立命館大学
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立命館学園創立110周年

イベントレポート

国際平和ミュージアム

わだつみ不戦の誓い 鼎談

戦後、立命館は「平和と民主主義」を教学理念として掲げ、戦前の痛苦の体験の反省に基づいて、学徒出陣によって徴兵され戦火に斃れた若人たちの苦悩を現した戦没学生記念像「わだつみ像」を、学園の平和のシンボルとして1953年にこの立命館大学に建立しました。1950年に制作されてから2010年で60年を数えた「わだつみ像」を、「平和創造」めざす人材育成のために役立て、「私たち自身に何ができるか」を考え、実践する契機とするために、この企画を実施しました。

鼎談に先立ち、戦争で命を落とした学生たちの手記『きけわだつみのこえ』を刊行し、わだつみ像の制作に携わった父・中村克郎氏の意志を継ぎ、「わだつみ平和文庫」の設立に尽力した中村はるね氏とボランティアの人々の奮闘を記録したドキュメンタリー映像「わだつみの声よ永遠に~受け継がれる平和への想い」を上映しました。

続く鼎談は、まず中村はるねさんより、父の意志を受け継ぎ、10万冊の書籍と中村徳郎、克郎兄弟の資料を展示する「わだつみ平和文庫」を実現していくまでの厳しい道のりと、そこで感じた苦悩から父からの「これを実現するんだ!」というメッセージを強く感じたことを語り、実現に共に尽力された小林是綱さん(元山梨県立図書館長、現岩手県立図書館指定管理者統括責任者)への感謝の言葉が述べられました。

続いて東ちづるさんから、自身がその活動に従事する「世界ウルルン滞在期特別編 戦場で傷ついた子どもたち~ドイツ国際平和村の10年~」を上映し、「事実を伝える教育をしていくことが大事。勉強し、知り、想像し、自分の考えを自分の言葉で表現する事こそが必要。日本の若者たちにはまだ足りていない」と述べられました。また東氏は「自分が自分らしく豊かな心で生きていく。そうしないと他人を大切にできない。そして、子供たちが自分を大切にできる環境づくりを、大人たちがしていくことが平和に繋がるのでは」と熱く語りました。

お二人のお話を受け、安斎名誉館長は「日本には平和に関する博物館が多いが、教育に活かしきれていない。平和ではない地域の現実もふまえ、学生たちが『自分に何が出来るか』を考え、実践する力をつけられるような教育を目指したい」と述べました。

最後に、中村さんは「医者として、毎日患者と接する中で、話をして受け止めることの重要性を実感している。戦争の酷さ、平和の大切さを伝える資料の保存は難しい。でも、なんとか皆さんに協力して頂き、残りの人生を『戦争の廃絶』に懸けている父の思いを残していけたら」と締めくくりました。最後に立命館大学学生から、パネリストへの花束の贈呈があり、盛大な拍手の中、本企画は終了となりました。

当日は10代から70歳以上の方まで、幅広い年齢層のお客様にお越しいただき、114人の参加がありました。なかには遠路この企画参加のため足をお運びいただいた方もありました。

【日時】2010年11月28日(日)14:00~16:00
【会場】立命館大学衣笠キャンパス 以学館2号教室
【出演】パネリスト    中村 はるね氏 産婦人科医師
                  東 ちづる 氏 女優
コーディネーター         安斎 育郎 氏 国際平和ミュージアム名誉館長




お話される講演者の皆様
学生による花束贈呈

国際平和ミュージアム

展示「わだつみ 不戦の誓い」展

今展では、立命館百年史編纂室の協力を得て、立命館大学を含む学徒出陣、戦没学徒の手記『きけわだつみのこえ』出版、戦没学生記念像「わだつみ像」がなぜ造られたのか、なぜ「わだつみ像」が立命館に建立されたのか、その後どういう歴史を辿ったのか。この像の制作にいたった「わだつみ像縁起」(中村克郎氏自筆)をはじめとした貴重な資料を所蔵する「わだつみ平和文庫」(甲州市塩山)からの借用資料、立命館百年史編纂室、国際平和ミュージアムが所蔵する資料を展示しました。

会 期:2010年11月27日(土)~12月18日(土)

会 場:立命館大学国際平和ミュージアム 1階ロビー



国際地域研究所(人文社会リサーチオフィス)

「グローバル危機後の新たな東アジア構築」を実施

今回のシンポジウムは、2008年に世界を襲った金融危機とその克服の在り方について、20世紀初め以降の世界史並びに、東アジアの現状を踏まえて検討することを目的に開催されました。 第一部、第二部あわせて5名の研究者からそれぞれの研究について報告があったのち、経済、政治、市民社会、東アジア共同体というキーワードでパネルディスカッションが行われました。 学生、院生、一般の方々ふくめて150名近くの参加者が来場され、タイムリーな話題を含む議論に会場は熱気につつまれていました。

報告者:

劉 江永 氏        清華大学国際問題研究所教授

益田 実 氏        立命館大学国際関係学部教授

Hyung-Kook KIM 氏  淑明女子大学社会科学部長

沈 銘輝 氏              中国社会科学院アジア太平洋研究所副研究員

中野 佳裕 氏           立命館大学客員研究員





経済学部

「アジアにおける地域協力と革新」韓国・タイ・中国・日本 4カ国国際会議実施報告

本国際会議は「アジアにおける地域協力と革新」を共通テーマにして、各国若手研究者の国際的な発表の場とするとともに、若い世代の交流を通じてアジア諸国の友好に資することを重要な目的として、11月23日(日)びわこ・くさつキャンパスで開催しました。

