野球に打ち込む日々から一転、挫折を経験した雀部颯真さんが次に見据えたのは、世界で通用する専門性だった。留学先で「知識は武器になる」と実感したことをきっかけに、さらなる努力を重ね、留学先のアメリカ・カリフォルニア州立大学モントレーベイ校史上最年少でUSCPAに合格。目標から逆算して努力する力を武器に、自身の道を切り開いてきた雀部さんの挑戦の軌跡に迫る。

突然破れたプロ野球選手の夢

 プロ野球選手を目指し、立命館高校時代はピッチャーとして野球一筋で歩んできた雀部さん。ところが最後の夏の大会を目前に肩を故障し、追い続けてきた夢が突然途切れてしまった。その時のことを雀部さんはこう語る。「それまでもつらいことはありましたが、初めて“本当の挫折”というものを味わいました」。
 野球からの引退を余儀なくされた雀部さんは、一時期どう生きれば良いのか分からないほど自分を見失った。それでも、完全に立ち止まることはなかった。高校時代の野球部の監督から「支える側に回ってみないか」というアドバイスを受けた雀部さんは、立命館大学進学後は、硬式野球部のマネージャーとして力を尽くそうと決心した。

新たに見つけた“留学”という目標

 今まで支えてくれた周囲の人に恩返しがしたいという気持ちで、別の一歩を踏み出した雀部さんが次に興味を持ったのが「留学すること」だった。日本人野球選手がたくさん海外に挑戦する姿を見て、雀部さん自身も世界で活躍してみたいと考えたからだ。また、通っていた高校が英語教育や国際交流にも力を入れているという環境も大きかった。模擬国連で議論を行う仲間や、海外大学をめざして英語力を鍛える仲間など、さまざまな事に挑む仲間に囲まれることで「自分の可能性は一つではない」と実感したのだ。
 新しい目標を見つけた雀部さんだったが、実は英語が得意ではなかったのだという。高校1年生の基礎からやり直す必要があったが、雀部さんは「野球を辞めたことで腹をくくって英語に向きあえました。留学中は野球部を離れて迷惑をかけることになるので、中途半端な覚悟ではいけません。英語の試験を突破して、絶対に留学すると強く決意していました」と振り返る。雀部さんは留学に必要なスコア、締切、準備期間を細かく計算し、一つずつ計画に落とし込んだ。ここで身に付いた「目標から逆算して努力する力」は、雀部さんの大きな武器となった。

留学して気づいた自身の武器

 大学に入学してすぐに、雀部さんはその能力を生かし、経営学部の「簿記入門」の授業がきっかけで興味を持った「日商簿記」の資格にチャレンジ。1回生の12月には2級を取得した。また、続けていた努力が実り、2回生で念願の留学を実現させた。
 留学先のアメリカ・カリフォルニア州立大学モントレーベイ校では、慣れない言語や環境の中で「言語が完全でなくても、知識があれば戦える」ということに気が付いたのだという。「英語が流暢でなくても、会計や金融の知識が“盾”として自分を守り、“武器”として新しい挑戦を切り開く力にもなったと感じました」と雀部さんは話す。そんな雀部さんは、財務や会計などの金融系科目を多く履修する中でUSCPAの資格に興味を持ち、ここでも持ち前の目標から逆算して努力する力を発揮。なんとカリフォルニア州立大学モントレーベイ校史上最年少でのUSCPA合格を果たした。

挑戦の先に見つけた自分の居場所

 帰国後、雀部さんは再び硬式野球部に戻った。2025年11月からは主務に就任してチーム運営を支えている。遠征の段取り、対外との交渉、広報対応など、多岐にわたる業務は責任が重いが、その分「自分がチームの一部を担っている」という実感を強く持てるのだという。雀部さんは「この立場だからこそ学べたことがたくさんあり、こうして野球に関わり続けることができて本当に良かったと心から感じています」と笑顔を見せる。
 自身の歩みを振り返りながら雀部さんはこう語る。「悩んだときこそ、本気で挑戦している人がいる環境に飛び込んだことで視野が広がり、さまざまなことに挑戦している仲間の存在に救われました。また、興味があることにとりあえず挑戦し、やり切った経験は次の挑戦に必ず生かすことができると思っています。その積み重ねこそが、自分の人生を形づくっていくのだと思います」。

求められる存在であり続けたい

 卒業後、雀部さんは商社業界に就職する予定だ。「商社業界の、さまざまな商材とビジネスを持てる点に魅力を感じました。財務の立場で関わりながら、多様な商品を見て、資金繰りや戦略を考えられる点にも引かれて、挑戦を決めました」と雀部さんは話す。社会人としての目標は「柔軟性を大切に、社会や組織から常に求められるものを生み出し続けられる人間であること」だという。それには日本とアメリカで様々な組織に所属した経験から、どの組織にも目標があり、そこに対して自分がどう貢献するかを考えることの重要性を学んだ雀部さんの気付きが反映されている。明確な答えのない時代、厳しい環境の中でも成果を出し続けようと意欲に燃える雀部さんの、今後の飛躍が待ち遠しい。

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