

 一日の最後には、マニラ市内のスモーキー・マウンテンの町トンドから、そこで様々な啓蒙活動を行っている青年団の人々から直接、トンドの現状や歴史に関する報告を受けました。実に内容の深い研修となったと思います。トンドはレイプ・麻薬等の犯罪やChild Labor、社会保障の欠如など、人権の存在しない世界で、「そこで生活せざるを得ない」人々の苦しみから、私たち自身何を学び、これから何を考え、どのように生きていくべきなのかを改めて思考させられる時間となりました。

 最後のまとめで、一日の振り返りを英語で発言してもらうこととして、お互いの感想なり意見なりを共有し合う時間としました。最後の加藤先生の熱弁までしっかりと学びきれた一日となりました。「彼らの笑顔の意味することは」という大きな宿題が私たちに残されました。


 


2月2日(火) 第3日目

  今日は昨日とは違って、リラックスした日となりました。いつものように6時起床、7時朝食、8時出発で、メトロマニラの市内に入り、高山右近の石碑、フィリピン独立の英雄ホセ・リサールの石像のあるLuneta Park、国立博物館を訪れ、フィリピンの歴史的な人物や文物をたどりながら、昨日の「重い」一日をじっくり振り返る時間となりました。

 午後からは、フィリピンの人たちの大好きなショッピングモール(MS North)に行き、各自思い思いの昼食を取りながら、フィリピンの人たちの日常に触れました。特に、スーパーマーケットやフードコートでは、現在の一般的なフィリピン人たちが何を食べそれにいくら費やしているのかという素朴な疑問の回答を見つけることができました。

 最後は、この2日間のまとめとしてのワークショップを行い、一日の研修を終えました。マニラ市内を車で移動中、路上で生活する人々、道路脇や車の群れの中を縫うように進みながら様々な物を売り歩く同年代以下の子どもたちの姿、一方に大邸宅やスカイスクレーパー、一方にスラム街の並ぶマニラ市内、相変わらずところかまわないジープニーたち。生徒の目を通してのマニラの現実が浮かび上がってきました。いよいよ明日はTondo地区へ。マニラ一番のスラム街とそこで学ぶ同年代の学生たちの姿を見て、生徒たちはいったい何を感じ取ってくれるのでしょうか。