受験期に考えた“大学で学びたいこと”。「なぜフィンランドは選挙投票率が高いのか?」留学先での学びを通じて自分なりの答えを見つけられました。

西本 千穂 さん
国際関係学専攻 3回生

入学前から長期留学という目標を抱き、留学を見据えた授業の受講や語学資格の取得に邁進してきた西本さん。3回生時には、交換留学で希望していたフィンランドに1年間留学されました。大学生活や留学先での経験についてお伺いしました。

立命館大学 国際関係学部を志望した理由や入学前に学ぼうと思っていたことを教えてください。

西本高校3年生の時、大学受験へのモチベーションが下がっていた時に、塾の先生から「なぜ大学に行くのか」もう一度考え直すようアドバイスをいただきました。そこで、大学で何を学びたいのか改めて考えたことが、国際関係学部を志望するきっかけとなりました。

私は幼い頃から母の影響で政治に興味があり、特に日本での投票率の低さに関心を抱いていました。3歳から学んでいた英語を活かし、外国と日本の政策を比較研究することで、日本でなぜ投票率が低いのかを学びたいと考え、リサーチを進めるうちに国政選挙での投票率が72%と日本の投票率より約20%高く、国民の政治に対する関心が高いフィンランドについて大学で詳しく学びたいと思うようになりました。

立命館大学の国際関係学部ではヨーロッパの政治や比較政治学について学ぶことができ、立命館にはフィンランドの大学との交換留学プログラムもあったため、本学部への進学を決めました。

留学に行くまでにどのような準備をされましたか。

西本大学ではしっかりと目的意識を持って学びたいと思っていたため、入学時に卒業論文に向けた4年間の学習計画を立てました。履修する科目や研究方法の計画を立てたことで、大学生活で学びたいことがはっきりしましたし、4年間のどこかで長期留学に参加し、フィンランドの政治について現地で専門的に学びたいと考えました。

西本留学に行くまでの準備としては、4年間の学習計画に沿って、欧州政治史やヨーロッパ研究など、留学先で学びたい分野の基礎となる授業を中心に受講をしました。また、英語で開講されるグローバル・スタディーズ専攻の授業を履修することで、英語で国際学生と授業を受けることに慣れる練習をしました。必修の英語を学ぶ授業にも積極的に参加し、授業内でのディスカッションやプレゼンテーションを通して英語の4技能を磨くこともできました。授業内容の全てを理解することができなくても、授業外で先生の研究室を訪問して疑問点を解消するなど、英語に対する苦手意識をなくしました。

2回生の時には、留学参加に必須である語学資格IELTSの勉強にも注力しました。ボキャブラリーが少ないことから長文読解が苦手であったため、IELTSの参考書と並行して頻出単語の参考書を3周ほどしました。また、スピーキング練習に関してはオンラインの英会話スクールを利用し、フィリピン人の講師の方と2ヶ月ほど話すことで、多様なテーマに素早く回答する力を身につけました。

留学先としてフィンランドのトゥルク大学を選んだ理由を教えてください。

西本トゥルク大学を選んだ理由は2つあります。1つ目は、英語で開講される授業が豊富で、領域を横断して学ぶことのできるカリキュラムに魅力を感じたからです。実際、トゥルク大学では社会科学部に所属し、フィンランドの政治だけでなく、歴史、福祉、教育、文化、フィンランド語など、より深くフィンランドについて学ぶことができました。

西本2つ目は、フィンランドで最も国際性の高い大学であるからです。トゥルクはフィンランド最古の都市であり、京都のように伝統的な建物が多く、文化にあふれた街です。観光客のみならず、世界中から多くの留学生が集まっており、様々なバックグラウンドを持つ学生と国際交流ができると考えました。私が住んでいたstudent villageでも各国から集まった学生が共同生活をしていました。同じ寮に住むフラットメイト同士は非常に仲が良く、毎週テーマを決めて料理を持ち寄り、ハロウィンやクリスマスのイベントには、他の棟に住む友人たちも招いてパーティーをしていました。こうした共同生活を通じて、世界の広さを実感し、多文化理解を深める貴重な経験をすることができました。

現地ではどのようなことを学びましたか。

西本大学では、主にフィンランドの政治と歴史について学びました。留学期間中に大統領選挙が行われていたため、政治の授業では、各候補者や政党についてリアルタイムの解説を聞くことができました。フィンランドはロシアの隣国であり、ウクライナ戦争の影響を受けて国防政策が選挙の争点となっていました。街中でも売り上げの一部をウクライナに募金する商品が売られており、戦争の影響とウクライナへの連帯を肌で感じることができました。大学で政治と歴史を同時に学ぶことで、ロシアとスウェーデンに挟まれた小国としてフィンランドがどのように生き残ってきたか、またその歴史が現在の政治システムや選挙にどのように影響しているのかを深く学ぶことができました。

