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2013.06.07
ACS統計分析ワークショップ「実践:政策研究のための統計分析の基礎」を開催しました。
ACS統計分析ワークショップ「実践:政策研究のための統計分析の基礎」
統計分析ワークショップの目的
ビッグデータの活用やネットリサーチなど、データをもとに回答を導き出す統計分析は社会からますます必要とされています。統計的手法による科学的分析は、政策の研究はもちろん企業のマーケティングなどでも用いられ、キャリア形成を考える上で重要な能力となっています。政策科学部では「統計学」や「調査分析技法入門」などの講義科目で、統計の基礎知識や理論、調査設計の方法を学ぶことができます。また「政策情報処理」や「データ解析入門」、「社会調査法」といった科目では、表計算ソフトや統計分析ソフトを用いてデータを分析する実習を行っています。統計分析ワークショップの内容
今回のワークショップでは、一から統計分析を学ぶ学生を対象に、「表計算ソフトを用いたカイ二乗検定による政策効果の分析」と題し、基礎的ながら実践的な統計分析手法としてクロス表分析とカイ二乗検定の実習を行いました。データの分析では分析を通して得られた結果が、確率的に偶然に発生するものなのか、それとも意味のあるものなのかを検証する必要があります。そのための手法の一つがカイ二乗検定です。ワークショップは、参加した学生が研究入門フォーラムや専門演習のなかで統計分析を活用して、科学的な分析・考察によって研究を深めていくことを目標としました。そのために、最初に、統計分析を行う上で必要となる基礎的知識の準備を行いました。ここでは、政策研究における科学的方法としての統計分析の位置づけや利点、注意点について触れながら、母集団や標本といった統計学の基本概念や、変数と値からなるデータの構造などを解説していきました。
続いて、カイ二乗検定について解説し、受講生が手順にしたがって計算を行いました。分析結果そのものは表計算ソフトや統計分析ソフトの操作を習得すれば容易に得られます。しかし、統計分析の初学者にとって、カイ二乗検定のような統計学的仮説検定の考え方を理解するのは難しいものです。講師と受講生が一つひとつの手順の意味合いを確認しながら実際に手計算していくことで、仮説検定の理解を進めていきました。
最後に、表計算ソフトを用いて実際の意識調査データから政策効果について分析する実習を行いました。分析を行う上ではさまざまな技術的問題が起こりえます。ここでも講師と受講生がコミュニケーションをとりながら、そのような問題を解消しつつ、実習を進めました。
参加者からの声・意見と今後について
ワークショップには、計6名の学生が参加しました。大半の学生が、統計学を学ぶ意欲は強いものの、「苦手意識がある」「勉強法がわからない」などの課題を抱えていました。そのため、「少人数かつ実践型の本講義スタイルは非常にわかりやすかった」という意見が多くの学生から挙げられました。学部講義では疑問点があってもなかなか質問できないという学生も、ワークショップでは講師との距離が近いため、疑問を解消する場としては最適だったと答えています。その他、学生からは「具体的な講義内容を広報してほしい」、「目につく場所にチラシを張ってほしい」など、広報に関する声も多く寄せられました。今回、ワークショップを企画したのはACS(Academic Communication Supporter)という、2013年度より発足した政策科学研究科の大学院生で構成される新しい組織です。ACSでは、政策科学部で学ぶ学生の学修・キャリア形成をサポートすることを目的に、これまで履修相談ヘルプデスク(4月)、政策科学とキャリアワークショップ(5月)を企画・開催してきました。統計分析ワークショップは、これらの企画に続き、学生から特に需要の高いと思われるテーマについてのサポート企画として開催されました。参加者は、ワークショップを通じて統計分析の基礎的な知識を学び、そのなかで抱いた疑問もその場で解消することができていました。そして、ワークショップで出された課題に積極的に取り組むなかで、参加者が統計分析を身につけるための一定の成果を収められたと考えています。今後は参加者からの声をもとに更なる内容改善に取り組み、学生の学修・キャリア形成をサポートするため、統計分析ワークショップの内容充実を図っていこうと思います。
2013.05.20
