留学生との出会いから韓国社会に興味を持ち卒業論文に向けて研究中。将来は日本と韓国の橋渡し的な存在になりたい。
尾﨑 圭蔵 さん
国際関係学部 4回生
国際関係学専攻4回生の尾﨑さんに、国際関係学部での学びやゼミや卒業研究についてお話を伺いました。
国際関係学部の面白さはどんなところにあると思いますか。
尾﨑立命館大学 国際関係学部には本当に多様な機会があります。
「国際関係学」と聞くと「外交」や「安全保障」といった国家間の政治的な関係のみを扱うように聞こえるかもしれませんが、この学部ではもっと広い範囲で国際関係学を捉えています。広範囲の学問領域を基礎から専門・応用まで学ぶことができることがこの学部の魅力です。私は社会や文化・地域研究に興味があり、社会学・文化人類学・世界の各地域の地域研究科目を中心に履修してきました。
特に面白かった授業は「グローバル・シミュレーション・ゲーミング(GSG)」という授業です。GSGでは、2年生全員がある特定の国際社会のアクター(国家・国際機関・NGO・企業・メディアなど)の役をチームで演じ、国際社会における政治や交渉を模擬的に体験します。
私は、人権系NGOの代表として、現実でも国際的な場であまり重要視されない「LGBTQ+と権利」に関する条約づくりに取り組みました。GSGでは他のアクターとの交渉や外交文書・条約作りの体験を通して、外交の面白さや大変さ、国際社会の複雑さや権力関係を実際に(模擬的にではありますが)経験しながら学ぶことができました。
GSGは将来について考えるきっかけにもなりました。私は元々NGO職員になることをキャリアとして考えていたのですが、GSGでNGOの国際的影響力の限界を痛感し、現在では他のキャリア・プランを模索中です。また、入学時に関心のあった「イスラーム圏」や「LGBTQ+」ではなく、現在は地域研究の視点から見た韓国社会の包括的な理解に興味を持っています。授業で得た知識や経験も影響を大きく受けていますが、何よりも国際関係学部で韓国から来た留学生たちと出会ったことが大きいです。
自身のこうした入学時からの考え方の変化に私はとても満足していますし、多くの機会や出会いに恵まれている国際関係学部で学んだからこその変化ではないかと思っています。
ゼミではどのようなことを取り組まれていますか?
尾﨑私は現在、鳥山純子先生の専門演習(ゼミ)に所属しており、主にジェンダーやセクシャリティに関する学習を行っています。3年生の時は主に文献講読とオープンゼミナール大会の活動に注力しました。
ゼミの授業での文献講読では、卒業論文を執筆するにあたり、学術的な文献(新自由主義批判やLGBTQ+の概要書など)の批判的な読み方について、レジュメ作成やプレゼンテーションを通して学びました。
また、文献の内容について先生や他のゼミ生とディスカッションを行うことで、文献の内容の理解が深まると同時に自分の意見を他者に伝える力や他者の意見をどう理解し議論に活かすかといったスキルを身につけることもできました。
3年生の11月には「オープンゼミナール大会」に参加しました。この大会はゼミで学んだことをチームでまとめ、学外者も含むオーディエンスへ発表します。鳥山ゼミはこれまで一度も参加したことがありませんでしたが、私たち3年生は「せっかくの機会だし参加しよう!」とゼミとしては初めてオープンゼミに参加することを決意しました。
私たちは日本の性的役割分業に関する発表を行うことを決め、その事例としてまずトイレに着目しました。実際に商業施設などのトイレを調査し、そこにどんな設備があるか調べていきましたが、そこで男子トイレにはない化粧室の存在に関心が移り、「化粧の社会的かかわり」についてジェンダーの視点から調べることにしました。
そこから本番までの数ヶ月は忙しいものでしたが、皆でワイワイとリサーチや議論を進めることで、ゼミ生同士の仲がとてもよくなりました。発表当日は準備の甲斐もあり、とてもスムーズに進みましたし、チームで良い発表ができたと思っています。
研究のテーマ決めから調査・発表まで、研究の手法を実践しながら学ぶいい機会であったとともに、ゼミ生同士の結束力も上がり、スキル獲得の面からも交友関係の面からもオープンゼミはとても良い経験になりました。ゼミの後輩たちも今年のオープンゼミナール大会に出る意欲を示しているので、協力していきたいと思っています。
卒業論文はどのようなテーマに取り組まれていますか。
尾﨑私が現在取り組んでいる研究テーマは「韓国における徴兵制と個人の軍隊経験」についてです。韓国では大多数の男性が軍隊を経験する、ということは日本で生きてきた私にとってとても衝撃であると同時に、想像もつかないことでした。そうした「想像もつかないこと」を、他者の立場から体系的に理解することを目的とする「地域研究」の視座から研究したいと思い、取り組んでいます。
多くの先行研究を調査していく中で、「軍隊を実際に経験した男性たち(少し難しい言葉で「軍ひつ男性」と言います)」の視点が欠けていることに疑問を抱きました。こうした疑問は、実際に韓国で軍隊を経験した(あるいはこれから経験する)多くの留学生の友人たちと話をしていく中で尚更湧いてくるものでした。実際に軍隊を経験した人が「いない」軍隊の研究は不十分なのではないか? そうした問題意識から友人を含む軍ひつ男性とのインタビュー調査を通して彼らの経験を研究・調査しています。
卒業後の進路についてはどのように考えていますか。
尾﨑卒業後は韓国・朝鮮についての研究を更に深めるために、韓国の大学院に進学し、Korean Studiesを英語で学びたいと思っています。
そして、大学院を卒業した際には、日本と韓国の橋渡し的存在として何かしらの形で貢献したいです。まだ研究員や外交官などその「手段」は定まっていませんが、大学院で韓国・朝鮮をより専門的に学び、その知識を最大限生かせる職に就きたいと思っています。
2023年8月更新
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