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2017.10.12
国際シンポジウム「人口減少社会におけるアジアの都市の政策的戦略」を開催しました
2017年10月12日(木)、大阪いばらきキャンパス(OIC)において、立命館大学政策科学部・東北財経大学公共管理学院共催の国際シンポジウム「人口減少社会におけるアジアの都市の政策的戦略」を開催しました。今回で4回目となる共催国際シンポジウムですが、日本社会の大きな課題である人口減少社会や、その下での都市問題・政府の役割の変遷などといったテーマについて、これまで以上に活発な議論が繰り広げられました。
シンポジウムの冒頭には、政策科学部重森臣広学部長の開会挨拶の後、公共管理学院張向達院長による研究発表、“The Structure of Social Governance: On the Adjustment Mechanism Construction”が行われました。発表では、社会状況の変化に伴った中国政府によるガバナンスの変化に焦点が当てられ、安定的な経済成長を達成するために求められる政府の役割が論じられました。社会状況に対応した政府のガバナンスや経済政策が求められている日本に対しても、非常に示唆に富んだ報告となりました。
続いて、政策科学部の平岡和久教授から「日本における都市財政の現状と課題」と題した報告が行われました。2000年代前半に行われた三位一体改革以降の大都市財政を総括し、人口減少社会における持続的な都市財政構築のための課題が示されました。
三番目には公共管理学院・劉暁梅教授から、日中双方の課題である高齢者福祉・社会保障とその財源に関する報告が行われました。“Reflections on the Sharing of Financial Source Responsibility for Chinese Elderly Care Services”と題された本発表では、中国の高齢者福祉制度を題材に、日本の下で先進的に取り組まれている社会保険による高齢者福祉の検討がなされました。
財政に関する報告の次は、両国の政治に関する研究発表がなされました。地域情報研究所所長(政策科学部教授)の上久保誠人教授からは「コア・エグゼクティブ構造の違いに見る日中の政策過程比較」というテーマで、日中の国際金融政策を例とした政策過程比較の結果が示されました。根本的な社会制度が異なる両国ですが、政策過程には類似点も多く存在し、比較結果からはそれぞれの制度的課題なども示唆されました。
中国の政治体制については、続いての報告者である公共管理学院・謝志平准教授から詳しく解説がなされました。謝准教授の“Hierarchical Governance of Political Ecology in China”と題された報告では、中国の汚職に着目し、これを生み出してしまっている政治的背景と、その改善策が示されました。
会場では、政策科学研究科の中国人大学院生を中心に、多くの院生が先生方の報告に真剣に耳を傾けていました。参加者への配慮として、政策科学部の先生方(楊秋麗専任講師・上子秋生教授・式王美子准教授・飯田未希准教授)による日本語・中国語・英語の同時通訳が行われ、院生たちは様々な角度から「アジア都市の政策的戦略」について学びを深めることができました。
5名の教授からの示唆に富んだ研究発表の後には、政策科学部・岸道雄教授をコーディネーター、報告者をパネリストとしたパネルディスカッションが実施されました。報告者による活発な議論が交わされた後、張院長から知の共有の重要性についてお話を頂きました。今回のシンポジウムにおいては、普段から議論を交わすことができない2か国の研究者が、1つのテーマについて活発な議論を交わし、双方の比較から日中両国に有益な示唆を得ることができました。多くの見識を与えてくださいました東北財経大学公共管理学院の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
政策科学部と公共管理学院共催の国際シンポジウムは、2014年度東北財経大学で第1回を開催して以降、毎年開催しており、次第に議論の内容も深まってまいりました。閉会挨拶では、政策科学部大塚陽子副学部長がこれまでの議論を基にした出版の可能性にも触れられました。更なる活動展開を見据えつつ、重要な研究・教育の機会として次年度以降も国際シンポジウムを開催する予定です。

