横断的な学びで培った「多角的な視点」。アメフトと勉学が繋がる面白さを経験し、文武両道に励みました。

山下 憂 さん
国際関係学部 4回生

2024年3月に国際関係学部を卒業し、4月から立命館大学大学院 国際関係学科に進学する山下 憂さん。アメリカンフットボール部PANTHERSで主将としてチームを率いた一方で、西園寺記念奨学金を受賞するなど学業でも優秀な成績を修められました。

立命館大学 国際関係学部を志望した理由や入学前に学ぼうと思っていたことを教えてください。

山下立命館大学 国際関係学部を志望するに至った理由として、2つの背景があります。まず1つ目は、私はこれまで多くの方々によって支えられ、周囲の方々に恵まれていると強く感じていたため、「人と人との『繋がり』」を大切にして生きてきました。そして2つ目は、高校3年生時の研修旅行におけるホームステイを通じて海外での生活を経験し、様々なバックグラウンドを持つ人々と出会ったり、また伯母と1歳上の従兄弟がロサンゼルスに住んでいた関係で、幼少の頃から家族でLAに行くという恵まれた機会があったりしました。

私は、こうした経験によって、多様な文化や価値観、背景を持つ人々が繋がり、信頼を構築し、平和に共存していくことに興味・関心を持ちました。国際関係学部では2回生から選択できるプログラムの中で「国際文化理解プログラム」があり、多文化共生や人種などの興味・関心をさらに探究することができるという点に非常に魅力を感じて志望しました。また、立命館宇治高校に在学していた時の授業「国際平和探究」が国際関係学部の学びとリンクした内容になっており、その時にも「国際関係学部に進学したい!」という気持ちがさらに強まりました。

実際に入学された後、国際関係学部ではどのようなことを学びましたか。

山下私はこの4年間で主に、異なる文化的・歴史的背景を持つ人々が共存する多文化社会のあり方について学びました。現代では文化や価値観、バックグラウンドなどの違いによる衝突や排除が様々な場所で発生しています。国際関係学部では、それらの問題を文化的・社会的側面、政治的・経済的側面から分析し、衝突や排除を繰り返さないためにはどのような改善が必要なのかということを考察することができました。

世界は今、VUCA(突発的Volatility・不確実Uncertainty・複雑Complexity・曖昧Ambiguity)と言われる状況の真っ只中にあり、あらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生しています。目まぐるしいスピードで変化する社会を理解する上で、この4年間、文化・社会だけでなく、国際政治から国際経済・開発、地域研究までも横断的に学ぶことができました。多角的な視点を養い、複雑化している今日の問題をより深く理解することができたのは、国際関係学部ならではだと思います。

卒業研究では、人種とスポーツに関する研究を行いました。大学では知識や方法論を学ぶことができ、それらは私の視野を広げてくれた一方で、私たちの考え・見方を制限あるいは固定してしまう可能性があるということにも気づいています。今後も、国際関係学部で身につけたモノの見方や情報に対する考え方を活かしつつ、自ら視野を狭めてしまわないよう、学び続けていきたいと思っています。

4年間で一番力を入れた取り組みを教えてください。

山下4年ぶりに関西リーグ優勝を果たすことができた「立命館大学アメリカンフットボール部PANTHERS」での活動です。

4年生の時には、総勢170名を超えるチームの「主将」を務め、スローガンに「Pack of Panthers(一つの豹の群れになる)」を掲げ、「One Team」になることを核に取り組みました。私が核にした「ひとつになる」ことの必要性に関しては、まず、立命館大学アメリカンフットボール部には、関東から来た学生や関西の様々な地域から来た学生、スポーツ推薦の学生、付属校からの学生、そしてサッカーや野球などの他競技から移行してきた未経験者、経験者など、170名ほどの多様な背景を持つ部員が在籍しており、「個性が豊か」という特徴があります。しかし同時に課題として、その様々な個性のパワーがひとつの方向に向かって十分に発揮されておらず、単に能力だけが高いチーム、すなわち「バラバラだけど強い」と評価されていました。

そこで「ひとつになる」ことが必要であり、そのためには「細部にこだわる」ことが重要であると考えました。例えば、自分が苦しくなってきたからといって楽をする、または雑に行ってしまうと、それは誰かをもっと苦しめることにつながってしまいます。ですから、しんどい時だからこそ、自分だけではなく周りにいる仲間のことを思いやり、日々の行動やプレーを丁寧に行う、精度を求めていく、ということを徹底しました。加えて、日本一になるために様々な方法論がある中で、その方法論ばかりに目がいくと、実際に進むことに注力しなくなってしまうと考えたため、チームで決めた「One Team」になることや徹底することを信じ、責任を持って1年間貫徹することが自身の役割でありました。言い換えると、2023年度のチームの新たな「変化」を積み重ねることで、「進化」に前進させていくことが私の役割でした。

その結果、主力選手の怪我などが起きたとしても、「Pack of Panthers(一つの豹の群れ)」の底力を発揮することができ、4年ぶりに13回目の関西学生リーグ優勝を果たすことができました。部員全員の力で、立命館大学アメリカンフットボール部の歴史の1ページを刻むことができ、人生を変える経験でした。

