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SSH 海外科学研究Workshop Hawaiiコース 実施報告

2017.08.07

Super Science High School (SSH)
高校3 海外科学研究WS報告

 

SSH 高校3SSGクラス 海外科学研究Workshop Hawaiiコース 実施報告

 

 714()から24()にかけての1011日間、高3SSGクラスの8人が海外科学研究ワークショップHawaiiコースの研修を行いました。オアフ島のホノルルとハワイ島のヒロを中心としたエリアで、さまざまなサイエンス実習を行う取り組みですが、例年にも増して多彩なプログラムで、充実した研修となりました。

 714()の夕刻に関西国際空港を出発した一行は、ハワイに着いてもまだ14()のお昼という時差を体験し、その日、早速にオアフ島でお世話になるKalani High SchoolOtani校長先生らに迎えられ、Kalani High Schoolのロボティクス・チームのメンバーと交流をしました。Kalani High SchoolRobotics Team “MAGMA”は現地でロボットの大会で何回も優勝している強豪チームで、太陽光発電ですべての機器を動かせるトレーラー式のロボティクス・ラボが校庭にあり、時にはそのトレーラーごと地域の小学校に運んで小学生にロボティクスの体験もさせるという地域貢献もしているとのことでした。我々も、そのラボにある立体カッティング・マシンを使用し、各自がPCでデザインしたキーホルダーを作成する実習をさせていただきました。ベニア板をレーザーで精巧に切り抜いたり削ったりできるマシンの仕組みに、熱心に見入り、観察していました。その後、ホームステイ先の生徒バディが学校に迎えに来てくれ、歓迎を受けた後、各ホストファミリーに分かれて帰宅しました。

 715()は、本校生徒とハワイの生徒バディの全員でホノルル市内の研修を行いました。Kamehameha王の銅像を訪れ、ハワイの歴史の講話も受けましたが、生徒達はMonkey Podなどの大きな樹木に感心を惹かれ、そちらの質問ばかりしていました。そのあたりがSSGらしいなあと感じました。

 717()は、Kalani High Schoolは新年度の入学生の手続きの日で、学校自体はすごく忙しそうでした。それでも、我々を受け入れてくださっている学校の姿勢に感謝しかありませんでした。この日は、午前中、ハワイ大学(University of Hawaii)で講義を受け実験をさせていただきました。生徒バディの皆さんと全員でハワイ大学のホノルルキャンパスを訪れ、この研修の後半で訪れるハワイ島の火山の仕組みについて、専門に研究をされておられる大学の教授から講義を受けるとともに、過去にJSSFに来てくれたハワイ大学の学生や助手の皆さんにも手伝っていただいて、寒天状のゼリーの山の下からマグマに見立てた液体を注入し、どのようにマグマが進み噴火するのか、また、なぜ岩盤の構造ができるのかを観察しました。その後、ハワイ大学のさまざまな研究室を訪問させていただき、ちょうど研究の最中であった月面から採取してきた石も見せていただきました。とても興味深い内容が多く、有意義な研修でした。

 午後は、ホノルルで有名なダイヤモンド・ヘッドの頂上まで登る研修でした。暑い日差しの中、途中に急な階段もある、ハードなコースでしたが、全員が頂上まで登りきりました。頂上からは、ダイヤモンド・ヘッドがその輪の一部をなす丸いクレーターの地形がはっきりとわかり、とても興味深く眺めていました。

 



 718()は、ホノルルからハワイ島のヒロに移動する日でした。ホノルルでのホストファミリーや生徒バディとのほんとうに楽しかった思い出で、別れを惜しみながら、また、JSSFでの再会を誓って、空路、ヒロに向かいました。ヒロへの飛行時間は、実質30分程度で、ヒロ空港では、JSSFで顔なじみのWaiakea High Schoolのオリーブ先生をはじめとした皆さんに歓迎を受けました。この日は、Hilo Bayに移動して、昼食のパーティーを行なっていただき、また、Waiakea High Schoolの新たな生徒バディとヒロ湾にある日本庭園のガジュマルの樹の説明を受けたり、また、その長い頑丈な枝で遊んだりと、交流を深めました。

 719()は、Astronomy Dayでした。朝から、Waiakea High Schoolに集合したのち、学校からすぐ近くのハワイ大学ヒロキャンパスの横にある国立すばる天文台(日本の国立天文台:望遠鏡自体はマウナケアの頂上近くにありますが、実際の観察は、遠隔操作で、このヒロにある観測所と東京の三鷹にある観測所で行っておられるとのことでした)を訪れました。日本からの派遣で来ておられる研究員の先生に、すばる天文台の仕組みや、8mもの反射鏡を持つこの天文台ならではできる研究の数々のご紹介、それになぜマウナケアが天体観測に有利なのか等のお話をいただき、生徒達も聞き入っていました。また、このすばる天文台でWaiakea 高校時代からの研究を継続している研究して成果を出している大学生のユニークな研究も、そのご本人達からご紹介いただき、本校の生徒達もおおいに刺激を受けていました。

