Voices for future leaders修了生紹介

7期生

今野 直哉

今野 直哉Konno Naoki

株式会社博報堂
マーケットデザイントランス
フォーメーション戦略局 局長代理

  • TBWA博報堂 プラニング局 局長代理
  • 株式会社博報堂 
    マーケットデザイントランスフォーメーション
    戦略局 局長代理

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

「人生観が変わるぞ!」
入塾のきっかけは、西園寺塾5期生の先輩からの推奨でした。「自分のOSをアップデートしたい」という動機から、西園寺塾7期生として学ばせていただきました。コロナウイルスの影響で実質半年間のスケジュールとなり、ほぼ毎週土曜日に行われた20回以上にわたる講義は、覚悟していた以上にハードかつ濃密な時間でした。
毎週繰り広げられる、知の最前線で活躍する著名な講師陣との手加減なき「異種格闘技戦」。塾生とのディスカッションを通じて、自分の視野の狭さや知識の浅薄さを思い知らされると同時に、人間を理解するための「知恵の引出し」を増やすことで、自分のなかに眠っていた知的好奇心が刺激される日々でした。
西園寺塾で学ぶことによって自分の中で変化したことを一言で言うと、「答えのない問いと向き合う胆力を養えたこと」だと思っています。

具体的には、以下3点のサイクルを回していくことの習慣化です。

  1. INPUT
    ―今までなら手にとることのなかった幅広いジャンルの書籍を読むことで、インプットする情報の幅を広げる。―
    課題図書を読むたびに、自分の知識のなさ、視野の狭さを痛感することの連続でした。自分とは異なる価値観や思想を、偏見やバイアスを持たずに受け止めることの難しさと格闘する良いトレーニングになりました。
  2. THOUGHT
    ―課題図書で語られる難解なテーマを自分の頭でどう解釈するか。―
    その際、二項対立で物事を単純化しない、思考停止しない、相手の立場に立って解釈する想像力を持つ、物事を可能な限り「大局的」に捉えようと意識することが大事です。寛容さと感受性を鍛えることの難しさを実感しっぱなしですが……。
  3. OUTPUT
    ―簡単に答えの出ない(=正解のない)問いに対し、自分はどう考えるのか、自分はどうしたいのかを突き詰める。―
    考えたことをシンプルに言葉にすることの難しさと格闘しながら、レポート作成と講義に臨み、講義後に再度論点を整理する。詰まるところ、「自分は何者なのか?」を自問自答するということなのかもしれません。講師陣や塾生に揉まれるなかで、自身のレベルはともかく、自分の意見を持ったうえで未知のテーマに挑む度胸だけは身に付いたと思います。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 京都フィールドワーク
    西園寺塾のカリキュラムにおいて、特にユニークかつ重要なものがフィールドワークです。実学としての茶道・香道・華道・座禅、そして神社での新嘗祭参列など、大変貴重な体験の機会をいただきました。
    勉強不足の初心者なりに、日本の伝統・歴史・文化に対して部分的にでもリアルに触れることで、日本人としてのアイデンティティについて考えるきっかけになりました。
    雲林院住職のご法話では、何事に対しても「そういうものなんだ」と受け止める禅の本質を教えていただき、そのような境地を感じられる人間になりたいと思いました。「自国の歴史や文化をもっと深く学んでいきたい」という意欲を持つことができたのが大きな収穫です。
  2. 福島フィールドワーク
    学んだことは、「福島を特別視しない」ということです。少子高齢化による人口減少、他県への人口流出、農業など、一次産業の問題は福島固有のものではなく、日本社会に共通する課題であるということ。偏見や感情論に巻き込まれず、可能な限り「科学的な情報」に触れ、事実を基に考えることの重要性を学びました。
    第一原子力発電所構内や、帰還困難区域を視察する機会をいただけたことにも感謝したいです。眼前に広がる光景を肉眼で見て受けた衝撃は、映像で見るよりも強烈で貴重な体験でした。一次情報(ナマの情報)に触れたうえで考えることの大切さを改めて感じました。
  3. 懇親会
    入塾した際に、すべての講義・フィールドワーク・懇親会への皆勤という目標を設定し、達成しました。西園寺塾の醍醐味は、講義やフィールドワークと並んで「懇親会」にあると思います。
    講義後やフィールドワーク後の懇親会で講師陣・塾生と語る場は、講義時のディスカッション以上に充実した時間でした。講義時と異なる視点でお話しくださる講師の皆さまからは、さらなる学びと刺激をいただくと同時に、ハードな課題に共に取り組んだ同期生との語らいは、日常業務では得られない視点や気づきを得られました。勤務先・組織・役職・年齢を超え、一個人として向き合うことの大切さと楽しさを教えてもらった気がします。
    コロナ禍の影響により、期中から講義後の懇親会が中止になってしまったのが残念でしたが、落ち着いたら改めて懇親の場で、「戦友」である塾生同期と思いっきり語り合いたいと思います。

今後の夢や目標を教えてください。

「変化に受動的ではなく、変化を主体的に楽しむことができる人間になる」
具体的には以下3点です。

  1. 自分のOSをアップデートし続けるための学びを継続する。
  2. 最終講義でいただいた宿題である、「共感の間合い」というテーマについて考え続ける。メディア・広告に携わる者として、「心地よい共感の間合い」がある社会で暮らしていくために、どう行動していくか。
  3. 西園寺塾で学んだ「利他の精神」を、日々の生活のなかで実践できるか。「そういうものなんだ」という禅の本質を感じることができるようになるために、日々模索し続ける。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

日常業務に従事しながら西園寺塾で1年間学んでいくことは、正直ハードです。忙しい業務の合間をぬって「幅広いジャンルの課題図書を読了(約7カ月で40冊程度)→自分の考えを整理し事前レポート提出→講義に臨み議論を重ねる→講義後の事後レポート作成」、というサイクルを毎週繰り返していくためには、セルフマネジメントと必ずやり遂げるのだという覚悟が必要です。

このサイクルを続けることで、自分自身の世の中の捉え方が変わっていることに気づく場面が、着実に増えていきます。

本を読んで自分の考えを整理する、講師・塾生の話を聞いて議論する、フィールドワークで実際に体験することを通じて、氾濫する情報に踊らされることなく、冷静に世界を見るための「選球眼」が養われてくると思います。

「人生観が変わる!」かどうかは人それぞれだと思いますが、自己と向き合い、自己を再構築するヒントをもらえる貴重な機会です。是非西園寺塾に飛び込んでみてください。