メタバースを用いた不登校学生の居場所支援プログラムを実施

 2022年9月26日(月)から10月9日(日)、広島市の不登校の高校生を対象に「メタバース不登校学生居場所支援プログラム」を実施しました。

 本プログラムは、広島を拠点にメタバースなどの最新技術を活用して社会福祉問題の解決を目指す団体「ばーちゃるケア ゆずあっと」(代表:岡村謙一/水瀬ゆずさん(テクノロジー・マネジメント研究科博士課程前期・2回生))と総合心理学部 サトウタツヤ教授らが連携。広島市社会福祉協議会「ひろしま地域福祉推進チャレンジ応援助成事業(2022年度)」の支援を受けて実施しました。

 メタバース不登校学生居場所支援プログラムは、不登校の中高生に対してメタバースでの人との出会いや独自の文化に触れることを通じて、中高生が自身の新しい居場所や可能性を発見する機会を提供しました。

 参加者は、当該団体より貸与されたVRデバイス(Meta Quest 2)を装着してソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」に入り、メタバースで活躍するクリエイターとの交流や世界の探索を行いました。2週間のプロジェクト期間中、参加者には一人ずつメンターが付いて、メタバース内での活動をサポートしました。また、プログラムでは、体験型のフィールドワークを重視。元不登校生徒の人や実際にVRで小説を書いている人、メタバースの世界を制作するワールドクリエイターなど、メタバース内で活動している人が講演を行いました。

 プログラム最終日の修了式では、参加者から「参加できたことが嬉しい」「もう一年くらい続いてほしい」「とっても楽しい二週間だった」との声が寄せられました。
 次回は広島市以外にもエリアを拡大するなど、活動の範囲を順次広げていく予定です。

岡村謙一/水瀬ゆずさん(テクノロジー・マネジジメント研究科博士課程前期・2回生)のコメント

 本プログラムは、メタバース内で不登校生徒と出会ったことをきっかけに始まりました。生徒はメタバース内で時間を過ごすうちに、居場所と感じられる場所を見つけ、やがて学校に通うまでになりました。生徒から、「私と同じような境遇にいる人のためにできることはないか」と言われ、プログラムを具体化させました。
 メタバースではアバターを使用し、ありたい姿かつ、身振り手振りも用いて自己表現をすることができます。VRを活用することで、現実では難易度の高い「対面で直接話す」という点を緩和しつつ、よりリアルな体験をすることが可能になります。メタバースの環境で、少しでも「信用できる大人」を増やし、さまざまな価値観や体験を通して、居場所を見つけることにつながればと思っています。

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