イリイチ思想は現代にどう生きる? ――安田研究員が上廣倫理財団の研究助成に採択

 立命館大学 衣笠総合研究機構の安田智博研究員が、公益財団法人 上廣倫理財団の令和7年度「研究助成<新規>」に採択されました。



研究課題
「〈自立する生活〉の哲学――イヴァン・イリイチから学ぶ制度・道具・規範」




研究の概要

 安田研究員の研究は、20世紀の思想家イヴァン・イリイチ(Ivan Illich, 1926–2002)の思想を基盤に、現代社会における生活・学び・ケアのあり方を検討するものです。イリイチは、学校や医療などの制度が専門化することで、人々の選択肢や主体性が制約される可能性を指摘しました。安田研究員は、イリイチの初期から後期までの著作を通して、制度への過度な依存を避けつつ「自立」と「共生」をどのように成立させうるのかをテーマとして研究に取り組んできました。
 本研究では、「シャドウ・ワーク」「コンヴィヴィアリティ(共生のための道具)」「コモンズ」「ヴァナキュラー」などのイリイチの概念が、現代の生活の中でどのように位置づけられるのかを検討します。著作や草稿の読解に加え、地域での取り組みの記録や資料調査、関連する思想家との比較を通して、制度と生活との関わり方をあらためて整理していきます。




今後の展開

 研究成果は、国内外の学会報告や査読論文を通じて発信される予定です。また、安田研究員が所属する生存学研究所とも連携し、資料公開や市民との対話を通して、研究内容を広く社会に共有していくことも計画されています。こうした取り組みを通じて、今後の研究がさらに発展していくことが期待されます。




安田研究員のコメント

 このたびは上廣倫理財団の研究助成に採択いただき、心より御礼申し上げます。
 私たちの生活を支える制度は、専門化によってときに過度な依存を招き、本人にも見えにくい負担を生み出したり、人々を受動的な利用者へと位置づけたりすることがあります。本研究では、イヴァン・イリイチの思想を手がかりに、制度・道具・規範がどのように私たちの欲望の枠組みを形づくり、自立を阻害しているのかを分析します。同時に、「自立」と「共生」をいかに両立させうるのかという条件を問い直し、制度と生活のよりよい関係を探究していきます。
 本助成を活用し、文献・資料調査および関連領域との比較検討を進めるとともに、対話の場を通じて、研究内容の普及や問題意識の社会的共有にも努めてまいります。頑張ります!

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