ディスカッション

張先生

全体写真
2017.09.27
EPS Project I (EPS-C) プレゼンテーション大会を開催
立命館大学政策科学部のEPS-C(タイプC)科目は、学生が自らの関心にしたがい、独自の調査を経て、外国人の役に立つ情報を英語で提供することを目的として、グループでプロダクトを作成しています。7月11日・18日には、本科目の後半プロジェクトである“Decoding Japan"をテーマにA/Bクラス合同プレゼンテーション大会(担当:田林葉教授・前田萌授業担当講師)を開催しました。各チームが作成したプロダクトは以下のようなものです。
- 大阪駅各線出口から、外国人観光客に人気があるヨドバシカメラへのルートを説明する動画
- 縁日の露店の紹介冊子及び金魚すくいや射的を楽しむコツを紹介する動画
- 外国に比べて複雑に感じられる、電車の切符の購入や乗換を手助けする冊子
- 歌舞伎について、特有の言葉や化粧・音楽に着目し、解説した冊子
- 卵や魚など生の食材の楽しみ方を提案する冊子
- プロレスの紹介や楽しみ方について、日米の違いを交えながら紹介する冊子
- 現代の駄菓子を紹介し、外国人にも入りやすい駄菓子屋を案内する冊子
- ユーザーの使い心地と高品質を追求する日本メーカーの文房具を勧めるパンフレット
投票の結果、学生賞には、Aクラスのプロレスチーム(教員賞とダブル受賞)とBクラスの大阪駅チームが、また、教員賞にはプロレスチームの他、Aクラスの電車チームが選出されました。
今回のプレゼンテーションでは、前半プロジェクトの“My Sweet Hometown"から一歩進んで英語による質疑応答にも挑戦し、自らの考えをその場で英語化して伝えるトレーニングも行いました。フロアからは、プロジェクトの着眼点についてのコメント、単語選択・文章表現の適切さやプロダクトの形態についての質問、実用を想定したプロダクトの使い心地の向上に関するアドバイスなどがなされ、報告チームとの間で英語によるやりとりが行われました。

プロレスチームの報告を聞くクラス全景

大阪駅チームの報告
また、当科目で作成されたプロダクトについて、クラス内で発表が行われたものもありました。7月14日には、Gクラス(担当:小阪真也助教)で、以下のプロダクトについて、コンペティション形式で発表が行われています。
- 米食と米に合うおかずに関してまとめた英文ウェブサイト
- 日本の文房具について紹介する英文ウェブサイト
- 日本のトイレの独創性について紹介する英文ウェブサイト
- 日本の豆腐について紹介する英文ウェブサイト
クラス内での投票の結果、優勝は、日本の豆腐について紹介する英文ウェブサイトを作成したチームに決定されました。プレゼンテーションは発表から質疑応答まで全て英語で執り行われ、各学生からはプロジェクトを通じて発見されたものや、プロダクトの質、発想の独創性などについて、英語を用いて活発なやりとりがありました。なお、これらの学生作成のウェブサイトは、一定の基準に達する場合公表し、実際に外国人の役に立つことを目標としています。
この他のクラスでも発表会形式のプレゼンテーションを行なっており、受講者全員がグループの調査結果に基づく英語のプロダクトについて、自分の肉声で英語でフロアに伝えるよい機会となりました。タイプC科目では後期もさまざまなテーマで英語での発信を続けていきます。
2017.09.25
台湾プロジェクト グローバルオンサイト演習報告
政策科学部2回生の小集団演習科目である政策実践研究プロジェクトフォロワー・台湾プロジェクトでは、「東アジアの民主主義とは何か―台湾、韓国、中国および日本における選挙制度及び住民投票制度とその実態から考える」を研究テーマと定め、その研究の一環として9月18日から9月25日に台湾での現地調査を行いました。
9月18日、関西空港から台湾の高雄に向かいました。
9月19日、午前中は日本統治時代の建てられた砂糖工場であり、台湾の戦後の経済を支えた橋頭糖工場を訪れました。日本統治時代の台湾の様子や、日本が台湾の近代化に与えた影響を知ることができました。
午後からは高雄大学を訪れ高雄大学法学院の学生と住民投票をテーマとしてワークショップを行いました。日本人学生、CRPSの中国人学生、台湾の学生による各々の国の住民投票の制度や具体的な事例を発表しあい、意見交換及びヒアリング調査を行いました。その後夕食を一緒にとり、親睦を深めました。
9月20日、中華民国総統府を訪れました。日本統治時代の台湾総統府であるこの建物は、現在は台湾総統の執務を行う官邸であり、日本統治時代から現代にいたるまでの台湾の民主主義の流れを知ることができました。その後台湾の歴史研究機関である国史舘を訪れ、台湾の民主運動や選挙制度について知ることができ、台湾の歴史観問題、近年の学生運動についての質問に答えていただき非常に有意義な話をきくことができました。
9月21日、午前中に台湾大学を訪れました。台湾大学法学院王泰升教授による講義「台湾法における日本的要素」を台湾大学法学研究科の院生とともに聴講しました。その後ひまわり学生運動に関するヒアリング調査を行いました。実際に運動に参加していた人たちに直接話を聞くことができ当時の状況や運動に参加した動機など詳しく知ることができました。また、王教授のご厚意で弁当を用意していただき、台湾大学の院生とともに昼食をとり親睦を深めました。午後からは、ひまわり学生運動と関係の深い政党である時代力量党を訪れました。ひまわり学生運動をはじめとする社会運動についての質問をしました。
9月22日、台北大学を訪れました。台北大学の法律学院、公共事務学院の学生とワークショップを行い、各々の国の選挙制度について発表し、意見交換をしました。また、学生運動に関するヒアリング調査を行いました。その後親睦会を開き、台北大学の学生と交流を深めました。
9月23日は、宜蘭の台湾民主運動史館を訪れました。そこでは台湾の民主運動の流れを詳しく知ることができました。
今回の台湾での現地調査は、台湾の民主主義について選挙、学生運動、法律、台湾史など様々な面から話を聞けたことで理解を深めることができました。台湾に関する文献は日本にはまだ非常に少なく、実際に話を聞けたことは有意義なものになりました。今回の調査結果を後期のプロジェクトフォロワーで活かしていきたいと思います。また、今回の調査は学生にとって本当に貴重な体験となりました。
(台湾プロジェクト 伊東良太)

