Voices for future leaders修了生紹介

7期生

赤野 広樹

赤野 広樹Akano Hiroki

富士通株式会社
グローバルビジネスソリューションビジネスグループ
Business Planning & Operation本部 本部長代理

  • 富士通株式会社 
    特機システム事業本部 
    システムインテグレーション事業部 部長
  • 富士通株式会社 
    グローバルビジネスソリューションビジネスグループ 
    Business Planning & Operation本部 本部長代理

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

20年以上、同じ会社の同じ部署でシステム開発に取り組んできた私にとって、立命館西園寺塾は「これまでの人生を振り返り、これからを考える」大きな転機となりました。日々の仕事に追われ、このような思考が停止していた自分に気づきました。世の中のことに無知で、良く言えば伸びしろ一杯の状態で入塾しました。資本主義・歴史・外交・気候変動・宇宙・哲学などの学びを通して、事実に基づき自分の頭で考えることの大切さを改めて知りました。

西園寺塾を受講するまでは、システム開発という職業柄のためか、サイエンスで理路整然と考えて答えを見つけるやり方を繰り返してきました。しかし、山口周先生の「アートが主導し、サイエンスとクラフトが脇を固める」という考えに触れ、理路整然と考えてばかりでは、みんなが同じ答えにたどり着いて競争が激しくなるだけでイノベーションが生まれにくいのだと考えるようになり、美意識を磨きながら仕事にもアートを少しずつ取り入れています。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 山下範久先生(立命館大学グローバル教養学部 教授)
    「正当性と有限性:資本主義の『限界』について」

    講義を通して語られた「“外部”を作り出し、そこから搾取することで発展してきた資本主義」。そのような古典的な有限性を否定するために、ヒト・モノを含めた関係の無限性に豊かさの源泉を求めるという考え方に感動しました。利益のみならず、企業活動のなかで生み出される商品やサービス(goods)が世の中にとって良いもの(good)であるべきという考え方を胸に、日々の仕事に取り組んでいます。
  2. 中川毅先生
    (立命館大学総合科学技術研究機構 教授・古気候学研究センター長)
    「古気候学が照らす過去と未来―『想定外』の時代をどう生きるか―」

    先生の熱い語り、データに基づく理論展開に引き込まれ、学ぶことの楽しさを実感した講義でした。多くの研究者が取り組んでいる「気候変動」であっても、変化の予測は難しく、いかに変化に対応するかが重要であることを知りました。会社では、事前に網羅的にリスクを想定し、その対策を立案していますが、コロナ禍のような想定外の変化が起こり、その対応に追われることもしばしばです。そんな時、様々な選択肢を持つこと、メンバーの多様性が対応の助けになるということについて、過去の気候変動とその時の人々の暮らしを知ることで実感しました。
  3. 開沼博先生(東京大学大学院学際情報学府 准教授)
    「福島の復興とウェルビーイング(福島フィールドワーク)」

    社会課題を起点とした事業創出を考えるなかで、震災からの復興過程にある福島の現場を見て、「持続可能でウェルビーイングな社会とは何なのか」を考えさせられました。夜ノ森駅で見た帰宅困難地域、そしてバリケードを境に暮らしを続ける地域。震災前と同じ生活には戻れない両地域に暮らす人々のウェルビーイングについて、作り手の論理だけで何かを提供してはいけないと感じました。
    天神岬からは、火力発電所・汚染廃棄物置き場・さつまいも工場・遠隔技術開発センターが一望のもとにあり、首都圏のための電力供給・除染といった「マイナスから0へ戻す活動」と「新たな特産品や産業を生み出す活動」が同じ空間にありました。これから自身の仕事を進めていくうえで、この風景を頭におき続けたいと思います。

今後の夢や目標を教えてください。

「何を成し遂げたいか」、これからも探索し続けます。中島隆博先生の講義で感じた「今を生き、今に没入すること」に努めたいと思います。目的や正解ばかりを追い求めて、生きることそのものが手段になってしまわないように。より良く生きるための態度(アティチュード)を身につけ、これを実践していきます。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

立命館西園寺塾は、講師の方々、事務局の方々、そして塾生みんなでつくる「心と頭を揺さぶる空間」です。共に高め合う仲間でつくる空間で、小川さやか先生が勧める「バカな質問」(自分はなかなかできませんでしたが)もありですし、リラックスして楽しむことがいいと思います。開沼博先生が書かれているように、OpinionとJusticeではなく、FactとFairnessで修了生も議論に混ぜてください!