政策科学部・政策科学研究科が北京理工大学外国語学院と学生交換および大学院への推薦入学の協定を締結
立命館大学政策科学部・政策科学研究科は北京理工大学外国語学院と学生交換留学および大学院政策科学研究科への推薦入学に関する協定を締結しました。政策科学部にとって、中国・東北財経大学公共管理学院につづき、2番目の学部間協定による連携プログラムです。
立命館大学と北京理工大学とは2010年9月に「立命館大学と北京理工大学との協力協定書」を締結し、その後、両大学の教育・研究交流を進めてきました。今回のプログラムは、英語で政策科学部を学び卒業するCRPS専攻の設置(今年9月)、政策科学研究科の英語基準プログラムの強化、学部の特色を活かした国際展開のために、新たな学部間連携プログラムとして発足させたものです。
このプログラムに参加する政策科学部の学生は、交換留学制度を利用し、北京理工大学で中国語を学ぶと同時に、一定の中国語能力あるいは英語能力があれば、北京理工大学のすべての中国語あるいは英語による正規科目を受講できます。帰国後、取得した単位が認定されれば、4年間で大学が卒業できます。政策科学部からの最初の派遣は2014年3月を予定しています。
北京理工大学外国語学院の学生は、「大学院特別推薦入学」制度との連動を念頭に、3回生まで北京理工大学外国語学院のダブル・ディグリー(双学位)コースにおいて学修した後、政策科学部に交換留学生として1年間在籍し、政策科学部・政策科学研究科が指定した進学条件を満たせば、推薦試験を経て大学院博士課程前期課程に進学できます。政策科学部への最初の交換留学生の受入は、2013、2014年度については政策科学専攻のみです。2015年度からCRPS専攻の受入れも始まります。
(写真)新たな国際交流の拡大を願って北京理工大学外国語学院李京廉院長(左から2番目)ならびに立命館大学政策科学部三上達也副学部長(左から4番目)をはじめ両大学関係者で記念撮影(2013年1月7日 北京理工大学撮影)
2013.02.12
立命館大学政策科学会の支援を得てSignificance of the Regional One-Product Policy:How to use the OVOP/OTOP movementsの出版記念シンポジウムがタマサート大学(タイ)で開催されました。
立命館大学政策科学会の支援を得て、村山皓編Significance of the Regional One-Product Policy:How to use the OVOP/OTOP movementsが2012年12月に出版されました。本書の執筆には、立命館大学政策科学研究科の英語コースの博士後期課程を修了して、現在タマサート大学で研究員を務めているPuntita Tanwattana(博士 政策科学)とWarangkana Korkietpitak(博士 政策科学)、および立命館大学政策科学部助教の孫京美(博士 政策科学)と立命館大学名誉教授の村山皓、さらにJICA関係者に加えて、政策科学研究科と共同研究を進めているタマサート大学東アジア研究所の研究者があたりました。
本書は、日本の大分県を発祥地にして世界に広まり、現在も多くの国々で実施されている一村一品運動(OVOP)に政策科学の視点からアプローチしています。本書の目的は、日本のOVOPとタイの一村一品運動であるOTOPとの違いをも視野におき、さらなる展開の可能性を提示し、これら以外のアジア、アフリカ、南米の国々で現在進行中の一村一品運動に政策研究の基盤を提供することです。
本書の出版記念を兼ねて、2012年12月14日にSignificance of the OTOP/OVOP Movement and Policyの国際シンポジウムが、タイのタマサート大学で開催されました。そこには多くの研究者などが出席し、執筆者のPuntia Tanwattana氏や孫京美氏などの発表について、熱い議論が交わされました。
また、タイ政府が主催して様々な国の政府関係者が出席したOVOP/OTOP International Seminar 2012(12月16日)では、村山皓氏が招待され、本書を紹介しながらUnderstanding the OVOP movement in Japan: An evaluation of regional one-product activities for future world expansion of the OVOP/OTOP policyについて、基調講演がありました。