構成するイオンの形状に依存して組織構造の変調が可能な集合体・機能性材料の創製

 生命科学部応用化学科の前田大光教授と羽毛田洋平講師、坂東勇哉博士、笹野力史博士、田中宏樹さん(生命科学研究科博士前期課程2年)は、高輝度光科学研究センターおよび北海道大学の研究グループと共同で、ポルフィリン(※1)AuIII錯体カチオン(※2)からなるイオンペア(※3)の合成と、共存するアニオン(※4)の形状や電子状態に依存した集合体(結晶・ゲル・液晶材料)の創製を明らかにしました。

 今回、前田教授のグループは、平面構造を有するポルフィリンのAuIII錯体が安定な+1価カチオンとなることに着目し、カチオンに対してさまざまなアニオンを組み合わせる方法を確立することで、多様なイオンペアの形成が可能であることを発見しました。注目すべき点としては、脂溶性置換基を導入したポルフィリンAuIII錯体からなるイオンペア集合体において、平面状のアニオンを導入することによって、およそ300 °Cまで安定な液晶材料が構築できることを明らかにしたことです。このとき、集合体(液晶材料)はカチオン(ポルフィリンAuIII錯体)とアニオンが交互に規則的に積層配列し、安定化することを、大型放射光施設SPring-8を利用した実験によって解明しました。さらに、アニオンの種類を適切に選択することで、同じ電荷を有するイオンからなる配列構造をつくることが可能であることも見出しました。

π電子系イオンを基盤としたイオンペア集合体の創製
π電子系イオンを基盤としたイオンペア集合体の創製

 組み合わせの自由度を活かしたイオンペアを集合化に利用し、イオン間の相互作用に立脚した興味深い特徴や物性を明らかにしたことで、電子の高密度充填を基盤とする有機エレクトロニクス材料(強誘電体・半導体)の創製につながることが期待されます。

 なお、この成果は、Cell Press社が出版するiScienceの2019年3月31日版にオンライン掲載されました。

【用語の説明】
(※1)ポルフィリン:4つのピロール環が組み合わさって形成される環状分子
(※2)カチオン:正電荷を有する化学種
(※3)イオンペア:相反する電荷(正・負)を有する化学種のペア
(※4)アニオン:負電荷を有する化学種

【論文題目】
論文タイトル:Liquid Crystals Comprising π-Electronic Ions from Porphyrin–AuIII Complexes
著者:Haketa, Y.; Bando, Y.; Sasano, Y.; Tanaka, H.; Yasuda, N.; Hisaki, I.; Maeda, H.
雑誌:iScience
DOI: 10.1016/j.isci.2019.03.027

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