<ウェブデザイン業界から立命館大学へ―これまでの歩み>
RADIANT、以下R: 先生のご経歴、すごくユニークですよね! 立命館に来られるまで、どんなキャリアを歩んでこられたんですか?
ポール・ヘイメズ先生、以下PH: 私のキャリアはオーストラリアで始まりました。情報技術とメディアデザインを学んで、ソフトウェアやウェブデザインの業界で10年くらい働きました。その後、アカデミアに戻ることを決意し、エディス・コーワン大学でIxDの博士号を取得しました。その流れで来日することになり、最初は東京都立大学システムデザイン学部に短期滞在し、その後2年間ポスドク研究員としてお世話になりました。さらに、つくばにある産業技術総合研究所の人間情報インタラクション研究部門でも短期でポスドクを経験し、2019年初めに関西地域に移り立命館大学に着任しました。
R: なかなか盛りだくさんの道のりですね! 立命館に来ることと、関西に住むことを決めたのは、主にどんな理由からだったんですか?
PH: 立命館大学のこのポジションにすごく惹かれました。海外の教員と日本の教員が一緒に教えるプログラム設計になっていて、日本人学生と留学生が混ざり合う環境に対応していた点が魅力的でした。より真面目なことを言うと、立命館憲章が平和や民主主義、学問の自由といった考え方を大切にしている点が、私の個人的な見解と完全に一致していると感じたんです。それから、もっと個人的な話ですが、関西の雰囲気って、東京よりもずっと肩の力が抜ける感じがして、昔から好きだったんですよね。あと、私は大阪人のソウルフードの一つ、「お好み焼き」の大ファンなので、それが最終的な決め手になりました!(笑)
<研究を深堀り>
R: 先生の研究はデザインと哲学にまたがっていますね。今、具体的にどんなことを研究されているのか、簡単に教えていただけますか?
PH: ベースはIxDなんですが、関心は建築といった分野も含めて、かなり広いです。最近は、特に美学の哲学、なかでも日本的な美意識に深くハマっています。伝統工芸が現代デザインにどう影響を与えているかをいろんな角度から探求し、文化圏ごとの違いを分析したり、異なる文化的伝統が交わることで生まれる「融合」現象について研究したりしています。これは単に学術的な関心というだけでなく、デザイナー、アーティストとしての自分の創作活動に深く影響していますし、国内旅行の際にも工芸で知られる歴史的な場所に自然と足が向かうほど、私の行動パターンを形作っているんですよ。
<京都でのくらしと休日について>
R: ここからは日常生活について聞かせてください。関西のどこにお住まいですか? 近所のどんなところが気に入っていますか?
PH: 京都の中心部にすごく近い場所に住んでいます。そのおかげで素敵な居酒屋やカフェに囲まれているのが最高ですね。オーストラリア人として、美味しいコーヒーは本当に大切なんです。Mogu Mogu、IO LITE、WEEKENDERSといった、ちゃんとしたフラットホワイトを作ってくれる地元の良いお店を見つけられて嬉しいかぎりです。近所のお祭りやイベントに参加するのも大好きです。行きつけの居酒屋の料理長とも仲良しになって、いろんな種類の日本酒の味わい方や、どんな料理と合うかを教えてもらったりしています。
R: まさに理想的な京都ライフですね! 休日はどんなふうに過ごしていますか?趣味は研究と関連していたりするんですか?
PH: 私の興味の多くは、確かに京都や研究に関連しているものが多いです。妻と私は一緒に水墨画を習っているんですが、江戸時代の巨匠である円山応挙や伊藤若冲なんかが京都出身だという点も面白いですね。最近はまた写真にも取り組み始めていて、社会景観や建築物を題材にしています。盆踊りや祇園祭といった文化行事も楽しみにしていますよ。運動としてはブラジリアン柔術に取り組んでいますが、高専柔道と歴史的な繋がりがあるのが面白いところです。時々、Sotoのような会場で実験的な音楽イベントもチェックします。でも、普段は阪神タイガースを応援しながら夕食を作っていることが多いです!(笑)
<今後の展望>
R: 最後に、立命館での研究で、これからどんな面白いプロジェクトが控えているか教えてください。
PH: 今は、音符と色彩の心理的・芸術的な関連性を探る実験的なハードウェアとソフトウェアのアプリケーションに取り組んでいます。西洋音楽の七音階を色彩に対応させた、アイザック・ニュートンのオリジナルカラーホイールを出発点にしています。もっと大きなテーマとしては、建築を含む伝統工芸と現代デザインとの関連性について、引き続き深く調査を続けています。また、和のデザインに焦点を当てた書籍を執筆中で、これを教育活動にも活かしていく予定です。立命館大学内の共同研究に加えて、東京都立大学の元同僚たちとの活発な連携も続けていますし、機会があればデザイン作品や美術作品の展示会にも参加し続けています。