空気圧を利用したマイクロアクチュエータに微細な温度センサを搭載することに成功
理工学部の小西聡教授および理工学研究科博士課程前期課程2回生の平田暁也さんは、空気圧を利用したマイクロアクチュエータに微細な温度センサを搭載することに成功しました。
マイクロアクチュエータは、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)の中で非常に挑戦的な研究分野です。本研究分野において小西研究グループでは、ポリジメチルシロキサン(PMDS)などのポリマーを構造材料に用いて、柔らかくて柔軟なさまざまな形態のソフトマイクロロボットの研究を進めてきました。ソフトマイクロアクチュエータはその柔軟な特長により繊細さが求められる生物医学分野への応用が可能です。今回は、マイクロアクチュエータを利用した小さな指先に高感度な温度センサを搭載することに成功した研究成果です。
ソフトマイクロアクチュエータにより曲げ伸ばし可能な小さな指先(3.0mm×12mm×400μm)にゼーベック効果を利用した熱センサ(2.0mm×2.0mm)を搭載しています。指先は生体や細胞への適用を想定し、熱センサには温度域も考えて最も普及しているK熱電対と起電力特性に優れたT熱電対を使用しています。K熱電対もT熱電対もとに温度と発生電圧に高い直線性を示しました。 また、指先の曲げ操作による電気抵抗の変化を観察し、曲げ動作を繰り返すことにより電気抵抗が増加することを確認しました。しかしその変化率は3%内に収まっていることから想定する使用対象における測定では問題にはならないと考えています。
今後は、このようにソフトマイクロアクチュエータを利用した小さな指先にセンサの搭載が可能であることを示し、圧力センサやpHセンサなど他のセンサも搭載し、複合的な測定を可能とする指先の開発を進めていきたいと考えています。
※本研究成果は、2019年10月30日(英国時間)に英国科学誌Scientific Reports(オンライン版)に掲載されました。