今回は、グローバル教養学部(GLA)准教授のジアン・パウエル・マルケス先生に、これまでの道のり、研究内容、そして日本で充実した仕事と家庭生活を両立させる秘訣について、じっくりお話を伺いました。
<立命館との出会い>
RADIANT、以下R: まずは、お名前と、今のご所属・ご職位を教えていただけますか?
ジアン・パウエル・マルケス先生、以下 GPM: ジアン・パウエル・マルケスです。グローバル教養学部(GLA)の准教授を務めています。
R: 立命館に来られるまでの経歴と、いつからこちらにいらっしゃるのか、聞かせてもらえますか?
GPM: 立命館大学のGLAプログラムに助教として着任したのは2019年です。その前は、名古屋大学の未来材料・システム研究所(IMaSS)でポスドク研究員をしていました。立命館への異動は、「GLAプログラムの立ち上げを支える先駆的なチームの一員になれる」という、すごくワクワクする転機でしたね。信じられないことですが、もう6年が経ちました。知的にも刺激的で、個人的にもとても充実した毎日を過ごしていますよ。
R: 数ある大学の中で、立命館大学を選んだ一番の決め手は何だったんですか?
GPM: 実は、これにはちょっとした面白い話があるんです。ここに来る前は、正直、立命館大学についてほとんど知りませんでした。きっかけは、名古屋近郊での電車の中での偶然の出会いでした。1980年代から名古屋で学び生活してきた「スーパー先輩」と知り合ったんですが、彼女が立命館を「日本を代表する私立大学の一つ」だと大絶賛していたんです。そこで一気に興味が湧きました。
その後、大阪いばらきキャンパス(OIC)を見学することになって、協働的で自律的な学びを促すように細部まで考え抜かれた設計に、心から感動しました。これは私の教育に対する考え方とすごく共鳴したんです。私にとって、教育と研究って、自分の生き方や考え方を形作る情熱そのものなんですよね。決定打だったのは、「優れた施設と先進的な環境のもとで、ただ研究をするだけでなく、その研究内容を学生たちに教えることができる」という発想でした。この気づきが、立命館大学を迷いのない選択肢にしてくれました。
R: 海外出身研究者として、着任当初、何か特有の課題に直面することはありましたか?
GPM: 幸いなことに、大きなトラブルはありませんでした。スムーズに着任できたのは、リサーチオフィスの皆さんが本当に親身で、すぐにサポートしてくれたおかげです。特に、日本独特の書類や行政手続きで疑問があった時は、メッセージを送ったり、ちょっと訪問したりするだけで、いつでも相談に乗ってもらえたので、自分の研究にしっかり集中することができました。
<研究を深堀り>
R: ご自身の研究分野について、簡単に説明していただけますか?
GPM: 私はバイオガス技術を中心として、様々なバイオマスを使ってプロセス効率を上げることに焦点を当てて研究しています。立命館大学に来てからは、「体系的イノベーション」という考え方に触れる機会があり、研究に新しい視点が開けました。それ以来、革新的なアイデアを生み出す手法を取り入れながら、急速に近代化する社会に合うように、伝統的なバイオガスシステムをどう作り直せるかを探求しています。このアプローチのおかげで、技術的な改善だけでなく、現代の環境やエネルギー問題に合わせた幅広い応用可能性を追求できています。
R: 立命館大学の研究環境を、先生はどのように評価されていますか?
GPM: 全体的に見て、かなり充実していると感じていますよ。将来の研究者や学生の視点から見ても、立命館は研究資金のサポートが手厚いですよね。卒業後も支援が続くケースもあります。
個人的に特に素晴らしいと思うのは、立命館が学際的な連携を非常に重視している点です。施設は新しく、設備も整っていて、組織の構造自体が分野を超えた対話を促してくれるんです。これは、複雑な現実世界の課題に取り組む上では絶対に欠かせない要素です。ここには、アイデアが本当に育まれる、研究とイノベーションにとって最高の環境が用意されています。
<茨木市での生活と余暇>
R: OICがある茨木市にお住まいなんですよね。そちらでの生活はいかがですか?
GPM: はい、OICがあるというのが主な理由でここを選びました。OICは地域コミュニティとの連携を大切にする理念を持っていますから、その影響を最も身近に感じられる地域社会の一員になるのが、その理念を体現する一番良い方法だと考えたんです。
茨木での生活は本当に素晴らしいですよ。静かで、子育てにも優しい環境を提供してくれます。うちの子たちは特に「いばらき×立命館DAY」のような地域のイベントを楽しんでいますし、岩倉公園で過ごす時間も多いですね。活気ある大阪の中心部にも、文化的に豊かな京都にも、アクセスしやすいので、静かさと利便性のバランスが完璧なんです。
R: 普段の休日は、どのように過ごされていますか?
GPM: ほとんど子供たちと過ごします。まだ小さいので、電車やバスで簡単に行ける場所、例えば、子連れに優しいショッピングモールとか、近所にある観光スポットを選ぶことが多いですね。お気に入りは、万博記念公園や、若園公園のバラ園、それから大阪伊丹空港の展望デッキなんかです。こういう何気ない外出が楽しくて、地域を探索しながら、大切な家族の絆を深める時間になっています。
春には近所の子たちと一緒に花見にも行きます。地域の人たちが集まって思い出を作る、素敵な日本の伝統行事だなと思っています
R: ご家族でお気に入りの場所はありますか?
GPM: 特定の場所というよりも、子供たちが笑顔で楽しんでいる場所が、私にとってのお気に入りになりますね。場所そのものよりも、一緒に作る思い出のほうが大切だと感じていますから。
とはいえ、一つ挙げるとすれば、EXPOCITYにある「ニフレル」でしょうか。うちの子たちは生き物が大好きなので、間近で触れ合える機会は、子供たちの好奇心や「わぁ!」っていう驚きを本当に刺激するんです。学びと遊びが一緒になった、私たち家族にとって特別な場所です。

R: 多忙なスケジュールの中で、立命館の同僚の方々との交流はどのように保っていますか?
GPM: 同僚のほとんどが京都在住なので、学期末の懇親会のような特別な集まり以外では、仕事以外で交流する機会はほとんどないのが現状です。今は、3人の幼い子供の子育てと、教育・研究発表の両立が最優先課題なんです。正直、手一杯の状態なので、社交活動はどうしても後回しにならざるを得ません。映画『ファインディング・ニモ』の有名なセリフ「とにかく泳ぎ続けよう!(Just keep swimming)」の通り、物事が自然に落ち着くまで、その姿勢で頑張っています。
<今後の展望>
R: 立命館大学での研究の今後の展望について聞かせてもらえますか?
GPM: 私はびわこ・くさつキャンパス(BKC)でウェットラボ実験を伴う研究もしているんですが、5月に三番目の子供が生まれたこともあって、最近はペースが落ちています。そのため、希望する頻度でBKCを訪問できていない状況です。
実験作業は一時的にスローダウンしていますが、プロジェクトへの革新的な発想の組み込みや、実験的検証に向けた研究教授陣との共同作業は続けていますよ。今は論文執筆と出版準備に力を入れています。この間、立命館大学が、私の状況を理解し、サポートしてくれていることには心から感謝しています。おかげで、大切な家族への責任を果たしながらも、研究の勢いを維持できていると思っています。