高雄大学での宮内保香報告

台湾大学での集合写真

時代力量党での集合写真

台北大学-立命館学生集合写真
2017.09.24
【政策実践研究プロジェクト】「特定イタリアプロジェクト」が現地調査を実施しました
政策科学部2年生の小集団演習科目である「政策実践研究プロジェクト」の現地調査(科目名-グローバル/ローカル・オンサイト演習)が、9月14日から23日の10日間、イタリアで実施されました。現地調査には担当教員2名(田林葉教授、上子秋生教授)と本科目受講生9名、上級生3名(教育サポーター2名および個人研究のための参加者1名)が参加しました。
「特定イタリアプロジェクト」は昨年度から開講されているプロジェクトです。今年度は「イタリアの観光業における外国人サービスのあり方」というテーマで研究を進めています。観光産業が盛んなイタリアでは、どのような外国人サービスを実施しているか、また国際的な人材育成に関わる外国語教育制度と実態を調査し、日伊の比較を行っています。
今年度は、ミラノに5日間、ベルガモに5日間滞在しました。ミラノでは、JETROミラノ事務所の所長や、JTBミラノ支店の副支店長からイタリアの観光産業についてのお話を伺いました。また、メンバーが手分けして、ミラノの人気観光スポット(スフォルツェスコ城、ブレラ美術館、サン・マウリツィオ教会)にて、観光資源の外国語表記を調査するとともに、英語で観光客にインタビューしました。
イタリアの観光資源の一つである芸術に触れる機会も多くありました。ミラノ音楽院にて指揮者育成クラスの見学をし、イタリアの代表的なオペラ劇場であるスカラ座ではバックヤードツアーに参加した後、実際にオペラも鑑賞しました。
ベルガモでは、ベルガモ大学にてイタリア人学生の日本語クラスと、留学生のイタリア語クラスの見学に加えて、教授、学生に向けてのインタビュー調査を実施しました。参加学生は全員イタリア語の学習者であることから、日本で行われる授業との違いを感じ取ることができました。また、ベルガモ大学近くに位置する劇場、テアトロ・ソチャーレの内部も見学し、マネジメントのディレクターからお話を伺いました。
最終日には2回生のプロジェクトメンバーが、「日本における観光産業の実態」というテーマで、ベルガモ大学の学生に向けて英語でプレゼンテーションを行いました。
イタリアではミラノ大学およびベルガモ大学のイタリア人学生と、多くの交流の機会がありました。先方のイタリア人学生は日本語の学習者であるため、直接イタリア語を教えてもらったり、一緒にランチやディナーを楽しんだりしました。英語、日本語のみならず、政策科学部で2回生前期より履修し始めたばかりのイタリア語(「グローバル言語科目」)も交えて交流することができました。
実際にイタリアへ行って、普段日本では得られない多くの体験をすることができ、収穫の多い現地調査になりました。現在は、2回生後期に研究成果物として取りまとめる「研究報告書」の執筆に向けて、継続して調査・分析を進めています。同時に、研究およびコミュニケーションにおいて、英語とイタリア語の重要性を再確認し、語学学習にも力を入れています。
最後に、訪問受け入れに惜しみないご協力いただいた、JETROミラノ事務所、ミラノ音楽院、スカラ座アカデミー、JTBミラノ支店、ミラノ大学の皆さま、ドニゼッティ財団(テアトロ・ソチャーレ)、ベルガモ大学の皆さま、また、準備にあたってご支援いただいた、政策科学部執行部・事務職員の方々には、この場所を借りて厚く御礼申し上げます。本プロジェクト構想の段階において現地とのコーディネート支援をいただき、現在も学生のイタリア語指導をしていただいているCarolina Capasso先生にも深くお礼申し上げます。
(立命館大学政策科学部政策科学専攻4年生 イタリアプロジェクト・教育サポーター 堀井祐希菜)
JETROミラノ事務所にて、所長およびミラノ大学学生とともに

