国際平和ミュージアム
わだつみ不戦の誓い 鼎談
2011-01-31 14:28:03 更新 | 教職員公募企画
戦後、立命館は「平和と民主主義」を教学理念として掲げ、戦前の痛苦の体験の反省に基づいて、学徒出陣によって徴兵され戦火に斃れた若人たちの苦悩を現した戦没学生記念像「わだつみ像」を、学園の平和のシンボルとして1953年にこの立命館大学に建立しました。1950年に制作されてから2010年で60年を数えた「わだつみ像」を、「平和創造」めざす人材育成のために役立て、「私たち自身に何ができるか」を考え、実践する契機とするために、この企画を実施しました。
鼎談に先立ち、戦争で命を落とした学生たちの手記『きけわだつみのこえ』を刊行し、わだつみ像の制作に携わった父・中村克郎氏の意志を継ぎ、「わだつみ平和文庫」の設立に尽力した中村はるね氏とボランティアの人々の奮闘を記録したドキュメンタリー映像「わだつみの声よ永遠に~受け継がれる平和への想い」を上映しました。
続く鼎談は、まず中村はるねさんより、父の意志を受け継ぎ、10万冊の書籍と中村徳郎、克郎兄弟の資料を展示する「わだつみ平和文庫」を実現していくまでの厳しい道のりと、そこで感じた苦悩から父からの「これを実現するんだ!」というメッセージを強く感じたことを語り、実現に共に尽力された小林是綱さん(元山梨県立図書館長、現岩手県立図書館指定管理者統括責任者)への感謝の言葉が述べられました。
続いて東ちづるさんから、自身がその活動に従事する「世界ウルルン滞在期特別編 戦場で傷ついた子どもたち~ドイツ国際平和村の10年~」を上映し、「事実を伝える教育をしていくことが大事。勉強し、知り、想像し、自分の考えを自分の言葉で表現する事こそが必要。日本の若者たちにはまだ足りていない」と述べられました。また東氏は「自分が自分らしく豊かな心で生きていく。そうしないと他人を大切にできない。そして、子供たちが自分を大切にできる環境づくりを、大人たちがしていくことが平和に繋がるのでは」と熱く語りました。
お二人のお話を受け、安斎名誉館長は「日本には平和に関する博物館が多いが、教育に活かしきれていない。平和ではない地域の現実もふまえ、学生たちが『自分に何が出来るか』を考え、実践する力をつけられるような教育を目指したい」と述べました。
最後に、中村さんは「医者として、毎日患者と接する中で、話をして受け止めることの重要性を実感している。戦争の酷さ、平和の大切さを伝える資料の保存は難しい。でも、なんとか皆さんに協力して頂き、残りの人生を『戦争の廃絶』に懸けている父の思いを残していけたら」と締めくくりました。最後に立命館大学学生から、パネリストへの花束の贈呈があり、盛大な拍手の中、本企画は終了となりました。
当日は10代から70歳以上の方まで、幅広い年齢層のお客様にお越しいただき、114人の参加がありました。なかには遠路この企画参加のため足をお運びいただいた方もありました。
【日時】2010年11月28日(日)14:00~16:00
【会場】立命館大学衣笠キャンパス 以学館2号教室
【出演】パネリスト 中村 はるね氏 産婦人科医師
東 ちづる 氏 女優
コーディネーター 安斎 育郎 氏 国際平和ミュージアム名誉館長
お話される講演者の皆様 |
学生による花束贈呈 |