人間福祉専攻
人間福祉専攻では、現代社会が産み出す人々の生活困難を緩和・解決し、人権、発達、幸福を守り発展させるための諸科学を学び、研究します。乳幼児期から老年期までの各ライフステージにおける人々の生活困難は、貧困や孤立、発達の阻害、心身の障害や疾病、家族や地域社会の諸問題など、多岐に及びます。生活問題の解決・緩和のためには、制度・政策策定、地域社会での活動、パーソナルな援助などマクロからミクロまで広い取り組みが必要です。
社会という枠組みから包括的にアプローチする「福祉社会」領域では、高齢社会、国際社会など現代社会を捉える「目」を養い、行政、産業、経済について見識を深めながら、福祉との関わりを考えていきます。人に着目し、その発達や精神、関係性の中から福祉に迫る「人間発達」領域では、乳幼児から青年までの心理学、発達学のほか、カウンセリングやコミュニケーションについて学び、人にアプローチするための知識とスキルを習得します。その他調査や統計、ソーシャルケアについて学び、テクノロジーとしての福祉のスキルを獲得する領域や、社会福祉士といった専門資格取得に必要な科目を揃えた領域もあります。まずは身近な問題意識から自分の視点を見定め、将来を見据えて専門性を高めていきましょう。
履修モデル
「社会保障政策と地域福祉」
に関心がある場合
少子高齢化の進行や過疎化の深化、貧困と格差の拡大、グローバル化の進展などの社会構造の変化のなかで、福祉をめぐる問題の実態やそれへの政策的対応とその課題について学びます。将来、福祉関係の行政職等を考える学生向けです。
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- 基礎演習
- 基礎社会学
- 現代と福祉
- 社会福祉概論など
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- プロジェクトスタディ
- 社会保障論
- 介護概論
- 地域福祉論
- 公的扶助論
- 社会福祉法制など
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- 専門演習
- 福祉政策論
- 福祉行財政論
- 福祉計画論
- コミュニティケア論など
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- 卒業研究
- アジアの福祉研究
- 国際保健医療政策研究
- 国際福祉社会論
- 国際福祉政策論など
「特別なニーズと発達支援」
に関心がある場合
障害児施設職員や特別支援教育教員をめざす人をはじめ、何らかの障害のために生じる特別なニーズがある子どもや大人に対する発達支援に関心のある人は、ここに例示する履修モデルが一つの参考になるでしょう(ただし、教員になるには、別途、教員免許状をとる必要があります)。
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- 基礎演習
- 基礎社会学
- 現代と社会
- 児童福祉論
- 障害者福祉論
- 心理学など
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- プロジェクトスタディ
- 福祉臨床論
- 乳幼児心理学
- 発達障害論など
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- 専門演習
- 発達保障論
- 人間発達論
- 児童・青年心理学
- ライフサイクル論など
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- 卒業研究
- 心理臨床論
- スクールソーシャルワーク論など
「バリアフリーと住環境」
に関心がある場合
高齢化は私たちの生活や企業のビジネスをも変えつつあります。例えば、「バリアフリー」が注目され、住宅メーカーはバリアフリー対応の家の開発を急いできました。人間福祉専攻で、福祉に関わる「住環境」や「テクノロジー」について学ぶのも興味深いことです。
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- 基礎演習
- 基礎社会学
- 現代と福祉
- 社会福祉概論
- 老人福祉論
- 障害者福祉論など
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社会福祉調査論、福祉計画論、福祉情報論、バリアフリー論、福祉住環境論、リハビリテーション論などの専門科目を計画的に履修してください。
学びをより深めるためのクロスオーバーラーニング
現代社会専攻とクロスオーバーする例として、「地域社会と孤立高齢者の見守り」というテーマで「地域の共生」「高齢者福祉」を「無縁社会」問題研究として広げることができます。スポーツ社会専攻とクロスオーバーする例として、「障害者スポーツ」というテーマで「障害者の“自立”」と「スポーツ政策」の関係へ研究を広げることができます。子ども社会とクロスオーバーする例として、「不登校」というテーマで「教育」と「子どもの生きづらさ」の研究を広げることができます。
取得できる資格
- 中学校教諭一種(社会・保健体育)
- 高等学校教諭一種(地理歴史・公民・保健体育)
- 特別支援学校教諭一種(知的障害者、肢体不自由者、病弱者)
- 社会福祉士国家試験受験資格(定員あり)
- 社会調査士(定員あり)
注:時間割の関係上、複数の資格課程を並行して履修することができない場合があります。