タイ・バンコク国際機関研修に参加し、国際機関で働くことは私が目指したいキャリアだとあらためて感じました。私も彼らと一緒により良い世界を作っていきたい。

栗本 日和 さん
国際関係学専攻 4回生

学部独自の海外プログラム「タイ・バンコク国際機関研修」に参加された栗本さんに、現地での学びや印象に残ったことについてお話を伺いました。

国際関係学部を志望した理由を教えてください。

栗本途上国が抱える問題や、その問題をどう解決していくかということに興味があったので、国際関係学部で勉強したいと思いました。特に平和や貧困、国際協力などの授業を受けたいと思っていました。

国際関係学専攻では、「秩序・平和」、「協力・開発」、「文化理解」、「国際公務」と大きく4つの専門分野がありますが、自分が選択したプログラム以外の科目についても、自分の興味に合わせて授業を自由に履修できる点もとても魅力的でした。

「タイ・バンコク国際機関研修」に応募された理由を教えてください。

栗本私は将来、国際機関で働きたいと考えています。このプログラムに参加することは、国連の視点から様々な問題について深く学ぶことができる貴重な機会だと思いました。また、将来、国連で働くことへのモチベーションを維持するために、国連職員の方々に直接会って経験談を聞きたいと思っていました。

研修で学んだことや印象的だったことをお聞かせください。

栗本最初に訪問したUNHCR (United Nations High Commissioner for Refugees)では、職員の方から強制退去に関する業務についてお伺いしました。難民や国内避難民(IDP)についてある程度の知識はありましたが、実際を知ることができる非常に勉強になるプレゼンテーションでした。

学んだことのひとつは政府と協力していくことの難しさです。タイ政府は難民保護の基礎となる1951年の条約と1967年の議定書に署名していません。UNHCRはタイ政府にこの条約と議定書への署名を促していますがまだ時間がかかっています。実際、タイには8万9000人の難民と亡命希望者がいます。

また、難民に対する先入観や固定概念についての説明にも感銘を受けました。日本でも、おそらく他の国でも難民を受け入れると平和が脅かされる、仕事が奪われるといった意見を耳にすることがよくあります。

UNHCRは、そうした先入観を変えていく必要があると考えており、難民がより良い未来を築けるように様々な活動をしているということを知ることができました。同時にUNHCRで働くことの厳しさも学ぶことができ、国連のリアルな現場を体験できた貴重な機会になりました。

説明いただいた職員の方の言葉はとても感動的で印象に残っています。「どんなに仕事が大変でも、“今日も誰かの人生を少しでも変えることができた”と毎日ベッドに入る時に感じている」。彼女の言葉を胸に、国連で働きたいというモチベーションを維持していきたいと思います。

栗本ESCAP(Economic and Social Commission for Asia and the Pacific)では、多種多様なブリーフィングセッションがありました。ESCAPはSDGsに取り組んでいるため、環境対策、ジェンダー、人口動態の変化といった様々なトピックについて、各担当者からブリーフィングを実施していただきました。それぞれの取り組みに共通していたのは、パートナーシップの構築に重点を置いていることです。他の国連機関、政府、民間企業、学術機関が常に協力して取り組みを進められていますが、ESCAPが各アクターを仲介しているケースが多く、SDGsに取り組む上で、国連の中立的な立場が非常に重要であることを強く感じました。

また、国連でキャリアを築く方法についても学ぶことができました。国連で働くためには、多くのキャリアの選択肢があるということです。これまで知らなかった情報も得ることができ、とても有意義な機会となりましたし、国連で働いている方々が皆、同じ背景を持っているわけではないことにも気づきました。これは私にとって大きな収穫でした。話を聞く前は、国際公務員になるためには、全員が特定のステップを踏む必要があると思っていたからです。研修を終えた今、国連で働くチャンスは常に開かれていると考えられるようになりました。

「タイ・バンコク国際機関研修」のおすすめポイントを教えてください。

栗本様々な部門の職員と直接話す機会があることです。彼らは公式な情報だけでなく、経験に基づいた独自の情報も教えてくれました。組織の実情を知る良い機会になるでしょう。国際機関での勤務に興味を持ち始めたばかりの人にも、国連でのキャリアを真剣に考えている人にもこのプログラムをお勧めします。

機関に行ってみて、職員と話してみないと、国連での仕事がどのようなものなのかは分かりません。こうした機会があることは、とても恵まれたことだと思います。

研修で経験したことを今後のご自身の活動にどのように活かしていきたいですか。

栗本研修に参加して、国際機関で働くことは私が目指したいキャリアであるとあらためて感じました。国連で情熱を持って働いている人々を知り、私も彼らと一緒により良い世界を作っていきたいと思います。

一方で、私と国連の間にはまだ大きな隔たりがあることも研修を通じて理解することができました。これからもっと努力して、力をつけていかなければならないとも感じています。

2024年10月更新

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