ミラノ音楽院の指揮クラスにて、教授、音楽院学生およびミラノ大学学生とともに

ミラノ市庁舎(マリーノ宮殿)にて、ミラノ大学学生とともに

スカラ座でオペラ鑑賞

外国人観光客へのインタビュー

JTB Italyの副支店長のお話しを聞く学生

テアトロ・ソチャーレにて、ドニゼッティ財団のマネージャーとともに

宿泊先の修道院にてベルガモ大学学生と交流

ベルガモ大学日本語準備クラスにて英語でプレゼンテーション
2017.09.04
2回生GLO演習富良野プロジェクトが富良野市及び周辺自治体における実地調査を実施
2017年8月30日から9月4日にかけて、富良野市及び周辺自治体における実地調査を実施しました(グローバル/ローカル・オンサイト演習II〔富良野プロジェクト〕)。本調査には教員2名(石川伊吹教授、重森臣広教授)、Teaching Assistant 1名の引率のもと、本科目受講生の17名が参加しました。
参加した学生は、移住政策をテーマとした班と観光政策をテーマとした班に分かれ、前期から文献研究や資料収集を進めてきました。これらの議論の結果として、それぞれ“若年移住者増加のための移住政策”、“外国人観光客の現状と課題”というより詳細なテーマを定め、実地調査に臨みました。
調査初日は、長距離移動の疲れが残る中、富良野市役所の担当課に伺い、各政策の現状及び成果、課題に関するヒアリング調査を実施しました。市役所では各政策担当者から丁寧な説明を頂いた後、学生との活発な意見交換が行われました。
初日に市の政策に関する情報を把握・整理することができたため、2日目以降は地域内の自治体以外の各主体に対するヒアリング調査が中心となりました。2日目及び3日目には、バスで富良野市及び周辺自治体の観光名所や文化施設、6次産業化に取り組む農業者などに訪問し、様々な角度から富良野という地域に対する理解を深めていきました。これらの訪問先では、地域内の資源を新たな視点で活用しようとする移住者の活躍が光っており、観光班はもちろんのこと、移住班も自身のテーマに関する学びを深めることができました。
調査期間の後半には班ごとでの調査を実施しました。この調査では、準備段階において学生がテーマに沿った調査先を選定し、アポ取りまでも自身で行うことで、実地調査における事前準備の大切さを学ぶこともできました。移住班は移住者目線から富良野市の移住政策の成果と課題に接近するため、実際の移住者へのヒアリングを中心に調査をデザインしました。他方、観光班は、外国人観光客の受け入れ態勢が現場においてどのような形になっているかを把握するため、観光協会や観光名所、宿泊施設などを中心にヒアリングを実施しました。
最終日前日には札幌に移動し、最終日に北海道庁の政策担当者へのヒアリングも行いました。道庁では、北海道全体を見渡すマクロな視点での政策と、それまで富良野市で確認してきたミクロな課題の接点を見出すことに苦労しながら、多様な視点で地域の現状や課題を考えることの重要性を実感することができました。
参加した学生は、これらの調査を通じて文献調査では分からないことの多さに驚き、現場に存在する情報を整理・抽象化する困難さに戸惑いながら、実地調査の重要性を実感することができました。また、研究以外にも地域のお祭りに参加したり、観光地としての富良野を楽しんだりと、富良野を大いに満喫できた調査となりました。
今回の調査では、富良野市役所や各観光施設・商業施設のスタッフの方々、移住者の方々など、多くの方にご協力いただきました。皆様のお力添えによって参加した学生も多くのことを学ぶことができ、充実した調査となりました。ご協力いただきました皆様には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