西本また、政治と歴史の学習を通じて、フィンランドは小国として生き残るために先を見据えた政策を積極的に採用していると感じました。特に、ヘルシンキ中央図書館を訪れた際に、3Dプリンタや音楽スタジオ等を図書館が無料で貸し出しており、若い学生が作品を制作しクリエイティビティを発揮している姿が印象に残りました。このように、フィンランド政府は公共施設に投資をすることで若者の学びや成長を支え、無料の子育て支援サービスを行うことで子育て世帯の負担を軽減するなど、若者を支援する政策を積極的に採用していました。

日本はまだ高齢者向け政策が多く、こども・子育て政策も改善すべき点が多く残されています。フィンランドのように先見性のある政策を採用することで、若者が社会に対して希望を持ち、より積極的に政治に参加するようになるのではないかと感じました。

留学先で苦労したことを教えてください。

西本留学先では予測がつかない状況が多く、変化に対応しなければならない場面が多々ありました。ストライキや大雪で交通機関が急にキャンセルになったり、街中で人種差別に遭遇するなど、日本とは異なる環境での生活に最初は苦労しました。日本にいる時は、心配性のため予期せぬ事態に直面すると先のことを考えすぎて何も手につかないことが多かったのですが、留学を通じ、変化の多い環境で生活をすることで、冷静な判断力と適応力を身につけることができました。留学先で得た経験とスキルは、将来どのような困難にも立ち向かい、積極的に挑戦を続ける原動力になると考えています。

留学の経験や学びを、今後の学生生活や卒業後の進路にどのように活かしたいですか。

西本学習面においては留学先で得た専門知識と学びを活かし、卒業研究の執筆に活かしたいと考えています。

また、留学生の支援団体にも所属しているので、私自身が留学先でサポーターの方に支えてもらった経験や、留学生支援団体のイベントを通じて多くの友人に出会うことができた経験を、日本の立命館大学に来る留学生に還元していきたいと思っています。

そして、先を見据えて若者に投資をする政策の重要性を学んだ経験から、先見性のある経営戦略を掲げ、社会の持続可能な成長に貢献するビジネスを展開する企業で、若い人々が未来に希望を持つことができる社会の構築に携わりたいと思っています。

交換留学を考えている在学生、国際関係学部を志望する受験生に対してメッセージをお願いします。

西本国際関係学部は「自分らしさ」を最大限発揮できる場です。大学生活では学部、サークル、バイトなど様々なコミュニティで異なるバックグラウンドを持つ人々と関わる機会が増えます。中学校や高校とは異なり、大学は世界が一気に広がる場であり、個々の性格や個性を尊重し合える環境が整っています。特に国際関係学部では、異なる人種や生い立ちの人々が集まる学部なので、周りを気にせず「自分らしく」いることができます。また、休学をしてワーキングホリデーに行ったり、海外の大学院に進学したりと、学生生活の設計も人それぞれです。そのため、型にとらわれることなく、自分の好きなことを追求することができます。

交換留学は、「世界の広さ」を知る非常に良い機会です。フィンランドでは政治、文化、人々の価値観など、学ぶこと全てが日本とは全く異なり新鮮でした。そして何よりも、一生の友人に出会えたことが留学で得た一番の経験です。留学先では楽しいことばかりでなく、大変なこともたくさんありました。しかし、困難を一緒に乗り越えることで、言語や人種に関係なく固い絆で結ばれた友人を作り、世界の広さを感じることができました。日本から約7500km離れた土地で友人たちと一生の思い出に残る経験ができたことは、今後の人生においても大きな心の支えになると信じています。

国際関係学部と交換留学での経験を通じ、「世界の広さ」を知ることで、より「自分らしい」幸せな人生を歩めるようになったと感じています。高校までは周りと同じではいけないといったプレッシャーを感じることが多かったですが、大学生活で異なる人生を歩む人たちに出会えたおかげで、様々な人生の形があるのだと学ぶことができました。受験生の皆さんの中で、少しでも英語や留学に興味がある方は、国際関係学部を受験し、留学に参加してみてください。国際関係学部生として過ごす4年間は、きっと人生を変える素敵な経験をもたらしてくれると思います。

2024年8月更新

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