薬学部・木村 富紀教授がICNIM2018において「Best Research Award 2018」を受賞
このたび、薬学部の木村 富紀教授が、統合医療機能性食品国際学会の第26回年会であるInternational Congress on Nutrition and Integrative Medicine 2018(2017年7月21日札幌開催)において、Best Research Award 2018を受賞しました。この学会は統合医療及び機能性食品に関する研究を通じて、疾病の予防・治療の進歩に貢献することを目的として設立されたもので、本賞は、年会の研究報告の中から特に優れた報告に対し「経済産業省 北海道経済産業局長賞」として贈呈されます。
木村教授は、たんぱく質非コード性RNA (ncRNA)が有する遺伝子発現制御機能に着目し研究を進めています。今回は、細胞のがん化に伴い過剰発現し、がん細胞の増殖と転移をもたらすことが知られる膜結合型チロシンキナーゼ受容体に着目し、ncRNAによる同受容体分子の発現制御を通じた新規ながん治療の可能性を検討しました。その結果、チロシンキナーゼ受容体遺伝子の逆鎖から発現するncRNAが、同遺伝子の発現を転写後性に制御することを見出しました。さらには、従来から抗悪性腫瘍効果が知られるLentinula edodesの菌糸抽出物に由来するAHCC®がこのncRNAの発現を抑制する事を見いだし、これに続くチロシンキナーゼ遺伝子mRNAの発現並びにチロシンキナーゼ受容体下流のシグナル経路の抑制が、がん細胞、特に乳がん細胞の増殖と遊走能の阻害をもたらす事を明らかにしました。この研究は、ncRNAによる発現制御が乳がん細胞をはじめとする各種のがん細胞の増殖抑制に直結することを示しており、今後ncRNAの発現抑制を分子標的とする新規ながん治療薬の創薬研究が期待されます。