富良野市役所におけるヒアリング調査

富良野の自然に囲まれた中でのヒアリング調査

ドラマ「北の国から」ロケ地の見学

富良野市麓郷展望台での集合写真
2017.09.02
GLO演習(タイ・プロジェクト)でタマサート大学(タイ)との国際共同ワークショップ
8月21日〜9月1日にかけて、タイ・タマサート大学建築計画学部でワークショップを開催しました(グローバル/ローカル・オンサイト演習II〔タイ・プロジェクト〕)。ワークショップには教員2名(豊田祐輔准教授、真渕勝教授)の引率のもと、本科目受講生の12名(政策科学部専攻4名、Community and Regional Policy Studies専攻8名)が参加しました。
本ワークショップでは、受講生がグループで設定した2つの課題である、バンコクで最も大きなスラムであるクロントイスラムにおける教育政策による経済状況の改善、ならびに運河沿い低所得者コミュニティにおける住環境の改善について、現地教員や実務家による講義、研究対象地域での現地調査を通じて研究を進めました。
ワークショップの前半は、大学教員による講義や、国家経済社会開発委員会、国家住宅公社、CODI(Community Organization Development Institute)を訪問し、タイにおける低所得者層の現状について学ぶとともに、研究対象地域への視察やスラムをサポートするNGOへの訪問を通じて、行政と現場、そして研究者という3つの視点から問題をとらえました。
ワークショップの後半では、各グループが設定した研究目的の達成に向けて、現地調査を行いました。馴染みのない国での調査となり困難もありましたが、無事に調査を完了させ、最終成果発表会において研究成果を発表するとともに、タイ人教員などから今後の改善へ向けたコメントをもらいました。後期セメスターにおいても、本研究を継続し、ブラッシュアップを図っていきます。
研究以外にも、週末はタマサート大学の学生と一緒にバンコクや世界文化遺産アユタヤを観光するなど、タイの課題と文化を学ぶとともに、タイ人学生との友情を育んだワークショップとなりました。
本ワークショップはタマサート大学建築計画学部との共催により開催したものです。ウェルカム・パーティでの歓迎や調査へのご協力をいただいた先生方や学生をはじめ、関係者各位にこの場をお借りして深く感謝の意を表します。

国家住宅公社での講義の様子

NGOでの講義の様子

バンコク・スラムでの調査の様子

最終発表の様子
2017.08.23
桜井良助教が日本環境学会賞:若手奨励賞を受賞しました
政策科学部の桜井良助教が2017年7月1,2日に開催された日本環境学会で、日本環境学会賞:若手奨励賞を受賞しました。本賞は環境問題の解決と持続可能な社会にむけた研究活動において顕著な功績のあった個人、諸団体を表彰するものです。
桜井良助教は野生動物の管理や生物多様性の保全のために必要な社会的側面に関する情報の獲得を目指し、野生動物と住民との共存を実現するための地域づくりを行う実践科学であるヒューマンディメンション(Human Dimensions of Wildlife Management)を新しい学問として日本に定着させることを目標に研究を実施してきました。具体的には、人との軋轢が特に多いクマ類に焦点を当て、住民とクマとの共存を目指す地域づくりのために必要な社会的側面からの研究をしてきました。それらは、聞き取り調査やアンケート調査から明らかにした住民のクマに対する認識とその要因分析、これらの結果を踏まえた住民参加型の野生動物管理及び農村計画の提案などです。また、住民の意識の深化や獣害対策の促進を効果的に行うために、実施されている普及啓発プログラムの効果検証を実施し、プログラムの改善点などを明らかにしました。いずれの研究においても、県の野生鳥獣管理の担当者との共同研究として実施し、調査結果がその後の県における環境政策に反映されていることが大きな特徴です。

表彰状授与式の様子(日本環境学会瀬戸昌之会長[左]と)