午前の部では、滋賀県知事 嘉田由紀子氏、釜山市副市長(韓国) Ki Woo Lee氏、国家経済社会開発庁副長官(タイ)Porametee Vimolsiri氏が「アジアにおける地域開発と環境問題」をテーマとしてそれぞれ基調講演を行ないました。

その後、基調講演を行なった三氏に加えNIDA(国立開発行政院)(タイ)教授 Dararatt Anantanasuwong氏、釜山国立大学(韓国)教授 Hyun-Ok Han氏、曁南大学(中国)教授Linhai Mei氏によるパネル・ディスカッションを実施しました。

午後の部では、NIDA、釜山国立大、曁南大、本学経済学部・研究科の研究者、大学院生が3つの分科会で各自の研究テーマの報告を行い、討議を実施しました。

午前の基調講演、パネル・ディスカッションには経済学部の基礎演習学生や大学院生、教員など200名弱が参加し、午後の分科会には50名強の教員、大学院生が参加しました。参加した大学院生、教員・研究者からは自身の研究分野の今後の展開に非常に有意義であったという評価を多数いただきました。なお、今回の好評を踏まえ、来年度はタイ(主催NIDA)で同様の国際会議を実施する予定です。






産業社会学部 遠藤研修室、映像学部 望月研究室

110周年記念企画シンポジウム「アール・ブリュットと私たち-共感する魂と身体」を開催

2010年11月13(土)14:30~16:30、京都市大学のまち交流センターキャンパスプラザ京都第1会議室において、110周年記念企画シンポジウム「アール・ブリュットと私たち-共感する魂と身体」を開催しました。(企画者:産業社会学部・教授 遠藤保子及び映像学部・准教授 望月茂徳)。

当日は、110周年記念の趣旨とアール・ブリュットという言葉の説明をしたあと、各シンポジストに以下のお話をしていただきました。

初めに、本学の非常勤講師でもあり振付家でもある砂連尾 理氏は、障がい者と出会うまでの活動と2007年から始まるみやぎダンス、循環プロジェクトの活動、ドイツの障がい者劇団ティクヴァとのかかわり、ティクヴァのシステム等について映像を交えて報告しました。また、映像制作にかかわった立命館大学の学生が、現地取材の感想を述べました。

次に、NPO法人ダンスボックスのエグゼクティブ・ディレクター大谷 燠氏は、障がい者とダンスとどのように関わり始めたのか、さらに2007年、明治安田生命の社会貢献プログラム「エイブルアート・オン・ステージ」に採択された循環プロジェクト(障がいを独自性ととらえ、社会に存在する様々な境界をアートを通じて乗り越え、多様な価値観を持つ人とつながり純化していくことを目的としたプロジェクト)の紹介と、それを実践する際の課題を等について報告しました。

最後に、ナイジェリアベニン大学・リサーチアシスタントO.オサズワ氏は、ナイジェリアのエスニック・ダンスは、若い世代の人々が親や長老から受け継ぎ、宗教的そしてスピリチュアルな要素を有していること、コミュニティの脈絡とかかわって踊られることから、観客のために踊るのではないこと、したがってハンディキャップがあるかないかは問題ではなく、コミュニティのあらゆる人が踊る等を報告しました。

シンポジウムには、33名の人々が参加しましたが、熱心に興味深く聞いてくださいました。シンポジウム終了後のアンケートをみますと、刺激的なイベントだった、とてもおもしろかった、生の声を聞けてよかった等、好評でした。


写真1.報告するシンポジスト
写真2.熱心に聞き入る参加者

Ⅱ 映像放映

シンポジウムに関する映像「アール・ブリュットと私たち-共感する魂と身体」を以下の2か所で放映しました。1.2010年11月27日~12月11日、東山青少年活動センターのロビー 2.2010年12月6日~12月13日 中京青少年活動センターのロビー。

この映像は、大きな反響を呼び、京都新聞(2010年12月09日)にも掲載されました。


写真3.人々の興味をひいた映像 於:東山青少年活動センター
写真4.熱心に鑑賞される映像 於:中京青少年活動センター

立命館中学校・高等学校

Rits Super Science Fair 2010 開催報告

立命館中学校・高等学校では、11月2日から6日までの5日間にわたってRits Super Science Fair 2010を開催しました。Rits Super Science Fairは、本校が主催して毎年行っているFairで、取り組みの中心は高校生による研究発表です。研究に優劣をつけることなく、将来へ向けてのモティベーションやネットワークを育てることを大切に考えています。

Fairは年々大きくなり、第8回目をむかえる今年は海外18カ国・地域から31校、約120名の高校生と国内からは15校の高校生が集まりました。

本校出身のロボットクリエーター高橋智隆氏による記念講演や口頭による科学研究発表、グループごとに国の枠を超えてチームを作り楽しみながら競いあうScience Zone等、様々な熱気溢れるセッションが5日間にわたり実施されました。

最終日の閉会式では、各国・地域の代表が感想を述べ、生徒実行委員長からYoung Scientists’ ManifestoとしてこのFairでの成果を確認する文章が読み上げられ、満場一致で採択されました。参加生徒には終了証が授与され、生徒制作のエンディングPVとともに感動の閉幕を迎えました。