総合科学技術研究機構・土`山明教授が、「公益社団法人日本地球惑星科学連合学術賞(三宅賞)」を受賞
総合科学技術研究機構・土`山明教授が、「公益社団法人日本地球惑星科学連合学術賞(三宅賞)」を受賞しました。本賞は地球惑星科学に関わる物質科学の分野において、新しい発想によって優れた研究成果を挙げ、国際的に高い評価を得ている個人に対して授与されています。
土`⼭教授においては、天然物質の相変化や結晶化、融解・蒸発・凝縮・拡散に関わる室内実験、また放射光X 線CT 法の開発などで⾰新的な業績を上げました。代表的成果として、隕石のコンドリュール組織の再現実験による加熱冷却条件の定量化と、⽕成作⽤での核形成と組織形成・固‒液元素分配への速度論効果の定量化があります。
また、⾮破壊三次元構造観察のためサブミクロン空間分解能をもつX線CT装置を放射光施設 SPring-8で開発し、Wild2 彗星や⼩惑星イトカワの微小岩石試料の組織観察から太陽系内の⼤規模物質輸送や⼩惑星表⾯での地質プロセスを解明し、始原隕⽯マトリクス中の空隙組織や微⼩液体包有物の分析から隕⽯母天体の形成場所を特定しました。
これらの優れた業績が、観測・理論・探査に基づく惑星科学や天⽂学分野の研究とは一線を画し、物質科学分野からの新たな貢献であると高く評価され、今回の受賞に至りました。
表彰式は2022年5月22日(日)に行われ、土`⼭教授はオンラインにて参加しました。
「公益社団法人日本地球惑星科学連合学術賞(三宅賞)」について
公益社団法人日本地球惑星科学連合は、地球惑星科学を構成するすべての分野及び関連分野をカバーする研究者・技術者・教育関係者・科学コミュニケータ、個人会員、団体会員、賛助会員から構成される学術団体です(個人会員10,000名以上、団体会員51学協会、2020年11月末時点)。
三宅賞の名称は三宅泰雄博士のご提案と寄付金で設立された公益信託地球化学研究基金が事業として実施してきた地球化学研究協会学術賞「三宅賞」に由来します。
土`山明教授のコメント
今回の受賞では、物質科学の中でも「鉱物科学」に基づいた研究が、惑星科学や天文学に貢献したことを評価していただいたと思います。また、X線CTを用いた研究が近年増えていますが、SPring-8の皆さまのおかげで、世界に先駆けた研究が行えました。これまでお世話になった恩師、先輩、同僚、学生さんなど多くの方々、また家族に感謝したいと思います。