 その後、マウナケアの方に移動しました。残念ながら、近づいてきているハリケーンの影響か、時々小雨の降る天気で、マウナケアにも雲がかかり、心配でしたが、まずはkipua pu’u huluhuluという溶岩台地のなかに取り残された自然の樹木の保護区の丘に上り、雄大な溶岩台地とマウナケアの様子の観察をしました。実は、マウナケアは標高が高く、高山病の危険があるので、特に中高生はしばらく薄い酸素に慣れてから上らないといけないことになっており、今回も、マウナケアのVisitor Centerに行く前に、慎重に、遊びながら高度順応を図りました。夕刻には、Visitor Centerにあがり、日没を待ちましたが、あまり天候はよくなく、時折、小雨が降ってはやむ感じでした。それでも、基本的には雲の上に出ることが多い高度の地点でしたので、雲の切れ間を辛抱強く待ちました。また、生徒のホストファミリーの一家庭の父親がハワイ大学の天文学の研究者でたまたまこの日も観測に来ておられて、ご協力をいただけ、観測に適した場所をご紹介いただけました。

 そして、しばらく待っていると、ラッキーなことに、雲が下降し、きれいな満天の星空が見えてきました。

 また、上述のハワイ大学の教授から、レーザーポインターでプラネタリウムさながらにさまざまな星や星座のご説明をいただいたり、持ってきておられた天体望遠鏡で土星の観察をさせていただいたり(土星の輪が非常にくっきりと見えました)と、非常に充実した観測をさせていただけたとともに、北斗七星から北極星がはっきりとわかったり、天の川がしっかりと見えたり、また、南十字星も見えるなど、ハワイのマウナケアならではの天体観測ができました。生徒達も、地面に寝転がって、迫ってくるような星空を堪能し、寒さに震えながらも、感動していました。

 その後、Waiakea High Schoolの先生方やホストファミリーの方に、雨の中、運転をしていただき、ヒロに戻りました。朝の8時過ぎに集合して夜の10時前に戻るという、長い一日でしたが、ほんとうにとても充実した有意義な一日でした。

 720()は、Volcano Dayでした。マウナロアの周辺、特にキラウエアでの研修が中心になりますが、こちらも日没後にマグマの様子がよく見えるので、朝からの長い一日でした。

 午前中、まずはPunaluu County Beach Parkという黒い砂浜のビーチを訪れました。この砂浜は、通常の砂浜と同じような砂の感触なのですが、色が黒くて有名なビーチです。この日は、熱帯低気圧の影響もあってか、非常に風が強く、波も高めでした。ただ、そのおかげもあってか、いつもより多くのウミガメがビーチにあがっていて、間近で観察することができました。黒い砂浜のビーチは、比較的新しい砂浜だというご説明を受けました。ハワイ島には、このようなblack sand beachもあれば、green sand beachwhite sand beachもあるのだということでした。

 その後、マウナロア周辺のHawaii National Parkに移動し、まずは1996年に噴火した溶岩台地を歩きました。すでにもう噴火は落ち着き、危険はありませんが、その荒涼としたどこまで行っても黒い溶岩ばかりの地形のなかに、大地の割れた後や、たくましく芽を出してくる植物の観察を行うことができ、ハワイの溶岩の特異性と大自然の摂理を感じることができました。

 その後、溶岩の洞窟を訪れ、溶岩の流れや溶岩台地に根をはやす植物の根を下から観察した後、噴火後のクレーター(カルデラと思うくらい大きなもの)の底におりて横断をしました。数年前までは、まだ熱いマグマ状の溶岩のそばを歩いたようですが、今はもうほぼ落ち着いて、やけどをするほどのところはありませんでしたが、それでも、まだところどころから水蒸気が噴き出しており、歩いている途中でも地熱を感じるところがありました。

 この日は、さらに、キラウエアの観察ポイントであるJaggar Museumで噴火の仕組みや地震予知に関するさまざまな展示で研修をしたのち、いったん近くの街におりて食事をとり、また、日没後にJaggar Museumに戻り、キラウエアの噴火の様子を観察しました。とても風が強く、寒くはありましたが、そのおかげか、噴煙が邪魔にならず、溶岩の噴き出す様子までがとてもよく見えました。また、この日も星空が非常にきれいに見えて、昨夜のおさらいではないですが、北極星や天の川、南十字星がとてもよく見えました。

 この日も、朝から夜の9時過ぎにヒロに帰ってくるという充実した一日で、しかも、ハイキングと言いつつ10km近く歩いたので、とても長い一日でした。

 721()は、ヒロ市内での研修が中心でした。

 午前中は、ヒロ市街の博物館で、ハワイ諸島の成り立ちやハワイ周辺の魚や動物に関する見学と研修を行い、また、ヒロ市立図書館の前にあるNaha Stoneを見学したり、Rainbow FallThe Boiling Potsを見学してハワイの文化について研修を行いました。

 昼食後には、ヒロ湾で翌日にカヌーの大規模な大会が開かれるので、特別に、このカヌー大会の主催者のお一人から、ハワイのカヌーに関する講義を砂浜で受けました。ハワイの伝統的なカヌーの文化に触れるとともに、そのカヌー形状や仕組みについて、興味深く聞いていました。

 その後、Waiakea High Schoolに戻り、オリーブ先生の教室で、活動を行いました。今回は、ジャイロコプターによるドローンの操作で、本校生徒とホームステイ先のバディの2人がチームになって、障害物を通り抜けるコースによる競争を行いました。小型のものではありましたが、ドローンが10台近くそろえられているのに驚くとともに、本校の生徒も含めて、操作になれるのが速いのも、さすが高校生と感じました。

 722()は、各自、各ステイ先の家族とそれぞれ過ごしました。あらためてハワイ島の広大な大自然や溶岩の間からでも花を咲かせる植物に触れ、それぞれ感動していました。

 

 

 

 

 


 そして、723()、日本時間では24()の早朝、ヒロ空港を飛び立ち、ホノルル空港経由で、帰国の途につきました。