山下しかし、そこで終わらなかったのがこの大学生活でした。もちろん、この大学生活においては数々の挫折を経験しました。例えば、練習がしたくても新型コロナウイルスによって練習が制限されたり、多くがスポーツ推薦で入部してきた仲間ばかりで、スピードやフィジカルに圧倒的な差を感じ、とても悔しい思いをしながらも、素直に向き合った結果、下回生から試合に出場する機会をいただけたと思えば、膝の怪我をしてしまい、手術をしなければいけないためシーズンアウトをしたりすることがありました。

ですが、私の最も大きな挫折は最後に起こりました。それは、私にとって最後となる全日本大学選手権大会の準決勝に進むチャンスを「抽選」によって失ったことです。2023年度の関西リーグは、3校同率優勝(関西学院大学、立命館大学、関西大学)であったため、全日本大学選手権の準決勝への切符を抽選で決めることになりました。そこで、私が総勢170名もの部員の想いと大きな責任を背負って向かった抽選で「2位相当」を引き、学生日本一という目標を達成するためのステージに立てなくなってしまいました。このように、目標を高く、厳しい道を選ぶほど、もがき苦しみ、どんなに努力して頑張ったとしても、どうにもならない状況、思い通りにいかない状況があることを経験しました。

一方、この4年間全力で励んできた結果が別の形で報われたことで、様々な辛さ、悔しさ、挫折、失敗という経験は、成功する時、勝つ時に必要な土台となっているのだと感じることができました。例えば、関西1部リーグのベスト11に選出していただけたり、一般社団法人大学スポーツ協会による「UNIVAS AWARDS 2023-24」のMan of the Year部門で最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞することができました。この賞は全国の大学アスリートが対象となっており、文武両道を実践し、他の模範となる運動部学生が表彰されます。そして最優秀賞は、他競技を含めて優秀賞としてノミネートされた8名から1名だけが選出されるもので、その最優秀賞をいただくことができ、とても光栄に思います。

最優秀賞の受賞、おめでとうございます。学内でも、成績優秀者に与えられる「西園寺記念奨学金」を受賞されています。アメフト部と学業の両立は大変だったかと思いますが、どのように文武両道を実現されたのでしょうか?

山下まず、私は「競技者」ではなく、一人の「学生アスリート」として、クラブ活動と学業の両立を誰よりも徹底することを重視していました。例えば、授業に毎回出席するのはもちろん、プリントの余白がなくなるぐらい授業のメモを取ったりしていました。特に、日々の授業課題では、300字以上のコメントシートに700字以上は書いていました。しかし、与えられる時間は1日24時間であり、授業と部活がある中で、アスリートとして睡眠時間は削れません。そこで私は、ありきたりかもしれませんが、家から学校までの間、学校から部活動までの電車の中でもパソコンを開いてひたすらレポートを書いていたように、空いた時間を有効活用していたことが、学業との両立につながったのだと振り返ります。

また、アメリカンフットボールで学んだことが勉学で活かせたり、逆に国際関係学部で学んだことがアメリカンフットボールで活かせたりと、アメフトと勉学が繋がる面白さを経験することで、文武両道に没頭していました。

卒業後は立命館大学大学院 国際関係研究科に進学されます。大学院進学を決めた理由を教えてください。

山下まず、学部時代に新型コロナウイルスの影響によって中止となった、ブリティッシュ・コロンビア(UBC)大学留学のリベンジをするためです。立命館大学大学院 国際関係研究科には、DMDP(Dual Master’s Degree Program)という2つの大学院の修士号を同時に取得できる画期的なプログラムがあり、これに挑戦したいと思っています。

私は、綺麗に整理された教材から「知ること」だけでなく、実際に足を運び「理解すること」が重要だと考えます。大学院の留学で海外の院生と共に勉学に励むことで、人種や多文化共生に対する新たな視点、感覚、価値観を学び、自身の研究を磨きたいと思っています。さらに、海外の大学院の修士号を取得することを通じて、グローバル化する国際社会であらゆる人と対等に向き合える力を身につけたいと考えています。

国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。

山下まず、迷っているなら「立命館大学 国際関係学部」を強くおすすめします。国際関係学部では、国際色豊かな環境のもと、横断的なプログラムによって、物事を「多角的な視点」で見る大切さを学ぶことができます。これは大学での勉強を超えて、日常生活や自分の人生に起こることをどう捉えるのか、ということにも応用できる力です。例えば私の場合、私生活やアメフトにおいて「失敗」や「挫折」とされる経験も、「いずれ人生のどこかで繋がり身を結ぶだろう」「必ず成功や勝利の土台となる」と考えることで、前向きな経験や学び、財産として捉えることができるようになりました。そうした意味で国際関係学部は、学問的な学びを得るだけでなく、人間として成長できる場でもあると思います。

最後に、私は国際関係学部生、そして立命館大学アメリカンフットボール部PANTHERSの一員として4年間を過ごすことができ、本当に幸せであったと強く感じています。ぜひ国際関係学部に進学し、立命館大学 国際関係学部生にしかできない学びや経験をしてみてください。

2024年3月更新

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