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【SSH】高校2年生SSコースを対象にSS Challengeを実施しました

2021年07月13日 高校
6月18日(金)、高校2年生のSSコース生徒(理系選択生徒)159名を対象に、SS Challengeを実施しました。この企画は日常の授業では経験できない、企業や研究者の方からの講義やワークショップに参加できる貴重な取組です。
本校ではSSコース高校2~3年生の2年間に生徒全員が課題研究を行っており、高校2年生の早い時期にSS Challengeの取組を通して専門的な分野に触れることにより、生徒たちが自身の課題研究に活かしたり、高校卒業後の進路を考える機会としてとらえたりすることを期待しています。生徒たちは希望に沿った5つの講座に参加し、知識や見識を深める有意義な時間となりました。

核融合科学研究所 高密度プラズマ物理研究系
【タイトル:プラズマの世界】

<事前の講座説明>

宇宙における物質の基本的な状態である“プラズマ”について学びます。「プラズマとは何か」から始めて、宇宙でのプラズマ応用、 未来のエネルギー源として期待される核融合発電、プラズマを使った医療や農業まで、幅広いプラズマの世界を知ってほしいと思います。 本来、プラズマは学部4年生から大学院生で学ぶテーマなのですが、今回の講義では難しい数式は使いません。プラズマが拓く未来について考えてみませんか?

<当日の様子>

Zoomを使った講義で、世界は何からできているのかという問いから入り、前半は科学の歴史を盛り込みながらプラズマとは何かということを学んでいきました。 後半は、核融合の具体的な仕組みや核分裂との相違と安全性などについてお話いただきました。核融合反応を人類が手に入れるための取り組みについての オンラインでの講座でしたが、科学にまつわるクイズや質疑応答の時間もあり、生徒は活発に参加しながら聴講できました。

<生徒の感想から>

  • 講義の途中で「本当の不思議さを知ってほしい」と先生がおっしゃっていたことに奥深さを感じて学びの気持ちが増し、これからの勉強への姿勢やエネルギーが出た。これからの課題研究で物理のことをもっと調べて自分の知識に変化したいと思いました。 
  • ウランの発電や火力発電とかしかもう道はないと思っていたけど、核融合が今より発達すれば環境問題がいろいろ解決すると思うので、すごいなと思いました。プラズマが食べられるというのはびっくりしました。触ったときや実際に口に入れたときに熱いのかなと少し気になりました。私たちが生きている間にプラズマが農業などに普及しているところを見てみたいと思いました。 

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大阪大学大学院 生命機能研究科
【タイトル:嗅覚のしくみと香り体験】


<事前の講座説明>

嗅覚は五感の中でも未知の点が多い。これは匂いを感じる線毛が直径100nmほどの超微細構造であるので、実験が極めて難しいためである。 私達は生きたままの線毛内の分子を記録・解析する研究を進めている。 本ワークショップでは、嗅覚受容の分子機構、嗅覚マスキングと産業応用例、匂い順応の機構に関して概説し、植物からのエッセンシャルオイル などの好ましい匂いサンプルで、これらについて体験していただく予定です。

<当日の様子>

「感覚が科学になる」。これを体感した授業でした。匂いを感じる仕組みはどうなっているのでしょうか? 鼻には嗅細胞が1000万個あり、それが400種類に分類されます。その400種類の受容体がONかOFFか、つまり2の400乗の匂いを識別できる 能力を人間は持っているそうです。その後、匂いに順応することや匂いを消すこと(マスキング)についても体感しつつ、その仕組みを教えていただきました。 匂いは海馬ともつながっています。「なつかしい匂いがする」も科学的に証明できることを知った2時間になりました。

<生徒の感想から>

  • 普段生活していて「匂い」というものは無意識にたくさん感じているけど、一つ一つ性質や化学物質は違っていて、細かく複雑な違いがあるからこそ 何種類もの匂いが生まれるんだとわかりました。特に興味を持ったのはマスキングです。マスキング効果の強い物質や弱い物質、その共通点や関係性などを もっと詳しく知りたいと感じました。とても貴重な経験になりました。 
  • 特に興味深かったのは「視覚と嗅覚は同じような原理で働いていて、視覚は嗅覚が進化したものである」ということです。普段当たり前のように見たり 嗅いだりして物を認識しているけれど、どのような構造で何が働いてそうなっているのかという仕組みを知ると、とても奥が深くて面白かったです。また、将来的にも 人体に関わる分野に進みたいと考えているため、今回の嗅覚の学習はとても良い知識になりました。 

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ローム株式会社
【タイトル:半導体の技術で社会を変えていこう!】


<事前の講座説明>

普段はあまり耳にすることのない「半導体」。実は、日々の暮らしの様々なところで活躍しているのです。そして、ロームは、半導体の技術を使って、皆さんの生活、 そして社会をより良くするための事業を行っています。今回の講演では、会社紹介含め、半導体とは何なのか、そして、社会のどのような面でロームの半導体が 活躍しているのかをデモ機を用いながら皆さんに学んでいただきます。また、その後のワークショップでは「センサの技術でコロナ対策を考えよう」をテーマに、講義で 学んでいただいた半導体の技術を活用した社会課題の解決のアイデアをグループで導き出し、最後には全チームに発表いただきます。

<当日の様子>


「半導体の技術で社会を変えていこう!」というテーマで、ロームという企業について、および同社の製品のひとつであるセンサについて学んだあと、 センサを使ったコロナ対策、学校生活や私生活でセンサを活用などをトピック都市、生徒達がアイデアを出し合いプレゼンテーションにまとめました。 ロームのエンジニアの方々も適宜入ってきていただける形で、活発に議論が進みました。エンジニアの方々から「文系・理系問わず、興味がある分野に ついて学び続けることの大切さ」や「社会を変えていこうという気持ちが大切であること」を、メッセージとしていただきました。

