Voices for future leaders修了生紹介

7期生

岸川 聡史

岸川 聡史Kishikawa Satoshi

株式会社山下設計
取締役 執行役員ソリューション本部長

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

立命館西園寺塾の前後で最も大きな変化は、物事を考える際の思考の取っ掛りと思考の仕方だと思います。特に仕事において顕著で、受講前は過去事例や価値観との比較をベースに落としどころや合意形成に重きを置く思考が強くありました。しかし、西園寺塾での学びを通じて、まずはフラットに、疑いの目を持って情報や事象をとらえること、そこから多様な選択肢を検討するというプロセスになってきていると思います。最短距離を目指す思考から、少し回り道をしてでも本質的なところを抑えるような考え方に変化しました。
入塾志願書の志望動機に「本質を見極め、それを自分の思考にどう落とし込むか」「全く別の領域からの思考が必要」と書いていました。完遂までは程遠いですが、達成の入口、またそこから一歩くらいは前に進めただろうと総括しています
いまでは、多様性を受け入れる幅が広がり、自分のなかだけで答えを出さないこと、周囲との協調・共生・共感を優先することなどの変化も出てきました。

全体の講義を通して、塾生皆さんのレベルの高さ・思考の深さを痛感しましたが、自分の身の丈にあった思考しかできないということを再認識し、西園寺塾の講義中にどれだけそこを伸ばせるかという点が大きなテーマとなっていました。結論から言うと、なかなか成果の程は限定的だったとは思いますが、意識は大きく変わりました。入塾時、「西園寺塾に期待すること」として「自己変革」と書きました。変革の過程ではありますが、西園寺塾が大きなきっかけになっていることは確かです。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 福島フィールドワーク
    東日本大震災からの復興が進んでいることは事実だと思いますし、多くの日本人の認識も概ね同様と思います。復興が進むにつれて記憶は薄らぎ、年1回の3.11にだけ思い出すというような状況になってしまいがちです。福島第一原子力発電所についても同様でしたが、実際に原発そのものや周辺の立入禁止区域などを目の当たりにし、映像や写真で見ていたものとは異なっていると強く感じ、ハンマーで頭を殴られたような衝撃がありました。いま思い出しても、ぐっと胃のなかが重たくなります。特に東電の方が「申し訳ありません」という一言から説明を開始されたことが印象的で、廃炉に向けて働き続けていらっしゃることに大きな感動と感謝を覚えました。
  2. 中島隆博先生(東京大学 教授)の最終講義
    西園寺塾が始まった頃にこの講義を受けていたら、全くもって「???」だったと思います。流されるままに働き、遊び、日々を過ごしていた自分に対して「問いを切り出す」というテーマを突き付けられていたら、とても浅い問いとなっていたでしょうし、その意味するところは理解できなかったはずです。西園寺塾での講義を重ね、思考の仕方も変化し、とにかく考えることが習慣づけられてきたうえでの最終講義。正直、「問い」だらけでした。そこから何を切り出すかということを延々と考えることになりました。そのプロセスも非常に重要なのだと思います。少なくとも、日々の仕事のなかで、自分に問い、考え、自分らしい答えを出すということが現在も習慣として定着しつつあります。西園寺塾のカリキュラム、そして中島先生への感謝しかありません。
  3. 京都フィールドワーク
    ①②とは大きく異なる点で印象に残っています。塾生や事務局の方々との絆が大きく深まった3日間でした。当然、考えることも多々ありましたが、もっと単純に、体験する喜びと楽しさにどっぷりつかったという点でとても印象深い3日間でした。普段、自らは触れることがない(触れようとしてこなかった)様々な文化や歴史に強制的に触れることにより、自分のなかで文化・歴史へ関わることのハードルが大きく下がりました。

今後の夢や目標を教えてください。

古い価値観にとらわれない新しい価値創造ができる会社に変革していくこと。
若い世代がモチベーション高く働ける環境をつくること。
多様性の幅を広げ、受容性の高い環境をつくり出すこと。

それらが会社の社会的な存在価値を高め、真に社会に必要な仕事となると考えています。

加えて、会社内部にとらわれず活動の領域が外の会社や社会に広がるように努めていきたいとも思っています。そのような活動に西園寺塾での経験を生かして、「まずやってみる」「多角的に考える」「共感する」という3つのキーワードを設定しました。西園寺塾修了後初めての入社式では、新入社員にこれらの言葉を伝えました。

私個人としては、リーダーにとって必要な「絶え間ない自己研鑽」「包摂の心」を念頭に、「継続は力なり」という好きな言葉に従い、成長していきたいと思います。その結果、より具体的な目標が見えてくるのではないかと考えています。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

学ぶことや思考することの楽しさ、苦しさをこれでもかというほど経験できる西園寺塾は、自己を見つめ直し、新たな一面を発見する機会になります。
一人で学ぶのではなく、同期生と一緒に学ぶことの意義もとても大きく、自分自身の成長に必ずつながります。また、同期生の成長に寄与することも大切です。
社会人になると実務的な勉強以外がおろそかになりがちですが、西園寺塾に通えば「学ぶ・考える」ことが習慣づけられるに違いありません。