Voices for future leaders修了生紹介

9期生

浦山 晴央

浦山 晴央Urayama Haruhisa

株式会社MTG 人事本部 人事企画部 部長

  • 株式会社MTG 人事本部 人事部 部長
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立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

立命館西園寺塾で学び、自身のものの見方・感じ方が変わったことを実感しています。身近な例では、ニュースの見え方、新聞・書籍の読み方がこれまでに比べ俯瞰的になりました。また、ビジネスにおいても状況認識や判断のバリエーションが増えたと感じます。過去の私の失敗を振り返ると、ステレオタイプな二項対立を前に行き詰まることや、経験・前例・論理・予測に頼って物事の本質を捉え損ねることが数多くありました。それにも関わらず、私はそこに「壁」を感じて思考を止めていたように思います。今だからわかることですが、そうした「壁」は越えられるもので、立命館西園寺塾で学ぶリベラルアーツが、いかに私たちの思考を自由にしてくれる武器になるかということに気づきました。
立命館西園寺塾では、「考える」ことが徹底して要求されます。それは、私が学生時代に経験してきた「勉強する」こととは別次元の体験でした。あえて学習領域として表すなら、人文科学・社会科学・自然科学・芸術と言えると思いますが、各科目の要点を体系的に覚える学習形式とは本質的に異なります。ある事象や思想の成り立ちから現在までを動的なつながりをもって捉え、世の中のありようの理解に迫るために、塾生自身が様々な問いを立てながら考えることが求められるのです。
そうした学習の過程においては当然辛い場面もありました。読み進めるのに大変苦労した指定文献もありましたし、レポートに追われ切羽詰まったことも少なくありませんでした。しかしその一方で、「人生で初めて」と言っても過言でないほど、歴史や自然科学の面白さ、伝統芸能の奥深さを心底味わうことができました。目から鱗の連続でした。そうまで思えたのは、一流の先生方が臨場感溢れる講義・質疑応答・ディスカッションを提供してくださったからです。加えて、私が息切れしそうな時にも一緒に切磋琢磨してくれる素晴らしい同期がいて、互いにリスペクトしながら刺激し合えたからだと思います。9カ月間の集中体験を過ごすなかで私が得たもの、それは一生の仲間、そして学びを通じて自分の世界を広げることの意義です。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 京都フィールドワーク
    歴史的建築物・伝統芸能・宗教などの歴史と思想を体験的に学びました。特に、茶道・華道・禅を実体験するなかで、考え方や表現の一つ一つ細部にまで世界観と死生観が宿っていることを感じました。また、日常の生活では感じ得ないスケールの大きさ、奥深さに、自分の知覚が空間的・時間的に広がると同時に研ぎ澄まされていくような感覚を覚えました。加えて、世代を超えて伝統を継承していくためには多くの人たちの弛まぬ努力があるのだと知りました。
  2. 本郷真紹先生の講義
    すべての先生が良質な講義をしてくださったと思っています。加えて、本郷先生からは量においても高い水準の講義をしていただきました。歴史に疎い私にとって、良質でありつつ一定量の知識が必要であったと考えます。その知識がその後考える材料となり、想像力を働かせる糧となったと思います。人生で初めて「歴史って面白い」と思えたことに感謝しています。
  3. 中川毅先生の講義
    たくさんの新鮮な発見をすることができました。①自然科学的な発見の歴史が現代社会へ確実につながっていることの実感、②地球という対象を科学的に考察することを通じて、私が所与の条件として固定的に捉えていた事象も実は変動するという理解、③私たち人間にとって抗いようのない自然現象が過去にも発生し、今後も発生していく現実。これらを通じて、自然に対する畏敬の念と神秘を感じつつも、一方で世界のメカニズムと、人との相互作用を探求する営みの意義深さを再認識することができました。

今後の夢や目標を教えてください。

登壇された大田嘉仁先生から私たち塾生に向けて、「まず自分の職場のメンバーを幸せにすることから始めなさい」とアドバイスをもらったことを覚えています。とても身近で取り組みやすい対象のようでありながらも、人の幸せを思い、行動を続けることは、とても奥の深い行為です。またそのために、大きなビジョンを描いて実現に向けたステップを示すことも求められます。まさに、グローバルな視野視界で考えながらも、その第一歩は目の前の人に寄り添った形で行うことを意味していると思います。私はこれから地道に精進を重ねて、いずれは世界一幸せな職場、幸せな会社を創っていきたいと思います。それが私の目標です。もちろん簡単なことではありませんが、その道のりを経て、私の人生の振り子が大きな幅をもって豊かなものになると信じています。

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

真剣に仕事に打ち込んでいらっしゃる方ほど、世の中について、ビジネスについて、自分自身についてなど、何かしらの問題意識をお持ちになっていると思います。一方で、その問題意識に正面から対峙する暇なく日々忙しく過ぎてしまう、ということも現実のように思います。また、入塾前の私のように、漠然とした問題意識について対処するイメージを持てないために先送りしてしまうこともあり得ると思います。

私の場合、尊敬する方からの薦めで西園寺塾に出会ったこともあって、優れた経営者の世界観や人間観に迫るには「これが必要」という認識が最初からありました。とはいえ、はじめは指定文献や講義などが、私の抱える問題解決につながるイメージを持てませんでした。だからこそ余計に、何か掴みとろうと誰よりも手をあげ、質問や意見を述べたことを記憶しています。その相手は講師にとどまらず他塾生にも向きましたが、どなたも私をしっかり受け止めて真剣に応じてくださいました。後になって、同期塾生が私の取り組み姿勢について「自分のためというよりも、みんなのために質問されている心遣いを感じた」といったコメントをくれました。みなさんの学びに少しでも貢献できたことを嬉しく思いました。

西園寺塾を通じて、塾生には徐々に自然観・世界観・歴史観などが培われ、私たちが直面する問題に立ち向かうための思考力が磨かれていきます。その結果、私の場合は、ものの見方・感じ方の変化を経験しました。まだまだ学びを深める必要性を感じているところですが、現時点でも、ビジネスにおける事象の捉え方や判断に活かせることを実感しています。仕事をしながら集中的に学ぶことには相当の努力を要しますが、だからこそ互いに励まし合う仲間もかけがえのない存在になっていきます。私にとっては、素晴らしいカリキュラム、一流の講師陣、一生の仲間に恵まれたまたとない経験でした。このメッセージをお読みの方が将来西園寺塾を修了し、共に語り合える日がくることを心待ちにしています。