2017.07.11
【EPS Type-C】My Sweet Hometown発表会を開催しました。
EPS Type-Cでは、“Learn to Contribute"(社会貢献)の目標のもと、学生がそれぞれの関心に基づいて調査を行い、英語で作成された調査の成果を発信するという、PBL(Project-Based Learning)型授業に取り組んでいます。
2017年度前期の前半プロジェクトとして、1回生全クラス(EPS Project I)が共通で “My Sweet Hometown“を実施しました。本プロジェクトでは、学生が、日本各地の自分たちが生まれた地域の魅力を、英語を用いて海外の人々に発信することを目的に、各地の歴史や文化的な特徴、観光資源などについて調査し、英文のパンフレットとエッセイを成果物として作成しました。
作成された成果物を基に、5月16日、23日に、A、Bクラス (担当:田林葉教授、前田萌授業担当講師)、5月26日に、E、F、Gクラス(担当:池上久美子非常勤講師、松永歩非常勤講師、小阪真也助教)が、それぞれ合同で、英語による発表会を開催しました。
A、Bクラス合同発表会においては、長崎県が受け入れてきた異文化、鹿児島県の恵まれた自然や特産物、隠れた観光名所として注目される京都市左京区一乗寺、高知県の自然・歴史・観光地・食べ物、名古屋市の代表的な観光スポット・食文化、関西国際空港に至るまでの南海電車沿線の観光スポット、宇治の一日観光プラン、「歴史的建築物」と「体験」をテーマとした滋賀県の観光コース、といった多彩なテーマが揃いました。
E、F、Gクラス合同発表会においては、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場や、白鹿記念酒造博物館をはじめとする代表的な観光スポット、岩手県の世界遺産としても登録されている関山中尊寺や、300年以上の歴史を持つ一関市・大東大原水かけ祭りなどの伝統的な行事、そして、京都市で多くの国内外の観光客を集める三大祭りや、絶滅危惧種の保護に取り組む京都市動物園など、調査を通じて明らかにされた各都道府県の様々な魅力について、発表が行われました。
フロアからは、発表における英語表現の明瞭さ、成果物における英文表現の正確さや、ジェスチャーや動画を駆使した発表の工夫、ターゲットである海外の人々の視点からの改善点、冊子の作りこみ方についてなど、様々なコメントが出されました。
学生は、前半プロジェクトで学んだ知識を活かして、 “Learn to Contribute"の目標のもと、後半プロジェクトに臨みます。



2017.6.12
【EPS Type-C】 Birthday Project発表会を開催しました
EPS Type-Cでは、“Learn to Contribute”(社会貢献)の目標のもと、学生がそれぞれの関心に基づいて調査を行い、英語で作成された調査の成果を発信するという、PBL(Project-Based Learning)型授業に取り組んでいます。
2016年度後期の前半では、1回生全クラス(EPS Project II)が共通で“Birthday Project”を実施しました。本プロジェクトでは、学生が自分たちの生まれた日に発生した出来事を当時の新聞から紐解き、その出来事が社会に与えた影響や、発生した問題、現在までの変遷について調査し、英文の社会時評を作成しました。
2016年11月8日には、学生が作成した成果物について、各クラスで予選を勝ち抜いた2クラス(担当:小阪真也助教、松永歩非常勤講師)の代表4チームによる合同発表会が開催されました。当発表会においては、今年度初の試みとして、CRPS専攻クラス(General Education Course I、担当:田林葉教授)の留学生も、当発表会のファシリテーター及びフロアとして参加し、日本及び諸外国からの学生双方が、英語を用いた質疑応答や議論を行いました。
当発表会においては、①日本と諸外国の数学のテスト結果から見える日本の教育における問題、②ババシャツの社会的変遷、③映画「もののけ姫」が社会に与えた影響、④ハロウィーンの歴史的展開について、各クラスで選抜された代表4チームが、それぞれ発表を行いました。
各担当教員及び発表したチームを除く、EPS Project II及びGeneral Education Iの受講学生の投票により、優勝は、「日本と諸外国の数学のテスト結果から見える日本の教育における問題」について報告を行ったチーム(小倉萌加さん、柏木真希さん、齊藤優里花さん、武智峻洋さん、黒田拓臣さん)に決定しました。
学生は、前半プロジェクトで学んだ知識を活かして、 “Learn to Contribute”の目標のもと、後半プロジェクトに臨みます。

