「好き」だけは譲れない

2019.07.02 TOPICS

「好き」だけは譲れない Honda HEATラグビー部 アナリスト 竹内 佳乃さん(2018年スポーツ健康科学部卒)

 「一生、ラグビーに関わりたくて」。真っすぐな目でそう語るのは2018年にスポーツ健康科学部を卒業した竹内佳乃さん。現在、ラグビートップリーグチーム「Honda HEAT」で唯一の女性アナリストとして活躍している。アナリストとは必要なデータを収集し、分析することでチームの勝利に貢献する仕事だ。選手と関わるとき、タイミングや場所、相手の調子などを常に気に掛けて接しているという竹内さん。それは相手の気持ちを考えて行動する性格という素質に加え、竹内さん自身が元・ラグビー選手だったということも大きい。

 竹内さんとラグビーとの出合いは高校1年生の時。7 人制ラグビーがオリンピック競技に決まり、ラグビー界を盛り上げようと、女子ラグビー選手の育成を目的としたSCIX 近畿セブンズブロックアカデミーの選考会に竹内さんの父親が申し込み、合格したことがきっかけだった。それまでも他の競技経験があった竹内さんだが、ラグビーについてはまったくの素人。初めは練習場と家が近いという理由だけで練習に参加していたそうだが、高校のラグビー部にも入部したことから竹内さんの運命は変わる。
 「女子ラグビーが盛り上がる前で、高校のラグビー部で女子の選手はもちろん私だけ。平日は男子に交ざって高校で練習、土・日はセブンズの練習と、ラグビー中心の生活になりました」と当時を振り返る。そのかいもあり、高校生で近畿地区代表選手に選ばれるほどのプレーヤーに成長。大学でも選手としてラグビー部に入部してくれることを学園関係者も期待していたというが、竹内さんが選んだのはラグビー部のトレーナーだった。「高校3 年生の12月にいったん競技から距離をおいたことで選手を支える側になりたいと思うように。今でこそラグビーと仕事を両立している選手もいますが、私が大学に進学する頃はその像が描きづらかったのも理由の一つです」。

 大学時代もラグビー漬けの生活に変わりはなかった。トレーナーに必要な知識に直結していた大学での学びを生かし、竹内さんはラグビーに関わる仕事に就くため本格的に始動する。2回生の冬に“ラグビー王国”といわれるニュージーランドに渡り、現地のチームでトレーナーを手伝いながら、ラグビーに関わる仕事について学んだ。そこで偶然、当時のHonda HEATのヘッドコーチと出会い、アナリストとしてインターンシップのチャンスを手にする。帰国後、2週間練習場に泊まり込み、アナリストの仕事に触れ、衝撃を受けた。「私、この仕事をやりたい!」大学のラグビー部でも、トレーナーからアナリストに転向。アナリストとして一歩を踏み出し、卒業後も職業としてアナリストのポストを得た。

 アナリストの主な仕事は、練習、試合、対戦相手などのチームの動きや選手個人のプレーを数値化、グラフ化し、データを提供することだ。求められるのは情報収集力、分析力、伝達力。竹内さんは一人でその作業を担っている。 「1 年目という気後れもあり、キャリアがある選手たちへのフィードバックが積極的にできていないことが今の課題です。新人だから、女性だからと言い訳はできない世界。もっと多くの情報に触れ、正確性を持ち、スピーディーに分析をして必要な情報を伝えていきたい」と熱を込める。
 2019年、日本でアジア初のラグビーワールドカップが開催される。「ラグビーはルールも複雑でとっつきにくい。試合もぶつかり合いや殴り合いに見えてしまうことがあり、実際、痛みも犠牲も伴うつらいスポーツ」と竹内さん。「でも、試合が終われば、選手たちは敵・味方関係なく、仲間として和気あいあいとできる。ラグビーが『紳士のスポーツ』といわれるその精神が大きな魅力です。また、どのプレーをとっても、さまざまな要因が絡み合っていて、とても奥深く面白いスポーツなのです」。
 今後はアナリストとしての実力をつけていくとともに、女子ラグビーの知名度アップに関わっていきたいと語る竹内さん。大好きなラグビーに、果敢にトライし続ける。

出典元:校友会報「りつめい」No.276(2019年4月号)
写真撮影:津久井珠美

PROFILE

竹内佳乃さん
2018年スポーツ健康科学部卒業
Honda HEATラグビー部 アナリスト

兵庫県出身。高校1年生の時にSCIX 近畿セブンズブロックアカデミーに参加。第2回全国高等学校選抜女子セブンズに出場。大学時代はトレーナー、アナリストとしてラグビー部に所属。2018 年シーズンから、Honda HEATでアナリストの役割を担う。

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