コラム

ガッツ石松に心理学を学ぶ(?)

 ガッツ石松と言えば、「OK牧場」という言葉が思い浮かぶ、というくらいに、世の人にはセットとして馴染まれている言葉のように思われますが、「OK牧場」と呼ばれる心理学用語があることを知っている人は一体どのくらいいらっしゃるでしょうか?かなり前にテレビで取り上げられたりしたこともあるようですが、今回は、心理学の言葉としての「OK牧場」についてご紹介したいと思います。
 この言葉、心理学の中でも、交流分析という、アメリカの精神科医エリック・バーンが1950年代半ばに考案した理論を基礎としています。バーンは、交流分析の理論の哲学として、「I am OK. You are OK.(私はOKである。あなたはOKである)」という立場の大切さを強調しました。これは、「誰でもその存在は尊重される」という意味で、「たとえある人物の行動がとうてい受け入れがたいものであっても、その人の存在そのものは肯定されるという前提」です(『TAベイシックス』より)。
 「OK牧場」は、フランクリン・アーンストという人が、こうした考え方の移り変わりを視覚的に表す方法として考案されたものです。「わたし」と「あなた」が、「OK」なのか、「not OK」なのか、という2つの軸で、4つの領域に分けられています(図1)。生活していく中で、時にOKになったり、not OKになったり、揺れ動くものではあるのですが、目指す立場はあくまでも、「私はOK。あなたはOK.。」


           
図1 OK牧場(『TA TODAY』より作成)

 そうは言うものの、実際に自分の日々を振り返ってみると、そういう風に考えることって、そうそう簡単にはいかない気がします。「私はOKでない、あなたはOKである」とばかりに、自分だけを責め、自己嫌悪でいっぱいになったり、「私はOKである。あなたはOKでない。」と、自分のことを棚にあげて相手を責めてしまったり、「私はOKでない。あなたはOKでない。」と、うまくいくとは思えずに投げやりになってしまったりすること、時にあったりしませんか?
 人はそれぞれ、このOK牧場の中で、どうも落ち着きやすい場所、というものがあるようです。何かいきづまりを感じてサポートルームにいらっしゃる人には、「私」なり「あなた」(もしくは両方)が「not OK」になりやすい人が結構多いように思います。
 そう考えた時、カウンセラーとしての私の仕事は、そうした人たちとの対話の中で、「私はOK。あなたはOK。」という領域を広げていくこと、そこにとどまる力をつけていくお手伝いをすることなのかな、と思います。


 ちなみに、このコラムを書くにあたり、ガッツ石松さんのホームページをのぞき、「OK牧場」の誕生秘話を知りました。“OK牧場の決闘”という西部劇映画から来ているという説などもありますが、ホームページでは「OK!」と映画“ララミー牧場”の牧場を合わせて思わず叫んでしまったというエピソードがその始まりとして語られており、心理学とは一切関係はないようであるということを、最後の最後にご報告させていただきます。

参考:
深沢道子監訳(1991)『TA TODAY―最新・交流分析入門』
日本TA協会(2003)『TAベイシックス』
「ガッツ石松のホームページ OK牧場!」(http://www.guts-ishimatsu.com/)

学生サポートルーム カウンセラー