優勝したチームのプレゼンテーション風景
Presentation of the winning team on the math education

全体図(場面はチームジブリの発表風景)
Overall view (presentation by Team Ghibli

「ババシャツの社会的変遷」についてのプレゼンテーション風景
Presentation by Team Baba on the social trajectory of “Baba” undershirts

ファシリテーターとして活躍してくれた
インドとフィリピンからの留学生
Indian and Pilipino students contributed as facilitators
[EPS Type-C] Joint Presentation on the Birthday Project
Under the idea of “Learn to Contribute”, the Course of the EPS Type-C has been conducting PBL (Project-Based Learning) styled seminars which aim to develop English skills of the students through conducting research projects based on their interests and publish the research results in English.
In the second semester of the academic year of 2016, the classes for the first-year students (EPS Project II) conducted the “Birthday Project”. In this project, the students conducted their research projects based on the articles of the Japanese newspapers published in their birthdays around 18 years ago. As research results, they wrote essays in English on social influences, problems, and current situations of a topic/event which appeared in the paper on their birthdays.
The 4 teams of representatives of the 2 classes supervised by Shinya Kosaka, Assistant Professor, and Ayumi Matsunaga, part-time lecturer made presentations in the Joint Presentation on the Birthday Project. In this Joint Presentation, as the first attempt, the international students of the class of CRPS (Community and Regional Policy Studies) supervised by Yo Tabayashi, Professor contributed to the event as facilitators or participants. Both domestic and international students had discussions and exchanged their opinions about the presentations in English.
The 4 teams of representatives from the 2 classes made presentations about 4 different themes: (i) the problems of education in Japan found through the comparison of the results of international examinations of mathematics between Japan and other countries, (ii) the social trajectory of “Baba-shirts”, (iii) the impact of the animation movie “Princess Mononoke (Mononoke Hime)” on the society of Japan, and (iv) the historical developments of the Halloween.
By the votes of the participants except for each teacher and teams of representatives, the team which made the presentation about the problems of education in Japan (Ms. Moeka Ogura, Ms. Maki Kashiwagi, Ms. Yurika Saito, Mr. Shunyo Takechi, and Mr. Takumi Kuroda) was selected as the winner of the Joint Presentation.
The students of the EPS Type-C courses are now conducting their next projects for pursuing the goal of “Learn to Contribute”.
2016.12.05
1回生「リサーチ・プロポーザル・コンペティション」を開催
2016年12月5日(月)に、政策科学部1回生対象のリサーチ・プロポーザル・コンペティションが開催されました。
本学部1回生後期セメスターの小集団演習科目「プロジェクト入門」では、前期セメスターの小集団演習科目「基礎演習」で学んだことをさらに発展させて、学生各自の問題意識と興味に沿ってリサーチ・プロポーザル(研究計画書)の作成を行いました。このリサーチ・プロポーザルは、2回生での「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」における研究につながるものでもあります。
リサーチ・プロポーザル・コンペティションには、リサーチ・プロポーザルの発表と議論を通じて、政策科学部での1年間の学びの達成度を1回生各自が再確認し、2回生以降の小集団演習科目における学習意欲を高めるきっかけにしてもらうという目的があります。
本コンペティションでは、「プロジェクト入門」のA~Mの13クラスから1名ずつ選ばれた代表者が発表しました。発表者によっては英語での発表に挑戦したり、審査に当たる「プロジェクト入門」担当教員からの厳しい質問に対して的確な応答を行ったりと、本学部1回生全体が参加する最初の学術的なイベントとして意義深いものとなりました。本コンペティションは「プロジェクト入門」の授業の一環として行われ、発表者以外の1回生は熱心に聴講し、発表内容等をメモしていました。
行われた13件の発表は教員によって審査され、その結果、1位である最優秀賞にGクラスの市瀬比呂君が選ばれました。市瀬君は、「ひまわり学生運動後の台湾の学生勢力が与える台湾・中国関係変化への影響~台湾・中国間1992コンセンサスに対する学生の認識を基に~」という研究タイトルで、2014年に台湾で発生した「ひまわり学生運動」に着目し、その経緯をレビューした上で、今後この学生運動が台湾と中国との関係変化に与えうる影響について現地でのフィールドワーク等を通じて考察していく計画を示しました。
なお、本コンペティションの運営には、政策科学会学生委員会および「プロジェクト入門」各クラスから選ばれた運営委員が当たりました。

