国際機関で働くことや国際協力に興味がある学生は、大学のうちから様々な機会を活用して多くの方々と出会い、視野を広げてほしい。皆さんと国際会議か国際協力の現場でお会いできるのを楽しみにしています。

伴場 森一 さん
UNICEFギニア事務所(2014年度卒業)

2015年3月に国際関係学部を卒業。2017年に立命館大学大学院で公共政策の修士号を取得し、民間企業及びNPOでの勤務を経て、英国London School of Economics and Political Science (LSE)で人的資源管理の修士号を取得。その後、JICAでの勤務を経て、2024年10月より国連児童基金(UNICEF)ギニア事務所でHuman Resource Officerとして勤務中。

現在、どのようなお仕事をされていますか?

伴場私は現在、UNICEFのギニア事務所で人事担当官として勤務しています。UNICEFは、子どもの権利の実現を世界的に推進することを目的とした組織です。私の職務は、人事サービスを実施することで、「クライアント」(UNICEF職員)が業務目標と目的を達成する能力を向上させることです。人事に関連するニーズを予測し、人的資源管理(HR Management)を事業目標に整合させる計画や解決策も策定しています。

また、最近では、ギニア国事務所の2024年の「学習と能力開発に関する報告書」を作成しました。今年の学習と能力開発計画は、ギニア国事務所が職員のスキルアップに注力する内容になっていて、これは西部・中部アフリカ地域事務所の指針や優先事項に沿った「現地の学習および研修委員会」のこれまでの取り組みを継続しています。この計画では職員が仕事の成果を上げたり、キャリアを成長させたりするための統一された方法を大事にしており、職員一人ひとりの成績評価と、学ぶべきスキル、将来のキャリア目標をしっかりとつなげています。

国際関係学部を卒業後、現在のお仕事に就かれるまでのキャリアを教えてください。

伴場国際関係学部では、中川涼司先生のゼミで指導を受けていました。国際関係学部に在籍中から国際機関での勤務を見据えていたので、修士号が必要だと考えたことに加え、国際協力業界ではどのセクターであろうとパブリックセクターに関わることになると思い、学部卒業後は、立命館大学大学院公務研究科公共政策専攻へ進学し、公共政策について深く学びました。修了後、まずは民間セクターを経験したいと考え、アフリカ及び中東に特化した商社に入社し、主にアフリカ諸国とのビジネスに携わりました。ここで私の担当していた業務が、アフリカでの雇用創出に繋がっていました。

伴場次に、より被益者に近い仕事をしたいと考え、NPOに転職して、ベトナムでの人材開発や国内の外国の方々の就労支援等に携わりました。既に修士号を取得していましたし、この時点で国際協力の経験もあったので国際機関への応募資格は満たしていましたが、NPOで様々な課題を経験したことに加え、国際機関でHR(Human Resource)の仕事をされている知人からの助言もあり、HRの専門性を身につけ、かつ現場で感じた課題を整理したいと考えるようになり、英国のLSEの人的資源管理の修士課程に進学し、HRの体系的な知識を得るとともに人事的課題にデータ分析を応用するメソッドを学びました。

修了後はJICAベトナム事務所にご縁があり、公的機関の立場でベトナムでの人材開発のプロジェクトをコーディネートしました。そして、JICAの任期終了後、2024年10月よりUNICEFギニア事務所にてHuman Resource Officerとして勤務しています。

国際関係学部での学びや経験が現在の仕事で役立っていると感じられる場面はありますか。

伴場国際関係学部で学んだことで現在の仕事で役立っていると感じているものはいくつもありますが、一つ挙げるとしたら、異なるバックグラウンドやカルチャーを持つ人々に、母国語以外の言語で自分の意見を伝える姿勢です。私が1回生のときに参加した「国際平和交流セミナー」では、アメリカン大学の学生や、立命館大学アジア太平洋大学に留学していた中国や韓国の学生と1週間フィールドワークを共にし、平和に関する様々なトピックについて議論する機会があったのですが、議論の土台となる認識が出身国や育ってきたバックグラウンドによって全く異なることがわかりました。当時は頭の中で何を言いたいのか整理はできていたのに、英語で上手く伝えることができなかったことを覚えています。その経験をきっかけに、その後の様々な活動では、どのような人が話し合いの場に参加するのか、どのようなメッセージを、(納得はされないまでも)どう理解してもらえるように伝えるかといったことを考えるようになりました。

