2009年5月1日開設
いわゆる「FD義務化」により、各大学においてFDプログラムが実施されている。FD先進大学と呼ばれる大学もあれば、FDをどうやって実施すべきか試行錯誤している大学もある。FDを実施するには、「自分の大学をこうしたい」「FDとは○○だ」という思想がないといけないが、目の前のFDプログラム(PDCA)に追われて、じっくりと語られることはない。急速な大学改革のなか、FD実施の号令が各大学の生き残りをかけて出され、それゆえ各大学のFDセンターは「走りながら考える」あるいは「走るだけ」の状況にいやおうなく追い込まれていると言える。しかし、ここで少し立ち止まって、わが国でFDと呼ばれる営みにおいて何が行われているのか、整理する必要がある。この作業なしに自らのFDプログラムがどこに位置づくのかを知りどこに向かうべきなのかを考えることはできない。つまり<FDの思想>をそろそろ作っていかなければいけないのである。現在はFD立ち上げ期の勢いで盛り上がっているが、このままの状況を持続してゆくことは考えられないであろう。そこで本HPでは、FDをどう考え、実施してゆくべきか、そのための組織はどうあるべきかについて考えたい。
筆者は1999年1月から2005年3月まで京都大学高等教育研究開発推進センターに勤務し、また、2005年4月から2008年3月まで徳島大学大学開放実践センターに勤務した。そこでFDプログラムについて考え、実施してきた経験から述べたい。なお現在は「FDセンター教員」ではなく「一般教員」であり、「一般教員」の全学FDに関する意識にもひたっている次第である。念のため、こういうこと書いているからって、またFD業務やりたいと言っているわけではないっすからね、はっはっは・・・(と逃げてゆく)
(立命館大学・神藤貴昭)
目次
1.FDの考え方(相互研修型FDを組織するということ)
2.全学FDセンターの在り方
3.個別研修から相互研修に向かうFDプログラム
・授業コンサルテーション
・集中型FDプログラム(大学院生研修)
・集中型FDプログラム(大学教員初任者研修)
4.組織介入から相互研修へ向かうFDプログラム
・FD組織作りのためのFD−1(私立大学の事例)
・FD組織作りのためのFD−2(私立短期大学の事例)
・集中型FDプログラム(FDリーダー層研修)
5.FDにおける臨床とは何か
・授業コンサルテーションを事例として
・FDする人とは?
※ このあたり、神藤貴昭 2011 「FDの臨床論 ―FD担当者の臨床的感覚に注目して―」 京都大学高等教育研究,17, 85-94. としてまとめました。
6.FDをどう変えてゆくか
7.FDエッセイ