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2016.11.30
【EIZO DAYS】08:コミュニケーションのデザインを追求したい
2007年設立の立命館大学映像学部。
とにかくまだまだ「知る人ぞ知る」存在です。
そんな学部を知っていただくには、まず在学生を紹介するのが一番なのではないか?!私たちはそう思いました。
なぜ、映像学部を選んだのか?入学してから戸惑いや苦労はなかったのか?今映像学部でどんなことに熱中しているのか?など、学生の声を通して映像学部についてご紹介します。
【episode08】二木 温さん(2016年度3回生、望月ゼミ所属、福岡県出身)
私は元々音楽が好きで、ミュージックビデオ(MV)をよく見ていました。見ながら、いつも「こんな映像が作れたらかっこいいな」と思っていました。中学生の時、周囲はまだガラケーばっかりだったのですが、無理を言って親にiPhoneを買ってもらいました。iPhoneの中には「imovie」というアプリが入っていて、動画も撮れるし編集だってできちゃう。もう本当にワクワクして、試しに学校のクラスの動画を撮ってスライドショーを作ったらすごく盛り上がったんです。これが私の映像制作初体験でした。
高校は(あまり大きな声では言えませんが)、本当に嫌いで行きませんでした。とにかく「校則」というのが嫌で仕方なかった。それである日先生に呼び出されて、学校に行かない理由を話したら、「じゃあ自分で校則を変えたらいい」と言われて。その発想はなかったので驚きましたが、「なるほど」とも思いました。そこからは奮起して、生徒会に入り、「風紀を正す」のではなく、「風紀を変える」という目的で「風紀局長」という任務に就きました。PTAも巻き込んで、署名を集めたりして何とか校則を変えました。
その生徒会活動の一環として、「3年生を送る会」というのをやることになって、私はそのスライドショーの制作を担当することになりました。学校から送られてきた3000枚くらいの写真と、他校に赴任していった先生のもとで撮影させてもらった取材映像を15分くらいのスライドショーにまとめるんです。結構大変でしたが、公開当日の3年生の反応がとても良かった。本当にたくさんの人からお礼を言われました。学校が嫌で嫌で仕方なかった自分が、生徒会に入り、先輩からお礼も言われてしまうという、高校はそんな劇的変化の時代だったんです。
こういった経験もあって映像クリエイターになりたくて、受験では映像系の大学を受けました。映像学部はその中の一つ。第一志望は実は国公立でしたが、落ちました。いろんな人に相談して「受かったところに『縁』がある」という結論になり、その縁に賭けてみようということでここに来ました。京都という場所にもすごく惹かれていたというのもあります。
大学では「RoAM」という自主ゼミを立ち上げて、貴重な経験をしています。当たり前のことかもしれませんが、私は「映像」=「映画」ではないと思っています。当然、実写映像を作っているサークルなどでは実写以外は受け入れにくいという風潮があります。私はいろんな感性の人と会って自分に新しい価値観を取り入れたい。大学はそういった多様な感性と出会える最高の場だと考えています。だから特定のジャンルに縛られずにクリエイターが集まる場所を作りました。
映像学部に入って思うのは、もっとみんな「競争意識」をもって取り組もうよということ。人の作品を見てもっと悔しがったり、自分の意見を主張したりしていい。自分は他の人の作品を見て「悔しい」しかない。だから皆がやっていないことをやりたいといつも思っています。もう一つ思うのは、これはいいことですが、入学前に映像学部は「美大には勝てない」と思っていたのがすぐ払拭されたということです。総合大学の強みは確実にある。ある意味ポピュラーで対外的なことたくさん学べます。一つのことを知りすぎると細かいディテールばかり目が行き過ぎて発展しないということがあると思います。映像学部の科目だけでなく、一般教養科目は全部おもしろいし、他学部の学生とディスカッションできるのも楽しいです。そういう環境に身を置けるということは自分にとって非常に意義のあることです。
今は来年の卒業研究も見据えながら幅広く楽しく学んでいます。自分は広い意味で「デザインする」ことが好き。表現することに限らず、頭の中にある“考え”を整理して“ビジュアライズ”することもデザインだと思います。僕の場合はたまたまグラフィックが多いですが、ビジュアライズするための手法は何でもいいのです。だからより多くの違う価値観の人たちとふれあうことによってうまれてくる自分の考えをデザインしていきたい。例えば人間は「実はこうしたい」と何かしら思ってはいますが、その欲望を抑えながら生きています。その「実は」には可能性がたくさんあって、そういう欲望を見つけていくことが、未来をデザインすることにつながっていると思います。坂道が嫌で自転車に乗ることを諦めた人に「電動アシスト自転車」という選択肢が増えたら、休日に気ままに街をサイクリングするという欲望が開花しますよね。我慢していたことを、本来自分が欲しているものだと再認識することができるんです。多分、そういう欲望が結果的に産業を生んで、将来の社会を作っているんじゃないかと思うんです。未来は人間の持つ欲望で決まる気がします。
将来は「国」もしくは「地域」にかかわる仕事がしたいです。企業で利益を追求するというよりも、誰かの役に立っているという実感を得ながら、「やってよかった」と思える仕事をしたい。そのために「デザイン」に携わり続けたいと思いますし、自分の考えをビジュアライズする手法を蓄積していきたいです。
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今年の「EIZO DAYS」では、学部パンフレットと連動して8回に渡って在学生へのインタビューをおこなってきました。
皆さんそれはもうイキイキとお話いただきました!
映像学部では、将来めざすベクトルに合わせて4つのゾーン(映像文化、映像マネジメント、リニア映像、インタラクティブ映像)を展開し、軸となるゾーンを拠点にしながらも、他の領域についても積極的に学べるカリキュラムを用意しています。
その学びの中で学生は、今回インタビューに応じてくれた皆さんのように、入学時の思いを貫き通したり、方向転換をはかったり、広い視野で物事を捉えていたり、一つのことにひたすらこだわったりしながら、それぞれの「プロデューサー・マインド」を身につけて卒業していきます。
映像学部に興味のある方は、是非今までのEIZO DAYSバックナンバーもご一読ください!
【episode01】永尾 優実さん(2016年度4回生、実写ゼミ所属、奈良県出身)
【episode02】牧之瀬 彩佳さん(2016年度4回生、古川ゼミ所属、大阪府出身)
【episode03】百武 美優さん(2016年度3回生、北原ゼミ所属、大阪府出身)
【episode04】櫻井 清花さん(2016年度4回生、大島ゼミ所属、静岡県出身)
【episode05】五十嵐 季旺さん(2016年度3回生、北野ゼミ所属、新潟県出身)
【episode06】柴田 龍輝さん(2016年度4回生、ゲームゼミ所属、岐阜県出身)
【episode07】鈴鹿 友周さん(2016年度4回生、細井ゼミ所属、京都府出身)
学生の「生」の声から学部の意外な側面が見えてくるかもしれません。