研究科長メッセージ ‐MESSAGE‐

研究科長メッセージ

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立命館大学大学院教職研究科
研究科長

井上 雅彦教授

 2017年4月に、西日本初めての私立大学単独の教職大学院として、立命館大学大学院教職研究科は設置されました。

 私立大学が教職大学院を設置する意味は、独自の教学理念にもとづき教員養成の高度化を図り、有能な教員を社会に輩出することにあります。立命館学園の建学の精神である「自由と清新」、教学理念である「平和と民主主義」を体現し、立命館憲章に掲げられている「確かな学力の上に、豊かな個性を開花させ、正義と倫理をもった地球市民として活躍できる人間の育成に努める」という理念は、立命館大学教職大学院の教員養成の理念でもあります。本研究科では、この理念のもと、新しい教育課題にチーム「学校」の中核として対応できる教員の育成を目指します。

 本研究科は京都府、京都市、滋賀県、大阪府、大阪市と、府県を超えた5つの教育委員会と連携協力するという全国初の試みによって、院生の課題や関心に合致した実習校や多様なフィールドワーク先を確保することができています。2019年には、独立行政法人教職員支援機構の近畿地区の拠点となる独立行政法人教職員支援機構立命館大学センターを本研究科に開設しました。各教育委員会のプラットフォームとして、高度な教員研修プログラムを開発・実施しており、本研究科の院生は、これら教員研修プログラムに参加して学びをさらに深めています。

 ここ数年にわたるコロナ禍によって、ICTの導入が進み、学校にも急速な変化が押し寄せています。学校とは何か、共に学ぶことの意味は何なのかなど「当たり前」を改めて問い直すことが教師には求められています。また、ネットいじめや不登校など複雑化・深刻化する教育課題やグローバル化などに対応するために、教職大学院でより専門的に学ぶことは、これからの教師にとって必須の条件となるはずです。くわえて教員免許更新制が発展的に解消され、教員研修の高度化が求められている今、教師は「教える専門家」であるとともに、「学びの専門家」でなければなりません。「令和の日本型学校教育」を担う教員の資質能力の向上に資するために教職大学院の役割はますます大きくなるでしょう。  本研究科では、学部新卒院生には、「地球市民」として活躍できる人間を志し、より高い資質能力をもった教員となるための指導・支援を充実させ、進路実現を図ります。また、現職教員院生には、これまでの実践を対象化し、理論と実践の往還・融合を図る主体としての力量を高め、多様な教育実践を組織的にマネジメントする方策を検討するために学びの場を提供します。

 「未来を信じ、未来を生きる」という言葉は末川博名誉総長のことばですが、教職は未来の社会を築く子どもたちを育てる重要な使命を担う専門職です。本研究科における協同の学びを通して、授業や学校づくりのリーダーが育っていくことを期待しています。