<生徒の感想から>

  • センサなどがたくさんある中で、どのセンサを組み合わせたらより良いものを作ることができるのか、もっと便利な世の中にするためにはどのような製品が 作れるのかを日々模索されているのだなと実感しました。将来自分は医療関係の仕事に就きたいので、医療の中でのIT化なども考えたうえで、課題研究を 行う際に、今回の講義は、日常生活にいかに活かせるかということを考える点でもためになりました。意外に身近なところに使われているのに知らないことって たくさんあるのだなと思いました。
  • 僕が今回教わったロームの製品は、日常生活の中でたくさんのところに使われて、自分たちの生活をより良くしてくれているんだなと思った。取り組みの 中にグループで一つの製品を考えるというものがあった。その時にロームの方が的確な指導をしてくださって、良い製品が作れそうなアイディアがたくさん出た。 発表の仕方も教えてくださって、課題研究の参考にもなった。 

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立命館大学 生命科学部
【タンパク質のかたちから「生きている」ということについて考えてみよう】


<事前の講座説明>

わたしたちの体はタンパク質が動かしています。タンパク質は細胞の約15%を占めているだけでなく、それ以外の分子も作るまさに主役級のはたらきをしています。 タンパク質はアミノ酸という分子が一直線につながった紐のようなものですが、自らを上手に折りたたんで立体構造を作っています。講義ではタンパク質のはたらきについて 最新の知見も交えながら紹介します。また、ワークショップではタンパク質の紙模型作りに挑戦し、タンパク質のすごさを実感していただくとともに、AR(拡張現実)技術を つかって教室に新型コロナウイルスのタンパク質などを“浮かべて”皆さんと一緒に観察してみましょう。

<当日の様子>


タンパク質の構造に関する講義を受けました。生徒たちが特に興味を持ったのは、スパイクタンパク質と新型コロナウイルスとの関係でした。スパイクタンパク質がヒトの細胞に 結合することで、ウイルスが細胞に侵入することが知られています。講義の後、拡張現実ビューアの説明を受け、実際に仮想3Dモデルを使ってタンパク質の構造を見ました。 その後、ミオグロビンのペプチド鎖の二次構造を印刷した用紙を折りながら、ミオグロビンの立体構造を組み立てるという課題を行いました。紙でできたタンパク質の模型作成を 行うことで、講義の内容をより理解することができ、充実したセッションとなりました。

<生徒の感想から>

  • 紙でミオグロビンを実際に作ってみて、ねじれが起こっている部分があって、すごく複雑な構造をしているのだということを学びました。アミノ酸の構造がたった3通りでも、 すべての構造を試すには10の34乗秒もかかる、アミノ酸3通りで、タンパク質は3の100乗通りの構造があるところまで増えるのが面白いなと思ったし、すごいと思いました。 また、今流行している新型コロナウィルスの構造やウィルスの増え方などを知ることができて、すごく身近なものを実感することができたので良かったです。
  • ヒトの体のうち、水の次に多くの割合を占めているタンパク質であるが、調べたりする機会はとても少ないと思うので、今回学ぶ機会となってよかった。一番驚いたのは、 タンパク質の折り畳みについてであった。とても複雑であるのに、早いスピードでできることがすごいと思った。今まで以上にヒトの体や仕組みに興味を持つことができたので良かった。 

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立命館大学 理工学部
【タイトル:Robotics×Neuroscienceで新しいロボットのコントロール方法を考えよう】


<事前の講座説明>

「心の中で思った通りに機械を操ることができれば」,「自分の動作を模倣するようにロボットを動かせたら...」と考えたことはありませんか。Roboticsの分野ではこのような技術は Brain-machine interfaceやBrain-Computer Interfaceと呼ばれており、特に生体工学という分野で取り扱われます。生体工学では、脳の情報(脳波)や筋への命令(筋電図)、 身体の動作を計測する新しいセンサの開発や計測した信号の制御利用についての研究を行います。本講では、大学で実施している最新の生体工学研究の紹介をしたのちに、 実際に自身の生体生理信号でモノを動作させる体験をしていただきます。

<当日の様子>


筋肉が収縮する時に出る微弱な電気信号を利用して車を制御するワークショップに取り組みました。4人グループの中で事前に分けられた、車の製作チーム2名と筋電をコントロールする ソフトの調整チーム2名が、それぞれTAさんから説明を受け、作業に取りかかりました。出来上がった車を腕の筋肉に力を入れることで操作して、与えられたコースを走らせることに挑戦しました。 残念ながら短い時間のため車を完成させらないグループもありましたが、ものつくりの楽しさや人間の体の不思議さを感じてくれたことと思います。

<生徒の感想から>

  • ほかの人が命じた脳波によって筋への命令が共有されることから、スポーツなどのアドバイスがより正確に伝えられるという話を聞いて想像以上に科学が発展していることに驚かされました。 また、人間の一つ一つの行動が脳波によって動いていることを実感することができました。 
  • 理工学は人の暮らしを豊かにするためのものが多く開発されていることを知りました。電気によって動かなかったり、不自由な体を動かしたりすることができるということはとても興味深かったです。 私は将来行きたい学部は決まっていたけど、理工学部をはじめとしたほかの学部についてもっと知ってから決めるべきだなと思いました。自分の体と物体との動きが連動するのはとても面白かったので、 課題研究では動きについて焦点を当てて行うことを考えています。 

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