宇宙戦略基金事業(第二期)「月面インフラ構築に資する要素技術」に採択~月面拠点建設を実現するための測量・地盤調査技術の確立を目指す~
立命館大学(京都市中京区、学長:仲谷善雄)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募する「宇宙戦略基金事業」(第二期)において、「技術開発テーマ/探査等(月面インフラ構築に資する要素技術)」(課題名:月面拠点建設を実現するための測量・地盤調査技術の確立)」に採択されました。宇宙戦略基金事業への採択は、第一期の「SX研究開発拠点」に続き、2年連続となります。
月面は、世界各国において探査活動・開発活動の対象となりつつあり、2040年までに世界の月関連の市場規模は 1,700億米ドル(約27.3兆円)に達するという試算も存在します。この大きな市場も見据え、将来の月面経済圏の創出に伴う経済的機会を確実に捉えるためには、将来的な民間活動の段階的な発展による経済圏の構築を想定したうえで、そのファーストステップとしてすべての月面活動の前提となる月面環境に関するデータや月面での重要技術等を早期に獲得することが有効です。また、これらを通じて、我が国が国際的なプレゼンスを発揮し、月面での活動実績を積み重ねることが、将来的な月面活動における国際規範・ルール形成、国際市場の獲得等に向けて極めて重要です(宇宙戦略基金事業HPより引用)。
本大学が採択された研究テーマ「月面インフラ構築に資する要素技術」は、今後活発化が予見される国内外の月面活動を見据え、産学連携による技術開発を通じて月面環境の分析(アセスメント)および、重要技術の早期実証を推進することを目的としています。
月の表面は「レゴリス」と呼ばれる微細な砂が厚く堆積していることが知られていますが、その深さや硬さ・強さなどの土質特性は未解明な点が多く、地形や地質にも多くの不確実性が残されています。地球上でのインフラ整備と同様に、月面においても「測量」と「地盤調査」は建設の出発点となります。本研究では、月面での建設施工や資源開発に必要な高精度の地形データを取得するとともに、レゴリスの土質特性や地層構造を把握するための「測量・地盤調査システム」を開発します。さらに、整地や造成、道路建設、地盤改良といった土木構造物の設計体系を確立し、月面基地建設の実現に貢献します。
仲谷善雄学長のコメント
立命館大学が2年連続で「宇宙戦略基金事業」に採択されたことを大変光栄に思います。本大学は、取り組むべき人類社会の課題を設定し、それらの解決を通じて社会共生価値(Social Impact)を生み出す「次世代研究大学」となることを目指しており、「宇宙」を重要な研究領域のひとつとして据えています。
今後、立命館大学宇宙地球探査研究センター(略称「ESEC」)を基盤に、月面インフラ構築を「構想」から具体的な「計画」へと前進させるため、拠点建設候補地の地形と地盤環境データを取得するための測量・地盤調査技術を確立し、月面での技術実証を行うことを目指し、他機関等と連携して取り組んでまいります。
研究代表者・小林泰三ESEC副センター長のコメント
漫画やSFで数多く描かれてきた月面基地の建設が、いよいよ現実味を帯びつつあります。その時代に立ち合い、自らがその一端に関われることに深い感慨を覚えています。本事業では、民間企業・大学・研究所から多様な分野のトップランナーを結集し、実際に月面に打ち上げて運用するペイロード(測量・地盤調査システム)の開発に挑みます。月面基地建設において、測量と地盤調査は欠かすことのできない第一歩であり、人類の本格的な宇宙進出の扉を開く基盤技術として、未来を拓く新たな挑戦に使命感をもって取り組んでいく所存です。