Web授業の最前線(パート2)
立命館大学では、秋学期から新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底したうえで、授業の特性や教室条件などを踏まえ、(1) 対面授業、(2) 対面+WEB授業、(3) WEB授業、の3つの方法で授業を実施しています。いまだかつてない状況の下で、本学の教員・学生がどのように授業に取り組んでいるのかをご紹介します。
第2回目は、映像学部の品田隆教授、松本ヨシユキ教授にインタビューしました。
映像制作実習Ⅲという授業で、オンラインの上映会を開催されたと伺いました。映像制作実習Ⅲはどういった授業なのでしょうか。
1回生のコア科目に映像制作の基礎を学ぶ映像制作実習Ⅰ、Ⅱという授業があります。映像制作実習Ⅲは2回生の選択科目で、映像制作実習Ⅰ、Ⅱで学んだことを踏まえて実際に映像を制作する授業です。今年度は69名が受講しており、「バランス」をテーマに、16の組に分かれて、3~5分程度の映像を制作しました。例年は1組あたり15人前後で編成しますが、今年度は密を避けるために2人以上6人以下で組を編成しました。
授業はどのように進められましたか。
Zoomによるウェビナー形式とVideo On Demand(以下、VODと表記)の併用でした。従来はその場で教員が撮影などについてアドバイスできましたが、Webではそれができない。機材に関する指導などについて、教員が一から制作したVODコンテンツを学生は予め視聴したうえで、撮影したり、ウェビナーを受講しました。教員にとっては、限られた時間の中で毎回VODコンテンツを制作するのは苦労も少なくありませんでしたが、学修の効果は高かったと思います。完成した16作品は、Web上映会で教員・受講生が視聴して賞を決めました。
学生が使用する機材はどうされたのですか。
学生が撮影する際には、プロが使用する専用機材とBCP(事業継続計画)レベルに合わせたガイドラインを各組に配送しました。スマートフォンなどでは表現できない映像や音がありますから、新型コロナウイルス禍であっても専用機材を使用できる環境をどうしても整備したいと考えました。専用機材の数には限りがありますし、映像制作実習Ⅲ以外にも専用機材を使用する授業がありましたが、貸出スケジュールを管理し、配送手配することで学生たちが専用機材で撮影できる機会を確保しました。なお、配送料は全て大学が負担しました。
学生が映像制作を行うにあたり、留意された点はどういったことでしたか。
まず学生たちが安心して映像制作できるよう、教員が映像制作をサポートすることや、どんなことにも相談に乗るといったことを、授業担当教員8人の連名でメッセージを出しました。ES(Educational Supporter:教育サポーター)とも協力し、学生からの質問や相談をmanaba+R(クラウド型の教育支援サービス)を通じて回答しました。
また映像制作にあたっては、望遠レンズを用いて距離をとって撮影することや、美術、照明、撮影の準備の時間をずらすといったことなど、3密を避けた映像制作を心掛けてもらいました。これまで映像業界は、顔を突き合わせて議論して作品を作り上げていくことが重視されてきたように思いますが、これからはZoomで打ち合わせをして、3密を避けた映像制作が求められるはずです。今回の学生たちの経験は、社会に出てもきっと役に立つと思います。
例年よりも一組当たりの人数が少ないため、いつも以上に協力し合って制作していたように思います。例えば韓国出身の国際学生がいる組では、韓国で撮影と仮編集を行い、Zoomで打ち合わせを行いながら、日本にいるメンバーが仕上げの編集を行っていました。実際に同じ組のメンバーと会って、一緒に機材に触れることでしか学べないこともありますが、さまざまな制約がある中でもメンバーとの協力や工夫によって各組が質の高い作品を完成させたと思います。
最後に学生たちに向けたメッセージをお願いします。
学生には、持っている個性を伸ばしてほしいと思います。志を持って集まった仲間と協力し、切磋琢磨する中で個性は磨かれていくと思います。教員としては、学生の光っている個性を伸ばし、自信を持たせて、映像業界で生きていく力を身につけさせたい。新型コロナウイルス禍においても、オリジナリティ溢れる個性を伸ばせる場所=大学、でありたいですね。
取材日・撮影日:2020年7月24日
※TOPの写真は2018年撮影時のものを使用