伴場また、2回生時に受講したグローバル・シミュレーション・ゲーミング(GSG)では、国際機関、国、NGO等に分かれて課題解決のために模擬国際交渉をするという経験をしましたが、実際の国際協力の場でも非常に多くのステークホルダー(利害関係者)と細かい調整をすることになるので、学生のときからそのような経験ができたことは良かったと考えています。

卒業してからあらためて認識したことは、国際関係学部は国際協力に関わられている方々とのネットワークが非常に強固だということです。先生方の中には国際機関や外務省のほか、JICAやNGOでの職務経験のある方々が多数在籍していましたし、高い頻度でそのような組織で勤務されている方々をセミナー等のゲストスピーカーとして大学へ招聘されていたことを記憶しています。私が在籍していた頃はなかったのですが、現在はタイの様々な国際機関を訪問する国際関係学部独自の海外研修プログラムもあるようですね。

海外でビジネスをしている卒業生ともネットワークがあり、私がJICAベトナム事務所で勤務していた際は、グローバル・フィールドワーク・プロジェクト(GFP)という全学部生対象の短期留学プログラムでベトナムにいらっしゃった学生達とお会いし、ベトナムでビジネスをされている多くの卒業生の方々と一緒に学生の皆さんとお話する機会もありました。

今後のキャリアの展望について教えてください。

伴場組織の中での人材開発(研修等)を含む一連の人事業務だけでなく、フィールドでの人材開発(現地人への職業訓練等)にも関心があり、UNICEF以前のキャリアでは両方に取り組んでいました。引き続き国際機関での勤務を考えていますので、ご縁をいただいた組織で、人材開発やHR全般に関わる業務を通じてその組織のミッションに貢献したいと考えています。また、UNICEFのスーパーバイザー(私の上司に該当する方)からは、どのデータツールが今後HR分野でニーズが高まるかを教えてもらったので、そのスキルを身につけて実践したいと考えています。

国際機関を目指す国際関係学部の学生へメッセージをお願いします。

伴場国際機関で働くことや国際協力に興味はあっても、具体的にどの組織でどのような仕事をするのか、どんな課題を解決したいのかという目標を定めるのは難しいですよね。皆さんにアドバイスしたいことは、大学生のうちから様々な機会を活用し、多くの方々と出会い、視野を広げることです。私は国際関係学部で学んでいた頃から、国際協力や国際交流に関連するさまざまなイベントに積極的に参加し、多くの方々のお話を興味深く伺っていました。この活動は社会人になってからも続けており、そうした場で出会った方々からは、キャリアの節目、特に英国の大学院進学や国際機関への転職の際に、貴重なアドバイスをいただくことがありました。最近だと、ベトナムで勤務していたときにタイの国際機関で勤務している学部の先輩の記事を偶然拝読し、アポイントをとってバンコクまでお話を伺いに行き、貴重な助言を頂戴しました。

もし皆さんがこれから何をしたいのか定まっていなければ、まずはアクションを起こしてみてください。きっと、国際協力の業界でご活躍されている多くの方々も、皆さんと同じように悩んでいた時期があったと思いますし、私もそうでした。積極的にそうした方々のお話を聞きに行ったり、少しでも皆さんが関心のあるイベントに参加すれば、皆さんのキャリアに関する大きなヒントを得られたり、人生のロールモデルとなる人を見つけられるかもしれません。国際関係学部は先生、職員、先輩方といった関係者の皆さんのお陰でそのような機会が多いと思いますので、是非有効活用してください。そして、感謝することを忘れず、たまにはお世話になった方々に進路の報告をしてください。また、私でよければご相談に乗りますので、遠慮なくご連絡ください。

LinkedIn/伴場森一さん
※つながり申請を送る際は自己紹介や聞きたいことも同時に送っていただけると幸いです。

2024年11月更新

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