防災に関する超重要な研究の話はもちろん、琵琶湖のほとりでのプライベートな生活や、同僚との飲み会の話まで、たっぷり伺いました。
<立命館との縁>
RADIANT、以下R: まずは、先生のこれまでのキャリアと、立命館とのつながりについて聞かせてください。
キム・ドウォン先生、以下DK: 実は立命館とはすごく縁が深いんです。教員として正式に着任する前から、ここで修士号と博士号の両方を取得しました。ですから、私の学術的な基礎は全部立命館で築かれたと言えますね。
日本に来る前は、韓国国立文化財研究所で勤務し、貴重な経験を積みました。そこで培った知識や視点が今の研究の土台になっています。2009年に来日して立命館の修士・博士課程で学び、2014年に卒業しました。それ以来ずっとここで研究を続けています。
R: へえ、本当に深いご縁ですね!じゃあ、立命館に残って研究を続けることを決めた一番の理由はなんだったんですか?
DK: やっぱり、この立命館という場所なら、文化財の災害リスクマネジメントの研究で、意義のある貢献を継続できるという確信があったからです。その強い目的意識が私をここに留まらせている理由ですね。
R: なるほど。では、立命館での研究者生活についてお聞きします。海外出身研究者として働き始めたとき、何か「これは大変だな」という特有の課題に直面しましたか?
DK: ええ、当然ありましたよ。この大学にはとても優秀な研究者がたくさんいます。ただ、一つ課題だと感じたのは、立命館の研究成果が、国際的な学術コミュニティに対して、うまく開示・共有できていないことがままあるということです。その壁を乗り越えて、私たちの研究をグローバルな文脈に繋げる努力をすることが、私にとってずっと変わらない重要なテーマになっています。
<過去を守り、未来をデザインする>
R: 先生の研究分野、「文化遺産と防災計画」は、難しそうですが、めちゃくちゃ大事ですよね。この分野の一番大事なところを、ざっくり教えてもらえますか?
DK: 私の研究の原動力は、防災計画への強い関心です。この研究は、歴史的に重要な文化遺産エリアにおいて、「文化遺産保護」と「建築基準規制」という二つの要素のバランスをどう取るか、という繊細な部分にいつも焦点を当てています。人々の安全を守りつつ、大事な文化遺産を長く残していく。この両方を確実にしないといけないんです。
私の全体的なゴールはかなり広範囲にわたります。持続可能性と、地域独自の文化・社会的なアイデンティティを保つために、都市やコミュニティが取り入れている「これぞベスト!」というやり方を見つけて、それを共有することです。そのために、綿密な分析や現地調査を行い、使いやすいコミュニケーションツールの開発にも取り組んでいます。最終的な目標は、こうした実践的な経験を理論に落とし込み、世界のどこでも活用できる形にすることです。
R: すごく熱心に取り組まれていますね。普段の先生の研究活動って、具体的にどんな感じなんですか?
DK: 今はコミュニティベースの研究に力を入れています。特に文化遺産とまちづくりに注目していて、社会実践を重視しています。単に報告書を作るだけじゃなくて、アクションリサーチやコミュニティデザインを通して、実際に解決策を探る活動にも積極的に参加しているんです。
世界遺産の持続的なマネジメントやリスクマネジメントというミッションをサポートするために、国内外を飛び回っています。それに、「明日の京都 文化遺産プラットフォーム」の企画調整委員会にも参加していて、そこで若手部会を任せてもらっているんです。これは、文化遺産の未来を一緒に考えて、大事な課題を次世代に伝えるための、すごく良い機会だと思っています。
R: 大学の環境について聞かせてください。立命館の研究施設やサポート体制全体をどう評価されていますか?
DK: 全体的には、研究環境は「十分整っている」と言えますね。しっかりした基盤と組織体制はあります。ただ、将来のことを考えると、防災のような複雑な地球規模課題を解決するために、本当に学際的な研究を育てるには、特別にデザインされた、革新的な学際的研究空間が絶対に必要になってくると思います。
これは立命館での私自身の今後の研究ビジョンにも繋がる話です。既存の研究センター同士で、もっと強力な学際的連携をデザインして作り上げたいと強く思っています。組織内の縦割りを壊すことこそが、イノベーションには欠かせませんからね。
<仕事を離れて>
R: ここからはガラッと話を変えて、プライベートについて伺います。今、どこに住んでいて、どんな環境で生活していらっしゃるんですか?
DK: 滋賀県大津市に住んでいます。実は、そこの環境にすごく満足しているんですよ。一番の魅力は、琵琶湖と湖岸の緑地が近いことですね。便利さと自然の美しさがうまく調和した、最高の住環境だと思います。
R: 出張や研究で忙しい日々から解放された休日は、どう過ごしているんですか?
DK: 休みは家族と過ごすことに費やしています。妻と2人の子どもたちと一緒が基本ですね。あと、日本の伝統的なお風呂、銭湯が好きで、よく通っていますよ。
よく行くお気に入りの場所もいくつかあります。すぐに思い浮かぶのは、京都の一乗寺にあるおそば屋さんです。それから、三重県大台町にある義理の叔父の家にも頻繁に行きます。そこはすごく美しい山間部で、町全体がユネスコ生物圏保存地域(大台ヶ原・大峯山・大杉谷ユネスコエコパーク)に登録されている場所なんですよ。
R: 最後に、ご家族以外ですと、立命館の同僚との関係はいかがですか?
DK: ありがたいことに、学内では本当に良い同僚に恵まれています。仕事や研究室を離れても、ちゃんと交流があるんですよ。よく一緒に居酒屋にご飯を食べに行って、もちろんお酒も楽しみます。研究や出張でバタバタした1週間の後に、リラックスしながら人間関係を保てる、最良の方法だと思っています。