コラム

愚痴を言う、だれかに話すことの大切さ

「こんなことで弱音を吐いちゃいけない」
「自分よりもっと大変な人がいるのに、つらいなんて言ってはいけない」
そんなふうに、自分の気持ちを押し込めてがんばってしまう人がいます。
東日本大震災のあと、被災地でも「自分はまだ恵まれている方だから」「大変だなんて言ってはいけない」と、愚痴をこぼさず耐えている方々が多くいました。でも、その“がんばり”が、かえって心の回復を遅らせてしまっているように感じる場面もありました。
日本には、「愚痴を言わないのが美徳」「弱音を吐くのは恥」とする価値観が根強くあります。武士道の精神や、我慢を美徳とする文化もその背景にあるかもしれません。
けれど、本当は――
人に話すこと、愚痴をこぼすこと、誰かに頼ることは“甘え”ではなく、自分を守るための強さです。
たとえば、かつて“自殺大国”と呼ばれていたフィンランドでは、「相談してもいい」「話していい」と社会全体で伝えるキャンペーンを行ったことで、自殺率が大きく下がりました。
それほど、「話してもいいんだ」と思えることは大事なのです。
もちろん、学生相談室もそのための場所のひとつです。でも、身近な人に相談することも、もっと気軽で自然な形の「心のケア」だと思います。
家族、友人、サークルの仲間、バイト先の同僚、先生や先輩…。誰かに聞いてもらうだけで、心がふっと軽くなることがあります。
とはいえ、「そんな人いない」「話してもわかってもらえなかったら…」と、不安になることもあるでしょう。実際に、思いきって話したのに、うまく伝わらなかったり、否定されたり、持論ばかり言われたり等と「話さなければよかった」と傷ついてしまうこともあります。
でも、どうかあきらめないでください。
ある心理学者は、「10人いたら、3人くらいはちゃんと聞いてくれるものだ」と言っていました。
受け止めてもらえないと感じる人が7人もいるのかという取り方もできますが、それでもあなたの周りのこの3人が見つかる可能性もあるということではないでしょうか。
一度うまくいかなかったとしても、別の人なら、あるいは別のタイミングなら、思いが届くこともあります。
「ちょっとつらい」「誰かに聞いてほしいな」と思ったときには、身近な人に少しずつ話をしてみてはどうでしょうか。話す場として、学生サポートルームもあります。
あなたの話に、耳を傾けてくれる人は、きっとどこかにいます。
学生サポートルーム カウンセラー